27:うちに来ませんか?
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
土曜日の昼過ぎ。
神崎は因幡の家の玄関前に来ていた。
5分もインターフォンを眺めたままで、微動も動かない。
どうして自分がここに来てしまったのか。
改めて考えてみる。
(……あ゛~~~~)
そして、後悔した。
昨日、姫川とキスしてしまったことを思い出したからだ。
頭を抱え、気持ちとは裏腹の真っ青な秋の空を見上げる。
傍から見れば、不審なこと極まりない。
「あいつに相談してどうなるってんだ…」
しかし、他にいい相談相手がいない。
夏目に話せば面白がるだろうし、城山に話せば「今すぐ姫川殺してきます」とか殺気立って言い出しかねない。
迷いに迷った挙句、頭に浮かんだのが因幡の顔だ。
「そうだそうだ。あいつにはいくつか疑問があったんだよな。母ちゃんのこともあるし…、オレのシッポのことだって…、それを含めてついでに聞くだけだ」
うんうん、と腕を組みながら頷いて自分を納得させ、インターフォンに人差し指を向けた。
すると、突然玄関の扉が開いた。
因幡家の誰かかと思ったが、最初に扉から見慣れた髪型の先端が見えたので、慌てて向かいの家の敷地内に隠れた。
玄関から出てきたのは、姫川と、因幡だ。
玄関からその先の短い階段を下りて向かい合う。
(なんであいつが因幡の家に…)
こっそりと覗いていた神崎は、怪訝な顔をする。
「それじゃあ…」
「因幡…」
「!!」
姫川がいきなり因幡の耳元に口を寄せるものだから、神崎は一瞬心臓をつかまれた気持ちになった。
姫川が因幡になにかを囁くと、因幡は薄笑みを浮かべ、「わかった」と頷いた。
「じゃあな」
「車じゃねーのか?」
「いちいちそんな大層なモン使ってられるか」
徒歩で因幡の家を去る姫川。
因幡はその背中を見届け、「さて、どうするか…」と呟く。
「どうやって…、キスさせようか…」
「!!!?」
頭をひねり、因幡は自分の家へと戻って行く。
その姿が扉に遮断されるまで、神崎は茫然と見つめていた。
(因幡が…、姫川のこと狙ってる!!?)
.