21:こちらも特訓中です。
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練習も終わり、神崎達は男子更衣室で着替えていた。
先に着替えを終わらせた夏目は「お先ー」と更衣室を出て行く。
「「……………」」
更衣室が妙に静かだ。
姫川はベンチに座って上半身を脱いでいる神崎の背中を横目で見る。
脳裏に、鮫島に受け止められた神崎と、鮫島の「神崎君のことをもう少し考えたらどうだ?」の言葉を思い出し、再び青筋を立てた。
(……あのヤロウ、いつか絶対潰す。つうか、神崎のことは別にどうでもいいだろっ。確かにオレも悪いけど、靴紐解けてたのに気付かなかった神崎も……)
「つぅ…っ」
ズボンを穿きかえようとした神崎だったが、足を動かしただけでもまだ痛みが走るようだ。
「…チッ」
舌を打った姫川は下半身は制服、上半身は体操着のまま更衣室を出て行った。
神崎は姫川が出て行った扉を見つめる。
「…んだよ、あいつ…」
痛がったのを見せつけと思われたのだろうか。
「げ…」
右足を見ると、青い痣が見当たった。
先程、因幡にコールドスプレーをかけてもらったところなのに。
「これ明日出られんのかよ…;」
練習は始まったばかりだというのに。
これは本当に保健室に行った方がいいのでは、と心配になったとき、姫川が氷の入ったビニールを手に戻ってきた。
「姫か…」
「動くな」
姫川は神崎を制し、神崎の前にしゃがんで持ってきたそれを痣に押し当てた。
「つめてっ」
「ガマンしろ」
「……………」
神崎は姫川を見下ろし、まじまじとその顔を見る。
(こいつ本当に姫川…だよな? 髪サラサラだし…、まつげ長ぇし…、目ぇパッチリだし……)
「…? なに見てんだよ」
「……? 今更だけど、オレ、その顔に会ったことある気が…」
わからない人は無人島編(以下省略)。
「………さあな」
(思い出さない方がてめえのためだ)
「…バレーは6人いりゃ十分だけどよ…、てめぇだけ欠席なんてセコイことはさせねーよ…」
「……らしくねぇこと言ってんじゃねーよ、キメェな」
神崎は姫川の手から氷を奪い取り、自分の足に押し付ける。
「あぁ?」
「欠席なんて金積まれても土下座されてもするかってんだ」
「…だよな」
姫川は立ち上がり、着替えの続きをするために上半身の体操着を脱いだ。
痛みがマシになったのか、神崎も立ち上がって今度こそズボンを脱ごうとする。
だが、右足を冷やしすぎてしまい、一時的に感覚を失った足で立ってしまったためよろめいた。
「っ!」
こける、と思った時には姫川の胴体に受け止められる。
「ったく、ゆっくり着替えればいいだ…ろ…」
密着した状態に、2人は言葉を失った。
(なんだこの状況!? こいつの顔直視できねーし…!! なんだこの状況!!? 姫川のクセにいい匂い漂わせてんじゃねえよ!!)
(なんだこの状況!? うわ、つむじ見えるし…!! なんだこの状況!!? 神崎のクセに無防備すぎるだろが!!)
どちらかが押し退けるのを待っていると、扉が開かれた。
「ごめーん、そこにオレのタオル置いてな……」
その光景を目撃した夏目は、いつもの笑みを浮かべたままバックして再び扉を閉じる。
見なかったことにするかと思いきや、廊下を走る音が聞こえた。
「因幡ちゃ―――ん!! 神崎君と姫ちゃんが裸で抱き合ってるよ―――!!」
「「ち―――が―――う―――っっ!!」」
2人は同時に離れ、夏目を止めようと扉に向かって走る。
1秒目、神崎が床に落ちていた夏目のタオルを踏んでよろめく。
1,5秒目、足が絡んで姫川巻き添え。
2秒目、一緒に倒れる神崎と姫川。
「ウソつくんじゃねーよ、夏目。うっすい本じゃあるまいし…」
夏目と因幡が男子更衣室の扉を開け、その光景を見る。
どう見ても、姫川が神崎を押し倒しているようにしか見えない。
「あ、進んでる」
「続きをどうぞ」
REC。
「「……………」」
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