28:ゲーム開始の時間です。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
集合場所は姫川のマンション前だ。集合時間ちょうどに到着した。
すでに、ほとんどのメンバーがそろっていた。
だが、ラミアと古市の姿はない。
「―――ってことで、弟連れて来た」
「ども…、お久しぶりっス」
ペコリとお辞儀する春樹。
石矢魔メンバーと会うのは、学園祭以来だ。
メンバーももちろん春樹を覚えていた。
「神崎さんっ、あのっ、ご指名ありがとうございます!」
神崎の前で再び深くお辞儀する。
「おう」
神崎が春樹を推薦したのは本当の話だった。
以前、因幡の家に遊びに行ったとき、一緒にゲームをしたことがある。
初めてのソフトでも楽々とクリアしていく春樹を思い出して因幡に連れて来るよう頼んだのだ。
「お礼というか、差し入れというか…、どうぞっ」
春樹がカバンから出したのは、ヨーグルッチだ。
それを受け取った神崎は口元を緩ませる。
「気がきくじゃねーか」
(いつの間に…)
因幡はこちらに来るとき、一度も春樹がヨーグルッチを買ったのを見たことがない。
おそらく、ずっとカバンの中に忍ばせていたのだろう。
「…!」
その時春樹は、敵意のある視線を感じ取り、そちらに顔を向けた。
城山が恨みがましく見ていたのだ。
(オレが神崎さんの一番の腹心だ…!!)
(その席、譲ってもらうっスよ…!!)
2人の間に火花が散る。
それを感じ取った神崎以外のメンバーは少し引いている。
神崎はそんな2人に気付かず、姫川の部屋番を押してインターフォンを鳴らした。
コール中、他のメンバーもそれに近づく。
「「「「ひーめかーわくん!! あーそーぼっ!!」」」」
話しあったわけでもないのに、全員の口から発せられた。
“おまえらわざとやってんだろ…。さっさと入れ”
呆れながらも姫川は玄関のドアを開けた。
同時に、住人と思わしき女性が出て来た。
「な…、なんかドキドキするっスね。キャリアウーマンっスよ…」
改めて金持ちのマンションであることを思い、出て行ったキャリアウーマンの背中を見送る。
「堂々としてろ、バカ」
メンバーはマンションの玄関を通過し、エレベーターへと向かう。
「オレ達だって遊びに来たわけじゃねーんだぞ」と神崎。
「ええ」と城山。
「いや…、ゲームしに来たんだけどね」と夏目。
「てゆーか、なんであたしらまで…;」と大森。
「人数がいるんですよ、寧々さん!!」と谷村。
「アキチは今日もやる気だねー」と花澤。
「ここが姫川さんの家…;」と春樹。
「キョロキョロすんな、春樹」と因幡。
因幡はエレベーターのボタンを押し、1階へと呼んだ。
ドアが開き、その場にいる8人が乗り込む。
ゆっくりと25階へ上がっていくエレベーター。
ガラス張りの壁を見ると、昨日見た夜の景色とは違う、明るい街並みを楽しむことができる。
「人数がいるってどんなゲームよ? アタシら全部で11人もいんのよ? そんなゲームあんの?」
そう質問したのは大森だ。
谷村が簡潔に答える。
「戦争ゲームですよ。オンライン上で人を集めて、チーム分けして戦うんです。大きな物になると、200人以上入れる物もありますよ」
「谷村…、おまえ詳しいな」
つっこむのは城山だ。
谷村は昨夜姫川から借りたゲームソフトを取り出す。
「昨日、ソフトを借りて徹夜で練習しましたから…、今日は負けません」
「ゲームになると、本当キャラ変わるわね…。アンタ…」
顔つきも違う。
25階に到着し、扉が開いた。
「つーかよ…、古市はどーした、古市はっ!! あのラミアとかいうガキもだっ!!」
最初に焔王捜索に全員を巻き込んだのはあの2人だ。
しかし、時間には来ていない。
「寝坊かもよ、朝早かったし…」
そこで因幡は言葉を止めた。
廊下の向こうから、大きなオッサンが歩いてくる。
アランドロンだ。
「あいつら、オレ達より遅れてきたらただじゃ―――…」
神崎も気付いた。
「失礼―――…」
メンバーが出たエレベーターに乗り、アランドロンは下へと降りていく。
「―――…。あれ…?」
「なんだっけ……? あいつ…」
バレーボールの試合に出させるために、ヒルダの指示によってアランドロンに強制的に転送された神崎と夏目だったが、そのことはトラウマとなって覚えていなかった。
「あ…、おはよーございまーす」
アランドロンが歩いてきた方角から、古市とラミアがこちらにやってきた。
.