32:行くか行かないかは。
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次の日の朝、肌寒いので皮のジャケットを着ていつもの靴を履き、駅に到着した因幡だったが、券売機の前にいたリーゼントに硬直した。
「今日は登校日だぞ。サボりか?」
そう言う姫川も、学ランではない。
長袖のアロハシャツの上からジャケットを着ていた。
「な…っ、なんでいるの…」
思わずたじろいでしまう。
「電話同士の盗聴も可能だって知ってるか?」
「それ…、犯罪じゃ…」
「冗談だ。夏目からメールが来た。たぶんてめーも受け取ってるはずだ」
姫川は自分のケータイの画面を見せつけた。
夏目からのメール文が表示されている。
「同時送信…だったのか…」
「絶対行くと思った。それに、てめーが今更昔のことを女々しく引きずるわけがねえと…」
「姫川…」
姫川はフッと笑い、微笑んだ因幡は「もう1ついいか?」と優しく問い、姫川の腕を引っ張って引き寄せ、小声で尋ねる。
「どーして男鹿君と、明らかに強制的に連れてこられました的な古市君までいるの?」
姫川の後ろにいた2人に、因幡は問い詰めずにはいられなかった。
ひとり学ランの古市は喚いている。
「オレは来るつもりなかったんですよっ!! なのに男鹿がっ!!」
「いいからいいから。面白いから。な?」
「てめーがだろっ!!!」
なだめようとする男鹿に、火に油を注がれた古市は全力でつっこむ。
気のせいだと思っていたベル坊のことを思い出した因幡は「このやろう、昨日の会話聞いてやがったな…」と引きつった笑みで唸るように言った。
「おまえも棄見下町に行くっつーから、同行させてもらおうと思ってな」
男鹿は逃げ出そうとする古市の首に腕をかけながら返す。
「オレとは違う理由で男鹿達も棄見下町に行くってことか? なんのために?」
単に喧嘩したいだけだろうかと思ったが、そこまで喧嘩バカではないだろうと考える。
「大魔王からその町調べてこいって言われたんだよ。悪魔が無差別契約?してるかもしれねえからって…」
「!!」
「?」
悪魔と関わりのある因幡と、普通の人間である姫川の反応は異なった。
「おい男鹿っ!」
悪魔の存在を隠しもしない男鹿を古市はたしなめる。
(悪魔と関わりがある…?)
この一件、ますます引き下がれなくなってしまった。
.To be continued