26:秘密の放課後。
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昼休みが過ぎ、神崎の体調は目に見えるほど悪化していた。
しかし、肝心の因幡は欠席している男鹿と邦枝の代わりに、古市とともに早乙女の手伝いのため職員室へと出向いているので現状を知らない。
(……クソ、もう秋だってのに、暑い…っ。残念賞ってやつか?)
残暑です。
神崎は徐々に荒くなる息を抑えながら、ヨーグルッチを飲んだ。
それでも渇きは収まりそうにない。
好物なはずなのに、物足りなかった。
「神崎君? 具合悪そうだけど大丈夫?」
神崎の異変に気付いた夏目は、机に伏せる神崎の背中を擦った。
「ん…」
試しにその額に触れてみるが、平熱しか手のひらに伝わってこない。
「熱はないみたいだけど…」
「たぶん…、夏バテだ」
「遅くないですか?」
城山がつっこむ。神崎は上目遣いで傍に立つ城山を睨んだ。
「バカヤロー…。おまえ知らねぇだろ? 残念賞って…」
モコッ
「!!?」
そこで神崎は突然襲った体の異変に、はっと顔を上げた。
途端に、大量の冷や汗が出る。
(なんだ!? 今…、モコッって…)
そろそろと自分の右手を違和感の元がある尻に近づけ、触れた。
なにか丸い膨らみがある。
(オレ…やっちゃった? やっちゃった!? やっちゃったのか!!?)
一瞬、この世の終わりのような顔をした神崎は、そこを押さえたままゆっくりと立ち上がった。
「神崎さん…?」
「……ちょっと…、トイレ…;」
「…もしかして―――…」
夏目が鋭い目付きになったので神崎は焦った。
「漏らしてねえからなっ!!?」
「いや、おなか痛いのかと」
いきなり怒鳴られ、夏目はその迫力に気圧されながらも思ったことを口にした。
トイレに到着した神崎は誰もいないか確認したあと、奥の個室トイレに入ってドアと鍵を閉めた。
そして、立ったまま、ゆっくりとズボンを下ろす。
「おいおい、このオレがまさかの失禁じゃ…」
下着を見る。
汚れていない。
途端に、崖っぷちに立たされた思いから解放された。
しかし、尻の付け根辺りにはまだ違和感があった。
なんとなく、むず痒い。
「…?」
おそるおそる指に手を伸ばし、触れてみる。
ふわふわ、と毛玉のようなものに触れた。
「……………」
引っ張ってみた。
「イテッ!」
自分の一部のような痛みが走った。
「……………っ!?」
再び滝のような汗が流れる。
ズボンを穿き直し、一度外に出て、トイレの壁につけられた大きな鏡を見ながら、ズボンを少し下げて尻を見てみた。
「……なっ…―――」
シッポ。
とても愛らしい、ウサギの白いシッポ。
神崎はもう一度触れてみる。
先程と同じ感触で、引っ張っても痛いだけで取れない。
「なんじゃこりゃああああああっ!!!」
トイレに、神崎の絶叫が響き渡った。
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