22:試合開始の時間です。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
10時半。
聖石舞祭のプログラム通り、体育館にてバレーボール対決が行われる。
「それではこれより、聖石舞祭、石矢魔対聖石矢魔部長連のエキビジョンマッチを開催する!! 両チーム整列!!!」
石矢魔退学組と六騎聖がコートに整列し、向かい合う。
「間に合ってよかったっスねー」
「まさか全員寝てるとは…」
外野で、花澤に続き、大森も安堵して呟いた。
因幡はヒルダとともに待機者用の椅子に座り、試合を観戦することにしていた。
10時を切っても神崎達が現れず、邦枝に言われるままに捜しまわっていたため、前屈みになって疲れた顔をしている。
体育館には試合を観戦しに、多くの生徒達が集まった。
体育館の2階のギャラリーは埋まり、壁際からやコートの傍で観戦する者もいる。
司会席には、女子がひとり、なぜか猫の着ぐるみを着た生徒が座っていた。
「さぁー、お待たせしました!! 今年の聖石舞祭注目の目玉企画!! 六騎聖対石矢魔問題児集団によるバレー対決!! 私、司会進行を務めさせていただきます、放送部の古奈多依子と申します!! そして解説は元バレー部で現在はねこの畑山先輩!!」
「ニャー」
「なるほど!! これは注目の一戦ですね!!」
猫語で解説ができるのか、誰もが思ったがつっこまない。
古奈はマイクを前に司会を続ける。
「もともとは生徒同士のいさかいから始まったこの勝負!! 六騎聖はその権限を…、そして、石矢魔に至ってはなんと退学を!! それぞれ譲れない物をかけてます!!」
「ニャー!!」
「おぉーっと!! 並んだ両チーム、早くもにらみ合う!!」
コート内、ネットを挟み、整列した六騎聖と石矢魔が睨み合った。
「会長ーっ!! 頼みますよーっ!!」
「不良なんか軽くひねっちゃってください!!」
「イ・ズ・マセンパーイ」
観戦する聖石矢魔の生徒達は皆、六騎聖に熱いエールを送る。
出馬はそれに応え、生徒達に手を振った。
「大入りやな…」
「会長?」
邦枝は生徒達の言った言葉が引っかかった。
出馬は邦枝に目を移し、答える。
「あぁ…、言うてへんかった? 僕、生徒会長も兼任しとるんよ。ちなみに静さんは副会長。礼を言わせてもらうで。キミらのおかげで今年の聖石舞祭は大成功や」
急に感謝されてしまい、石矢魔はそれを喧嘩を売られたととったようだ。
「あ?」
「知るかボケ」
「なんもしてねーし」
東条、姫川、神崎の順番で言い返す。
「いやいや、実際、キミらが悪役やってくれるから、僕らもこうして支持してもらえるようなったんやし。今まではどっちかゆーと、怖がられたからなぁ」
出馬は薄笑みを浮かべて邦枝に手を差し出し、握手を求める。
「今日はよろしく。お互い、最高の試合にしようや」
邦枝も薄笑みを浮かべ、手を差し出した。
「…そうね。でも、大成功っていうには気が早いんじゃない?」
2人が握手を交わし、古奈は盛り上げる。
「ここで両チームキャプテンが握手!! 意外にもこれに応じます!!」
ギャラリーからは出馬ファンの女子の罵声が上がった。
「出馬さんにさわんなーっ」、「アバズレ女ー」、「ブスー」など言いたい放題だ。
「そして大ブーイング!! いやー、畑山さん、彼らにもスポーツマンシップはあるのでしょうか!?」
「ニャー。…でも、あの子かわいいよね…」
「喋んの!? キャラ固めてから来いよ!!」
いきなりボソリと呟いた畑山に、古奈はつっこむ。
「とっとと負けて出ていけーっ」
「おまえらバレー知ってんのか!?」
生徒達は邦枝だけでなく、石矢魔全員に罵声を浴びせてきた。
「アウェーっスね…」
「数に物いわせてズイブン強気じゃない…。ムカつく…」
レッドテイル達も気圧されそうになった時だ。
それを聞いた因幡は席を立ち上がり、どこかへ行こうとする。
それを花澤が呼びとめた。
「因幡先輩? どこ行くんスか?」
「気にすんな。ギャラリーの奴ら引きずり下ろして黙らせてくるだけだから」
「気にしますよっ!! 退学になりたいんスか!!」
花澤は慌てて追いかけ、因幡の肩をつかんで引き止める。
「ばかやろうっ!!」
その時、ギャラリーの罵声にも負けない怒鳴り声が体育館に響き渡った。
.