25:失敗から得たもの。
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とある屋敷の地下には、明かりも差し込まない地下牢がある。
鍵のかかった檻の中で、仮面の少年は椅子に手足を皮紐でくくりつけられ、食事も水も与えられずに1日を過ごしていた。
柵越しに、ロウソクの灯りが近づいてくる。
足音は一人分。
その気配から、近づいてくる人物が手に取るようにわかった。
フユマだ。
「そこの居心地はどうだ?」
少年は仮面越しに、笑みを浮かべる。
「自分の部屋みたいに落ち着くよ。慣れって怖いねぇ。この縛り方もクセになりそう」
「だったら、もっとおぞましいところに放置してやろうか。感覚が死ぬくらい…」
「これ以上のところがあるの?」
期待を抱く口調だ。
「…口の減らねえガキだな」
「減らず口はフユマに似たんだ」
「やめろ気色悪ぃ」
フユマは舌打ちし、檻の中に足を踏み入れた。
「オレ様の執事使って、とんでもねーことしてくれたな。契約の際、陣の中に部外者を入れてはならない。…てめーが知らなかったとは言わせねえぞ。聞いてんのかコラ!!」
ゴッ!
躊躇なくコブシで殴られ、仮面が檻の片隅に転がった。
少年の吊り上がった口端から血が一筋流れる。
「くく…っ、フユマがさっさとやらなかった結果だよ。なにキレてんの? 逆に褒めてほしいくらいなんだけど」
「責任転嫁すんじゃねえっ!!」
ガッ!
今度はアゴに食らわせた。
しかし、少年の笑みは消えない。
フユマは人形を殴っているかのような気味の悪さを覚えた。
「…コハルからシロトは引き剥がした。それだけでフユマは超満足してる。…違う?」
「……………」
「アッハ、わかりやすくてマジウケる。カワイイおじんだよねー」
パンッ!
手の甲で右頬を打ち、前髪をつかんだ。
「言うようになったじゃねーか。おまえってそんなベラベラ喋れたっけ? てめーこそわかりやすい奴だな。次にオレ様に向かって「おじん」なんて言ってみろ。その舌、ズッタズタに刻むぞ、クソガキ。てめーはただ、息してればいいだけの存在だからな」
フードの下から覗く瞳は、ロウソクの灯りよりも赤く染まっていた。
「う、わ…。今の、死ぬほど傷ついた…」
フユマは少年の前髪から手を放した。
「てめーのせいで計画が大きく狂った。最悪だ。ジジ様になんて言えばいいんだ…。……これが目的だったわけじゃねーだろな?」
「疑心暗鬼になってるよ、フユマ。…不安なら、そろそろボクに全部投げてくれないかな?」
「……それができれば苦労しねーんだよ。あと1週間はそうしてもらうからな」
フユマは檻に鍵をかけ、出入口へと向かう。
少年は口の中に溜まった血を足下に吐き捨て、再び訪れる暗闇の中、天井を見上げた。
(あーあ、結果オーライって言葉、知らないのかな…。分散した力はどうとでもなる…。その時キミは、どんな顔をするのかな…。桃ちゃん)
暗闇の中、少年は狂気じみた笑みを浮かべた。
.To be continued