26:秘密の放課後。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
口が離れた2人は1分以上黙ったまま見つめ合い、先にそれを破ったのが、殴る力がなかったはずの神崎のコブシだった。
ゴッ!
「ぐっ」
右斜めアゴに直撃し、姫川のサングラスが飛んだ。
神崎は真っ赤な顔で立ち上がって姫川から離れる。
殴り足りないのか、コブシはまだ震えていた。
姫川は右手で殴られたアゴを押さえ、左手で制そうとする。
「待て神崎!」
「てめー…っ、オレの…!!」
そこから先を言うのはたえられなかった。
頭の片隅で事故だとわかっていてもショックが大きい。
姫川に背を向け、慌てて空き教室から出て行った。
(オレのファーストキスがああああああ!!!)
「神崎ぃ―――っ!!」
こちらに背を向けられた時、姫川は気付いた。
(シッポが…消えた?)
「……に…、逃げることかよ…」
静寂になった空き教室でひとり、床に落ちたサングラスを拾ってかけ直した姫川は小さく呟いた。
*****
その頃因幡は屋上から、カバンを持って玄関を飛び出す神崎を見下ろしていた。
「う―――ん…」
ケータイで、先程撮った写真を見る。
机が姫川の頭に直撃する0.5秒前。
「これって…、やっぱり…アレだよな…?」
勘ぐってドキドキした。
“ほう…。コハルの言う通り、カメラの才はあるのう…”
まさにベストショット。
机が直撃する前に、姫川から神崎にキスしていた。
どう見ても。
「…シロト、神崎が魔力欲しさに姫川に近づくのはわかったけどよ…。姫川の方は?」
“身体の片割れじゃからのう。無意識に分け与えようとするじゃろう”
「…じゃあ、仕方なくしたってことか」
それは少し寂しい。
反応はよかったが。
“接吻と言っても、頬や手とか、挨拶的なものでもよかったのじゃがのう…”
「…!?」
因幡は手に持っているシューズケースを目前まで持ってきた。
よく聞こえるように。
“どこにするか、決めるのは姫川次第…。無意識とはいえ、普通はマウストゥーマウスするものかのう…”
棒読み気味の英語を聞いてしばらく間を置き、因幡は苦笑を浮かべる。
「…………今言うか」
(確信犯め…)
シロトは「ククク…」と悪い笑みを露骨に漏らす。
“嵐の予感じゃのう”
「…さすが、母さんの契約悪魔」
どこかでコハルもほくそ笑んでいるのではないかと周囲を見回してしまう。
「嵐の予感…」
雨一つ降らなさそうな夕焼け空を見上げながら呟いた。
“桃もコハルと同じく、奴らの成り行きが気になるじゃろう?”
「……いつから同じになったんだか…」
成り行きが気になるのは素直に認めた。
そして、これから心の距離が遠くなったのか近くなったのかはっきりしない2人の仲をどうするかも、考えている。
.To be continued