21:こちらも特訓中です。
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翌日から、因幡は眠たそうな顔で登校してきた。
教室に到着するなり、机に伏せて爆睡。
昼休みに携帯のアラームで起きたかと思えば、ふらりと教室を出て行き、放課後の練習時間に体操着に着替えて現れ、練習に参加する。
そんなことを3日ほど繰り返したある日の休み時間、神崎、姫川、夏目が爆睡中の因幡を見て、声を潜めて話し合う。
「どうしたんだ、因幡の奴」
「かれこれ3日、ずっとあんな調子だ」
「秘密の特訓でもしてんじゃない?」
「なんの特訓だよ」
「ほら、オレ達のためにバレーの特訓とか…。カバンの中に、バレーの必勝法の本が入ってるの見ちゃった」
「だったら、オレ達が来る前に体育館にいるだろ。オレ達が来てから体育館に入ってくるのはおかしい」
そんな3人の会話も知らず、因幡はオールバックが乱れていようとも、至福の睡眠時間を過ごしていた。
男鹿も然り。
授業も終わって昼休みを迎えたころ、机の端に置いた因幡の携帯が昼休みを知らせ、因幡は目を開け、起きた。
目を擦り、席を立ってふらふらと教室を出て行く。
今回は、そのあとをつける3人がいた。
距離をとりながら因幡についていく。
傍目から見るとかなり怪しい。
因幡は眠さのあまりそんな3人に気付かず、欠伸をしながら屋上へと向かった。
因幡が屋上へ出たところで、踊り場で窺っていた3人は階段を駆け上がって扉に近づき、そこから様子を見る。
すると、因幡は助走をつけて大きくジャンプし、向こう側の旧校舎の屋上へと着地するのが見えた。
「「「―――!!!」」」
人間離れした近道に3人は大口をぽかんと開ける。
「よ…、よし…;」
神崎もついていこうとするが、姫川と夏目が腕をつかんで止める。
「やめとけ!! アレはおまえでもムリッ!!」
「素直に遠回りするしかないって!!」
仕方ないので、因幡がまだ旧校舎にいる間に3人は階段を駆け下り、旧校舎に向かった。
「…!」
入口に入って先に気付いたのは夏目だった。
「なにか聞こえない?」
「「?」」
2人は耳を澄ませてみる。
誰もいないはずの旧校舎だ。
音はよく響いた。
その音をたどっていくと、自然と音楽室に着いた。
半開きの扉から中をのぞくと、椅子に座りながら、水色のギターを弾いている因幡の姿があった。
始めたばかりなのか、音を止めるたび、眉間に皺を寄せた難しそうな顔で楽譜と向き合う。
「!」
はっと顔を上げると、じぃっとこちらを窺っている3人の姿を見た。
「あ…」
知られたくなかったことなのか、因幡の顔が赤面した。
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