29:刺客がきました。
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「…ベヘモット34柱師団が動きだした。どういうめぐりあわせか、焔王が桃ちゃんと関わったようだ」
「……知ってる」
地下牢の檻越しで仮面の少年は真っ暗な天井を見上げたまま、フユマに返した。
手足をくくりつけられて数日が経過したというのに、声色に余裕が窺えた。
フユマは、屋敷の誰かがこいつに喋ったのか、と怪訝そうな目を向ける。
「…それで、ボク達どうすればいいの?」
「出る幕はないということだけ伝えに来た。ベヘモット共とは極力関わりたくない。探りを入れてると誤解されて面倒なことになりかねないからな」
「そ」
仮面の少年は興味なさげに返す。
「……この波に乗じて、と妙な考えを起こすなよ? 桃ちゃんとシロトは重要な存在だ。たとえ殺したいほどの憎悪を抱えていたとしても、なにか勝手をすればジジ様に殺されるのは…、おまえだ」
「はいはい。フォローしてくれてるフユマには感謝してるよ」
仮面の少年は檻の柵に手をかけてこちらを睨むフユマを見、軽い口調で言った。
「本当にわかってるのか…」
そう言ってフユマは舌打ちを残し、去っていく。
それを見届けた仮面の少年は口端を吊り上げ、手足の皮紐を自力で引き千切って椅子から立ち上がった。
その背後に3つの人影が現れ、仮面の少年に跪く。
「そろそろ動いちゃっていいよ。ボクがここから抜け出すと、見ての通り、怖いおじんが怒るから…。ねぇ、“パンドラ”?」
「はっ」
「依頼通り、因幡桃とその血縁者、抹殺してまいります」
そう言って3人組は煙のように消えた。
(フユマ…、“ボク達”より、“殺し屋”に動いてもらったほうがベヘモットにバレなくていいでしょ? それに、今の桃ちゃんじゃ全然ダメなんだよ。殺し甲斐がないじゃん…)
「妙な考えって、こういうことかな?」
呟く仮面の少年は、くつくつと笑った。
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