28:ゲーム開始の時間です。
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ドス!
「……え?」
「春樹!!」
いきなり、隣にいた春樹が背後からサバイバルナイフで刺された。
致命傷を負った春樹に続き、大森はロケットランチャーに撃たれ、城山はチェーンソーで体を真っ二つにされてゲームからリタイアしてしまう。
「どうなって…!」
形勢はこちらに傾きつつあったはずだ。
花澤が貴重な戦闘ロボを手に入れて、敵の戦車を潰してくれた。
調子に乗ってこちらのロボまで壊れてしまったが、振り出しに戻っただけだ。
なのに、今度はなにもないところからの攻撃だ。マップを見たが、敵の位置が映しだされていない。
「―――…チートか…」
呟く神崎に、古市は「チート…?」と聞き返す。
それに姫川が説明した。
「オンラインゲームで最も忌み嫌われる行為だ。こいつら、ゲームのプログラム自体を不正に改造してやがる。光学迷彩なんてこのゲームにはねぇぞ」
「光学迷彩って…」
「奴ら、マップにも映らねぇ、透明人間になりやがった…!!」
「はぁ!? 要するにズルってことっスか!?」と花澤。
「そんな…、敵が見えないなんて…。一体どうすれば」と古市。
「…………フン」
鼻を鳴らした姫川は席を立った。
「城山…、ちょっと代わってろ」
「は? お…、おい、姫川、どこへ行く!!」
「10分程持ちこたえろ。その間に用意する」
「用意?」
こちらに振り返る姫川の目は、外道の目だった。
「―――このオレに、イカサマ勝負挑むとは、バカな野郎だ」
その目を見た全員は思わずゾッと戦慄した。
この男だけは敵にまわしたくはない。
一度やられたことのある因幡は改めて思い知らされることになる。
「あ!!」
姫川が出て行ってすぐに城山がまたやられてしまった。
5分も経過していない。
「クソ!!」
続いて、春樹もやられてしまった。
衛生兵であるラミアの元へ向かおうとしたところでだ。
サブマシンガンに撃たれてしまった。
「やられたあああ!!」
続いて、花澤もバズーカにやられてしまう。
「っ!!」
そして、神崎も。
次々と死んでいく仲間に、因幡は闇雲に撃ちまくるが、当たった手応えはなく、撃ち返されてしまう。
すぐに瓦礫の後ろへと隠れた。
「クソ…ッ」
生き残りは、因幡、古市、ラミア、夏目、谷村の5人だ。
それも時間の問題だろう。
「これがチート…」
“桃”
「!」
突如、玄関からシロトに声をかけられた。
「シロト…」
数メートル離れていても、会話をすることが可能だ。
因幡は声を潜め、苛立ち混じりに言い返す。
「なんだ、今話してる場合じゃ…」
“そのゲーム、微かだが魔力を感じぬか?”
「…!」
まさかとは思っていたが、本当に悪魔が関わっているのだろう。
小さなトゲほどの魔力を感じ取っていた。
「相手はやっぱ悪魔か…。おまえ、どうにかできねーのか?」
“それはネット上で行われていることだ。ワシにはどうすることもできん”
「クソ…ッ」
その頃、脱落した神崎達は薄暗い廊下に並び、真っ白に燃え尽きていた。
ケータイを片手に戻って来た姫川はそれを見下ろす。
「―――なにをやってんだ、おまえら…;」
「姫川…、スマン。やはりオレには荷が重かったようだ…;」
「死体置場っス」
「バカなことやってねーで部屋に入れ。反撃すっぞ」
「反撃?」
姫川の口元は楽しげに吊り上がっていた。
「―――あぁ。随分散財したが、準備OKだ。こっから先は、ちょっと見物だぜ」
「! 姫川!」
「姫ちゃん」
「姫川先輩!!」
部屋に入って来た姫川は周りを見渡し、生き残りを確認する。
「―――フン、なるほどな…。残ったのはこの5人か。まぁいい。全員、席につけ」
姫川が席に着くと、廊下にいた脱落組も戻ってくる。
「オ…、オレ達もか? もう死んでるぞ?」
「いいからつけ、タコ」
言われるままに、全員元の席に着く。
「おいコラ。なにやるか説明しろや!!」
神崎の問いに姫川は答える。
「ククッ…、向こうが透明人間なら、こっちはアンデッドだ」
「あ!?」
「待たせたな。始めてくれ」
姫川はケータイを耳に当て、指示を出した。
最初に気付いたのは春樹だ。
ゲームオーバーの画面が、元に戻った。
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