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第2セットが始まり、邦枝の腕が回復するまでリベロは古市が務めることになったが、あの邦枝でも返せなかったサーブだ。
古市に受け止められるはずがない。
出馬のサーブやスパイクに逃げ惑う始末だ。
このままだと、あっという間に負けてしまう。
それを出入口の陰から窺う因幡の姿があった。
(この第2セットで負けたら…)
退学決定。
通学路を一緒に行くことも、一緒に弁当を食べることも、一緒に机を囲んでヒマを潰すこともできなくなってしまう。
レッドテイル達や、城山のあとを継いだ真田兄弟達も応援している。
「入ったー!! また入りました!! すごいっ!! すごすぎます!! これは石矢魔きびしいかー!?」
「早くも勝負がつきそうですね」
現在、石矢魔は2点、六騎聖は10点。
8点差だ。
石矢魔の6人は一度集まる。
「……っ」
全員、息が上がっていた。
男鹿は「ちっ」と舌を打った。
「やべぇな…」と神崎。
「ああ。全員ザルだ。今までレシーブは邦枝に任せっきりだったからな…」と姫川。
「てめーが一番ひでぇけどな」
「「あ゛?」」
追い込まれた状況でそう言われ、姫川は神崎と睨み合う。
今にも喧嘩が始まろうとした時だ。
「ファイトォッッ!! い―――し―――や―――ま―――っ!!!」
「「「「!!」」」」
その姿を見て一番愕然したのは、神崎、姫川、夏目、春樹だ。
なぜなら、あの因幡が石矢魔チアガールの格好をしているからだ。
両手のポンポンを振りまわしている。
少なからず練習もしていたようだ。
((((因幡――――っ!!!?))))
前髪は下ろされ、サラシも外しされていた。
首の後ろの火傷はチョーカーをつけて隠している。
髪は下ろされても、特徴である赤メッシュで石矢魔のほとんどが因幡だと気付いた。
「あいつ…、いいのかよ、あんなカッコで出てきて…!」
神崎は焦りを隠せなかった。
花澤は因幡に駆け寄り、躊躇わずその胸を右手でつかんだ。
「ひゃっ!?」
これまた躊躇なく揉まれてしまい、花澤は仰天した顔で全員に報告する。
「マジ女っスよ!! おっぱいのデカさパネェ――っ!!」
「アンタ…、女…」
大森も唖然としている。
「その…、えっと…、オレ…じゃねえや、私、因幡桃と言います! 因幡桃矢の妹です!!」
因幡は笑顔を作り、嘘の自己紹介をした。
((((妹で通しやがった―――!!!))))
もちろん、神崎、姫川、夏目、春樹は嘘だと知っている。
「兄の桃に頼まれて皆さんの応援に来ました! 頑張ってください!!」
(そんなにバレるの嫌なのかっ!)と神崎。
(おまえのそのキャラはなんだっ!)と姫川。
(絶対練習してきたでしょ)と夏目。
(ああああ姉貴が女のカッコsごkvがkjp)と春樹。
因幡は神崎達に微笑み、無言でポンポンでジェスチャーを送った。
“負けたら覚えてろ”
脅しだ。
悪寒を覚える神崎と姫川。
「―――…あれだけ嫌がっていたのに…。…自分の意地捨てるくらい、オレ達に退学になってほしくないのかもね」
「「!」」
夏目の言葉に神崎と姫川ははっとした。
因幡は顔を真っ赤にしてレッドテイルとともに応援する。
姫川は「チアガールになったら頑張ってもいい」と言った自分の言葉を思い出した。
「本気にしやがって…」
「みんな」
全員が振り向くと、そこには復帰した邦枝の姿があった。
「おっと!! ここでリベロが交代のようですね」
「邦枝…」と神崎。
「おまえ、もういいのか?」と姫川。
「聞いて。今から全部のボール、私が拾って拾って拾いまくるわ。だから、勝つわよ」
真剣な言葉と表情に、全員の顔つきが変わる。
「「「「おおうっ!!」」」」
.To be continued