29:刺客がきました。
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「ぅ…んっ!」
姫川のマンションに呼ばれた神崎は、その夜、いきなり姫川に壁に背中を押しつけられ、強引に唇を奪われた。
口内を堪能し、姫川が唇を離すと同時に唾液の線が2人を繋ぎ、ぷつりと切れる。
神崎は息を荒くし、涙目で姫川を見上げた。
「ひ…めか…」
「悪い…。こんなつもりじゃ…」
ゲームをするために呼んだはずだった。
だから、神崎以外にも友達を呼んでおいた。
だが、他のメンバーがコンビニに行った今、2人きりの空間に姫川が耐えきれなかったのだ。
「あいつら…、戻ってきたらどうすんだ…」
「その時は…、オレ達はこういう関係ですって暴露すればいいだけのことだろ?」
小さく笑った姫川は早くも開き直り、神崎の額や瞼にキスを落とす。
神崎も友達がいつ戻ってくるかハラハラしながらも、内心ではそれを喜び、拒もうとはしなかった。
「神崎…、このまましてもいい?」
「え…、それは…」
目を泳がせる神崎に、姫川は裾の中に手を侵入させた。
そしてそのまま2人は…、
「…………掲載されてる…」
夜、コンビニの隣にある書店で立ち読みしていた因幡は、コハルの漫画である“ヨーグルッチとリーゼント”を見つけ、唖然としていた。
「…どういうことだ…?」
コハルは現在行方不明のはずだ。
仕事場も家のはずなのに、漫画が掲載されているのはおかしな話だった。
本を購入した因幡は書店を出て、ケータイから編集者に電話をかけた。
“ああ、因幡コハルさん、直接出版社に来ましたよ”
「はあ!!?」
なぜ漫画が掲載されているのかと問いただしたところ、編集者はあっさりと返事を返した。
あまりの素っ頓狂な声に通行人の視線を浴びる。
続いてアシスタントに連絡をしたところ、こちらもコハルと会っていることが判明した。
“すみません、あまりに自然に来るものですから…”
“あれ? まだ行方不明だったんですか?”
“なにがあったのかシメ切りまで余裕で出来あがってて、トーンとか背景とかスムーズにできました”
しかし、肝心のコハルの居場所はわからない。
アシスタント達は、そのまま実家に帰ったものだと思っている様子だった。
次に因幡は桜に電話した。
“母さん? 戻ってきてないけど…”
「……だよな…」
“桃ちゃん、今日はお泊まりならちゃんと連絡しなさい。春樹も。4人分作っちゃったじゃない”
桜が電話越しに頬を膨らませているのが伝わってくる。
「あ、悪い。父さんにも代わりに謝っといて」
“あまり心配かけさせないでね”
「ああ」
そう返して因幡は通話を切った。
「……ホント…、どうなってんだよ…。どこにいるんだよ、母さん…。それにこのネタ…」
明らかに、今の状況だ。
マンションの絵も、姫川のマンションそっくりに描かれてある。
コハルがまるで自分達のすぐ傍にいるような、そんな感覚だ。
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