02:やられたら、やり返します。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ブチリッ、と血管が切れる音と、力づくでロープが引きちぎられる音が重なった。
「………殺す」
すぐさま姫川は因幡から離れ、神崎の隣に戻る。
「てめぇら2人、2度と学校にこれないよう、病院どころかそのまま霊安室に送ってやる…」
目がマジだ。
「死ね!!!」
因幡が踊りかかろうとしたとき、姫川はいきなり神崎の懐やポケットを探りだした。
「おい! アレ出せアレ!!」
「うわ!? なんだ!? なにしやがる!?;」
そして、取り出して見せつけられたものに、因幡は動きを止めた。
姫川が持っていたのは、ヨーグルッチだ。
2度もそれのせいで酷い目に遭っているため、因幡はもう迂闊に動けない。
水戸黄門の印籠を見せつけられた悪党の気持ちを知ってしまう。
「てめー…」
因幡の様子に神崎は「どうした?」と首を傾げる。
「あいつの弱点は牛乳および乳製品だ」
「は!? 牛乳!?;」
そういえば、異常なほどヨーグルッチを拒んでいたのを思い出す。
弱点を知られてしまい、因幡はますます動きづらくなる。
「本名、因幡桃。性別、女。前の高校は乱闘事件を起こして退学になったそうだな」
調べ上げたことをそのまま口にする姫川に、因幡は驚きを隠せない。
「どこからそんな情報…」
「姫川グループの情報網にかかりゃ、てめぇの個人情報なんざ一発だボケ」
姫川の方から先に始末するべきだった、と因幡は後悔を覚えた。
悔しそうな因幡の顔を見ながら、姫川は続ける。
「…金に釣られないのはわかっていた。てめぇも良いとこの嬢ちゃんなんだろ? どういう育ちしたかは知らねえが、家族仲は良好。別居じゃねーようだな」
「嬢ちゃんって言うな!!」
因幡は嫌悪の表情を浮かべる。
「女」であることを酷く嫌っているのが見て窺える。
「……バラすのか?」
因幡の問いに、姫川は遠慮なく頷く。
「てめぇの態度次第だがな…。オレの下につくなら…」
「だったら勝手にしろ! 前にいたところもそうだった…。たとえ「女」と指さされて笑われようが、そんな奴は転がしてやればいいだけの話だ。オレの筋は他人に曲げられるほど、やわじゃねえんだよ!!」
その瞳に迷いはなかった。
本当にバラされてもかまわないと思っている。
「あ…、そう。だったら、勝手にさせてもらう」
「…じゃあな。用はそれだけらしい」
2人は並んで教室を出ていき、その場には因幡だけが取り残された。
日は落ち、教室が暗く染まる。
「……………」
因幡は2人を追いかけようとはせず、ただ立ちつくしていた。
「……ホント…、勝手にしてくれ…」
なにを思い出したのか、暗く沈んだ声でぽつりと呟かれた。
.