23:家に帰るまでが学園祭です。
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霧矢は不気味な笑みを浮かべ、机から下り、マイクを振りまわしながらコートへと近づいていく。
「驚いたぜ~? てめーがこんな学校にいるとはよ~。しかも、天下の不良校、石矢魔のトップ達がそろいもそろってバレーって…、クク…、おまえら全員死ねよ」
「あ゛ぁ!?」
「なんだ、こら」
神崎と姫川はネット越しに霧矢を睨みつける。
出馬は霧矢に近づき、なるべく穏やかに事を済ませようと静かに言った。
「出てってもらえるか? ここはキミみたいなのが来るとこやない」
「出馬さんっ!!」
霧矢はマイクを口元に寄せ、人差し指を上に向けた。
「残念だなー。ロッキセーの兄ちゃん。てめーらの出番はねーよ」
ギャラリーにはいつのまにか、帝毛の不良達が聖石矢魔の生徒達に凄んでいた。
逃がさないように出入口まで塞いでいる。
ゴガッ!
出馬がギャラリーを見上げている隙に、霧矢はそのマイクで出馬の頭部を撲り付けた。
「……っ」
「ここにいる生徒全員が人質だ。わかったら、大人しくしてな」
「なにが目的だ!! 霧矢…!!」
三木は霧矢に詰め寄る。
「あーん? てめぇ、どっかで会ったっけか?」
「なに…!?」
その横を男鹿が通過し、霧矢に話しかける。
「おいアフロ。オレに、なにか用か?」
「男鹿…」
そこで姫川は霧矢の名前を思い出した。
「霧矢って…、もしかして魔野中の霧矢令司か…」
「知ってんのか?」
郷が問い、「あぁ…」と答えて言葉を継ぐ。
「結構な有名人だったぜ。「マムシ霧矢」。確か、どこだかに引っ越して見なくなったと思ったが…、戻ってきてたとはな」
「用? 生ぬるいこと言ってんじゃねーぞ、男鹿…。オレはてめーの人生をぶっ壊しに来たんだよ」
凄む霧矢に男鹿はただ「そうか」と返し、ベル坊を両手に抱え、霧矢の目前に近づけた。
ベル坊はじっと霧矢の顔を見つめる。
「……………」
意味不明な男鹿の行動に構わず、霧矢は話を続ける。
「いいか、聞けこら。オレがどれだけこの日を待ちのぞんだか…。てめーに受けたこの傷の恨みと屈辱の数々を―――って、邪魔だ―――っ!!」
ベル坊目掛けマイクを振ったが男鹿はベル坊を持ち上げて避け、
「うるせ―――っ!!」
ゴキン!
ベル坊を振り下ろし、かかと落としを食らわせた。
「久々にいいカンジにクソヤローが来たと思ったケド…、期待はずれ!!!」
「フーッ」
ベル坊は「ないない」と見下す目を向け、肩を竦める。
「えぇっ!?」
ショックを受ける霧矢。
それを見て因幡は密かに噴き出した。
(臆せずか…)
ギャラリーではそれを楽しげに見物している影が2つあった。
フユマと鮫島だ。
「ここはヒマがなくていいな…。オレ様も学園ライフをエンジョイしとくんだった」
黒のパーカーのフード下からその光景を見るフユマの口元はニヤニヤとしていた。
「……こんな時にアイツはどこ行ったんですか?」
「アイツ? …ああ、なんか学園祭を楽しんでるぜ。あいつもオレ様と同じ、学校なんて来たことないから、珍しいんだろ。ところで、桃ちゃんの弟君はどうだった?」
フユマの視線は春樹を見ていた。
「……感じた魔力はスズメの涙。ほぼ人間と言っていいでしょう」
「あ、そう…。…だよなー」
あまり期待してなかったようだ。
すぐ隣にいる因幡を見る。
「…あれ?」
因幡と春樹は霧矢達の様子を窺いながら体育館の出口へと移動した。
「桃姉、どこに…っ、助け呼ぶのはムリだぞ…!」
「いいから」
出入口に近づくと、そこにかたまっていた帝毛の不良達が気付いた。
因幡は帝毛の不良達に笑みを向けながら、低い声で言う。
「春樹、てめーはあとから来い。……じゃないとてめーから先に転がすからな」
「えぇ?」
それだけ言うと、因幡は帝毛の不良達に近づいて話しかけた。
遠巻きにこちらを見ている春樹に聞こえないように。
「じょーちゃん、こっから先は…」
「す…、すみません…、怖い人達が多くて…、おトイレ…行きたくなっちゃって…。逃げませんから…、行かせてください…っ」
目を潤ませ、もじもじとしながらできるだけ清純そうな女に見せかける。
その姿に帝毛の不良達は顔を見合わせ、「どうする?」と話しあっている。
「信用できなければ…、おトイレまでついてきてもらっても…かまいません…」
声は小さく、恥ずかしげに。
「…それなら…」
出入口に2人だけ残して、5人が女子トイレについてくることになった。
5人ともやらしい顔している。
因幡は体育館の玄関近くにある女子トイレへと向かった。
玄関にかたまっている帝毛の不良達も多い。
女子トイレに到着し、帝毛達も窓から逃げないようにと入ってくる。
「あの、できたら扉、閉めていただけますか」
バタン…
ドギャッ!!
瞬間、派手な音が鳴り響いた。
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