23:家に帰るまでが学園祭です。
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邦枝が戻ってきたことによって、石矢魔チームの巻き返しが始まった。
2セット目は石矢魔チームがとり、続く3セット目、石矢魔と六騎聖の激しい攻防は続いた。
古奈も司会の熱を上げる。
「さぁー、大変なことになりました!! 一体、誰がこんな展開を予想したでしょうか!! 両者、一歩も譲らぬ激しい攻防!! 1セット目は六騎聖!! 2セット目は石矢魔がそれぞれとり、そしてデュースに次ぐ、デュース!! 試合はなんと第3セットまでもつれこみ、特典は27-28!! 石矢魔5回目のマッチポイントです!!」
六騎聖と石矢魔、どちらも肩を上下させ、息を弾ませている。
マッチポイント。
姫川は慎重にサーブを飛ばしたが、キレイな曲線とは言い難い。
「おっと姫川選手、サーブが乱れました!!」
「もう体力の限界なのでしょう」
姫川はボールを見上げ、舌を打った。
六騎聖サイドに飛んだボールは三木がネットに向けて打ち返す。
「さぁ―――、六騎聖、チャンスボールです!!」
出馬がこちらに飛んできたボールを打とうとジャンプし、すぐに石矢魔チームがネット前でブロックしようとするが、
ドッ!
「出馬選手渾身のスパイク!!! ブロックはじいた―――!!」
出馬のスパイクさせたボールは、ブロックの夏目の左手を弾いた。
ボールは後ろに飛び、コートの外へと出てしまう。
ここでボールを落としてしまえば、また同点となってしまう。
邦枝はすぐにボールを追った。
「くっ」
「邦枝選手、これを追うが間に合わない!!」
六騎聖達は得点を取ったと思ったが、邦枝の横を通過した影に目を見張った。
男鹿だ。
「―――なっ、なんと男鹿選手…、ポジションを無視してこれにくらいついてくる」
「取れぇ!! 男鹿―――っ!!」
今のキャラを忘れ、因幡は叫んだ。
男鹿は手のひらではなく、コブシでそれを打ち返す。
ドッ!!
男鹿が打ち返したボールはネットを越え、六騎聖サイドのコートのライン手前で落ちた。
体育館は一瞬の静けさに包まれ、湧きあがる歓声に破られた。
「は…、入った―――っ!! 入りました!! まさかの返球に一歩も動けず!! 27-29!! エキビジョンマッチバレーボール対決を制したのは、なんと、石矢魔です!!!」
「「「「おおおっ!!!」」」」
石矢魔チームも歓喜の声を上げた。
「姉貴! 石矢魔が勝った!!」
「バカ…ッ、見れば…わかるだろ…っ」
因幡の目尻には涙が浮かんでいた。
その隣では花澤と大森も勝利の喜びに震えていた。
「やっ…、やった!! やりましたよ、寧々さん!!」
「うん!! うん!!」
「坊っちゃま…」
「おっしゃ―――っ!!」
「これで石矢魔の退学は白紙になりました!!」
両チームが整列すると、ギャラリーから拍手喝采が湧き起こった。
試合前と違い、聖石矢魔の生徒達も石矢魔を見る目が変わったのだ。
「すごかったぞーっ!!」
「石矢魔おめでとーっ!!」
「六騎聖も、いい試合だったぞーっ!!」
拍手に包まれながら、石矢魔と六騎聖は向かい合う。
「やれやれ、負けてしもたな…。邦枝さんか…。憶えとくで。君には完敗や」
そう言う出馬に、邦枝は薄笑みを返した。
「…いい試合だったわ。またやりましょう」
「「「おいおい。やだよ」」」
2度とごめんだ、と神崎、姫川、夏目がつっこむ。
「そっちの君も…」
出馬の視線に気付いた男鹿が顔を向ける。
「男鹿君ゆうたか。久也が目の敵にすんのもよぉ分かるわ。まぁ、キミらにはまだこれから…」
「あっ、ちょっ…、なんですかあなた!!」
その時、司会席の異変に全員が注目した。
「返してくださいっ!! ちょっ…」
突然現れた男に、古奈はマイクを奪われてしまった。
男は司会席の机に座り、「あー、あー…。テステス」とマイクのテストをする。
「はーい、静粛に。いい試合だったねー。聖石矢魔の皆さん。うん、とってもいい試合だった」
龍の絵柄が入ったジャケットを着たその男は、他校の生徒のようだ。
マイクを強奪し、予定のない事態に非常口から実行委員が駆けつけるが、帝毛の不良に行く手を塞がれてしまう。
「スポーツを通じて一致団結。流れる汗。ほとばしる情熱。お互い、死力を出して戦ったその先には、もう一切のわだかまりもなく、いつしか認め合い、一つになる聖石矢魔と石矢魔…―――ってか? クソ似合わねーことしてんじゃねーぞ、男鹿!!」
男鹿、古市、三木はその男に見覚えがあった。
「!!!」
「あれは…」
「…っ!! 霧矢!!」
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