34:ウソツキは誰ですか?
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広場に鈍い音が繰り返し響き渡る。
因幡と神崎は、殴られたら殴り返すの一点張り。
地面に尻餅をつこうが転がろうがすぐに起き上がってやり返す。
「と…、止めないと…」
古市が一歩足を踏み出すと、後ろからその肩を姫川がつかむ。
「やめろ」
「見てられませんよ! こんなの…っ! 姫川先輩、止めないんですか!?」
「……………」
姫川は古市のつかんだまま、平然とした顔でその光景を眺めていた。
姫川も、自分と神崎ならともかく、まさかあの2人が冗談抜きで殴り合うとは思っていなかった。
「このデコ助!!」
「いっつも眠たそうな目ぇしやがって!!」
「ノミ!!」
「ヨーグルッチマニア!!」
「アメオタク!!」
「唇チェーン!!」
「オールバックと赤メッシュ!!」
「893!!」
「801!!」
「意味わかって言ってんのかてめぇ!!;」
あれでも冗談抜きの戦いをしているつもりだ。
「止める気になるかよ、アレ…」
「……………」
確かに、と言うように黙る古市。
「「こ・んのぉ…っっ!!」」
互いの両手を組み合って押し合いになる。
「因幡てめぇさっきから手加減してんのか!? お得意の蹴りはどうした!? ああ!?」
「そっちこそ、必殺技の踵落とししてみろやぁっ!!」
2人はほぼ同時に手を放し、コブシを握りしめて殴りかかろうとした。
「―――せいっ!!」
ゴギンッ!
「「う゛っ!!?」」
因幡と神崎は後頭部をつかまれ、額を打ち付け合った。
その痛みに、その場にしゃがんで額を押さえ、割りこんできた人物を見上げて睨みつける。
「なにしやがる男鹿ァ…っ!!」
「邪魔すんじゃねえ!!」
神崎に続き、因幡が怒声を上げると、男鹿は2人を見下ろして言う。
「日が暮れるまでやる気かよ。どっちもへっぴり腰じゃねえか」
「「……………」」
「どうした神崎、そいつも片付ければいいじゃねえか」
観戦していた明智はタバコに火を点けながら言った。
「男鹿さん! 邪魔しないでくれ! ここで引いたら仲間が…!」
「そんなもん知ったこっちゃねーんだよ。つまんねーケンカ見せつけんじゃねえ」
寿の言葉に、男鹿は冷たく返す。
「「…!」」
「そんなもん…だと?」
男鹿の発言に怒りを覚えた寿は後ろポケットに手を突っ込み、大型折り畳み式のジャックナイフを取り出し、男鹿に突進し、顔面目掛け横に振るった。
「!?」
寸前で避けたつもりだが、鼻先が熱くなったと思えば、横一線に切れて鮮血が噴き出した。
「ダゥ!?」
それを見て驚くベル坊。
「やめろ寿!!」
寿が次の攻撃をしようとしたところで、因幡はその手首をつかんで止めた。
「おいおい、仲間割れか? 随分頼もしい仲間を引き入れたな、寿…」
「く…っ!」
明智に嫌みを言われ、ナイフの刃先は神崎に向けられる。
「因幡、こいつとやれないならオレがやる…!」
「待て…、ダメだ!! こいつはオレとやる…!!」
「マジでムリだからオレが代わろうって言ってんだ!!」
本格的な仲間割れが始まろうとしたところで、神崎は因幡の肩をつかんだ。
「代われ因幡。てめーじゃ話になんねーよ」
「…っ! 神崎…」
「オレとやるのも嫌だ、オレと誰かがやるのも嫌なら、とっとと石矢魔に帰れっ!! 2度と関わんな!!」
「……………」
殴られるよりも辛い言葉に、思わずたじろいでしまった。
言い返す気力もなくしてしまう。
「因幡…」
寿はその背中を支えようとしたが、
ゴッ!
「!?」
その前に神崎に右頬を殴られた。明らかに因幡が食らっていた時の倍だ。
「寿!」
地面に尻餅をついた寿に、因幡が駆け寄る。
他の夜叉達も「寿さん!」と駆け寄り、神崎を睨みつけた。
だが、神崎の一層険しい表情を見てしまい、夜叉達は一瞬怯む。
「自分のケツくらい自分で拭きやがれ…!!」
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