27:うちに来ませんか?
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次の日、因幡は自分の部屋でのんびりと漫画を仰向けに寝転びながら読んでいた。
“…おい”
「あー?」
ベランダに干した愛用靴に話しかけられ、因幡は生返事を返す。
“あの2人について考えるんじゃなかったのか”
「考えてる」
“だったら呑気にマンガなんぞ読んでる場合か”
「だからこうして少女マンガ読みながら考えてんじゃねーか」
“……BLのな…”
間違った参考書ではない。
神崎にあのデタラメを述べたところで納得するとは思っていない因幡は、コハルの仕事部屋から参考書(BL本)を借り、理由づけを考えていた。
“よくもまあ恥ずかしげもなく読めるな…”
「物心つく前から読み聞かせられてたからな。それこそ日本昔話や童話のように…」
懐かしさのあまり口元が緩む。
“自分で娘を腐らせたのか、あの母親は!!”
傍から聞けばとんでもない話だ。
悪魔もつっこむ。
因幡はラブシーンに釘づけになりながら、シロトに尋ねる。
「……シロト、神崎にキスするのって、どうしても姫川じゃねえとダメなのか?」
“送り込む魔力の適合性は姫川がいい。…おヌシでもよいのじゃが…、魔力の濃度が濃すぎて神崎が中毒になってしまう”
「オレは麻薬か」
なにがあっても神崎に口を触れないことを心に誓う。
「なら、当分は姫川に任せた方がいいな…。…当分って言っても、おまえの一部が離れなきゃ意味ねえか…。剥がし方とかあるのか?」
“……言っても、おヌシにはできぬよ”
「?」
どういうことか尋ねようとしたとき、枕元に置いておいたケータイの着信が鳴りだした。
耳元にあったため、耳鳴りを覚えた因幡は顔をしかめ、ケータイを手に取って相手も確認せずに通話ボタンを押して耳に当てる。
最初に耳に入ってきたのは、電話越しの周囲の音だ。機械的な音が鳴り響いている。
「もしもし?」
“よ…、よう…”
「おー、神崎か」
噂をすれば、というやつだ。
辺りがうるさいので声が大きめだ。
“因幡…、今ヒマか?”
「ん? ああ…」
神崎の話し方がいつもと違ってたどたどしい。
それに気付いた因幡は怪訝な顔をした。
“これからゲーセンに来ねえか? 前にいったとこ。夏目と城山も一緒だ”
そこで神崎がいる場所がゲーセンであることがわかった。
周りの音がそれだ。
「わかった。今からな」
“因幡”
用件はそれだけかと通話を切ろうとしたところで、神崎はまた声をかけた。
「あ?」
“おまえ昨日なにしてた?”
「なにって…、マンガ読んでた」
姫川が帰ったあと、すぐに参考書を漁ったのだ。
“…そ…っ、…そうか”
なにやら動揺した様子で、神崎は「じゃああとでな」と通話を切った。
因幡は、ツー、ツー、と鳴るケータイを見つめ、首を傾げる。
「どうしたんだ?」
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