02:やられたら、やり返します。
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下校時刻となった頃、石矢魔町はオレンジの光に包まれていた。
城山はひとり、住宅街の道を歩いている。
歩きながらあちこちに視線をやり、因幡の出方を窺っていた。
時折、背後に振り返ってみるが、尾行している人影はない。
(今回は現れないか…)
安心したような、残念なようなため息を漏らした時だ。
「みぃつけた」
「!!」
声が聞こえた方向にはっと見上げると、頭上から因幡が降ってきた。
すぐに城山は後ろにジャンプし、因幡を避ける。
「貴様…!」
「近くで見ると、けっこうデカいな。あんた、神崎の側近なんだって?」
因幡はポケットに手を突っ込み、余裕のある笑みを浮かべたまま、靴先で軽くトントンと地面を叩いた。
「そうだ」
「じゃあ、頑張ることだな、側近。てめぇが負けたら、オレはもうすぐゴール(神崎)だ」
「そうはさせない!!」
城山はコブシを振り上げ、因幡に殴りかかった。
「っと!」
因幡はポケットに手を突っ込んだまま、一歩後ろに飛んで城山のコブシを避けた。
「危ねーな!」
因幡は勢いをつけ、城山の顔面に蹴りを食らわそうと回し蹴りを食らわそうとした。
だが、城山は左側頭部に迫るそれを左腕で受け止める。
「!」
すかさず、城山は右手で因幡のその足首をつかみ、勢いをつけてブロック塀に向けて投げつけた。
「うわっ!」
声を上げた因幡だったが、激突する前に再び口元に笑みを浮かべて空中で体勢を変え、ブロック塀に両足と右手をつけた。
「な!?」
一瞬、まるで横向きに立っているように見え、城山は驚きの声を上げた。
ブロック塀に着地した因幡は、そのままブロック塀を思い切り蹴ってバネのように城山に返り、コブシを構えた。
ゴッ!
「が…っ」
勢いがついた因幡のコブシが城山の腹にめり込む。
その衝撃に、城山はその場に片膝をつき、右腕で腹を抱えた。
その様子を、因幡の冷たい目が見下ろす。
「石矢魔に来て、あんな反撃を受けたのは初めてだ。あんたは他の奴より強い。なら…、神崎はそれ以上か…!」
楽しみが増したのか、因幡の口端がさらにつり上がった。
その嗜虐的なを笑みを見た城山は戦慄する。
こいつはただの喧嘩好きではない、と。
本当に石矢魔をとる気だ、と。
「く…っ」
城山は歯を噛みしめ、立ち上がろうとする。
膝は震えていたが、体がゆっくりと起き上がる。
それを見た因幡は感心した。
「タフな奴だな…。今のはてめぇの力もそのまま跳ねかえってんだぞ。プラス、オレの力もな」
「なら…、貴様の力が大したことないんだな。女みたいなパンチだった…」
その言葉に、因幡の額に青筋が浮かび、周りの空気も殺気立った。
その空気に、思わず城山の背筋が凍りつく。
「てめーは病院行って転がってろ。あとで神崎もそっちに届けてやる」
城山の顔面目掛け、勢いのついた回し蹴りが迫る。
城山に避ける力は残っていない。
ここまでか。
そう目を瞑った。
ガッ!
「!!」
「誰をどこに届けるって?」
ヨーグルッチを飲みながら現れた神崎の左脚が、因幡の左脚を受け止めた。
2人の脚は城山の顔のすぐ横に止まっている。
「か…、神崎さん…!?」
「嬉しいねェ。自らお出ましか」
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