18:狙われています。
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「あ、昨日のハデな兄ちゃん」
神崎と姫川も昨日会った男を思い出した。
赤毛の男は白衣を身に纏い、眼鏡をかけていた。
「どうも。今日からこの聖石矢魔の保健医になった、鮫島です」
そう名乗り、笑顔を向ける。
登校中の聖石矢魔の女子達のほとんどがその笑顔に釘づけになり、遠くで黄色い声を上げていた。
「!」
鮫島が急に手を伸ばしてきたので、不意に悪寒を感じた因幡は一歩たじろいだ。
なにかされると思って構えたが、鮫島は因幡の横を通り過ぎ、神崎に歩み寄り、神崎の毛先に軽く触れた。
「ほこり、ついてる」
「あ…、ああ。悪いな」
突然のことに神崎も咄嗟に反応できなかったようだ。
「……香水かなにかつけてるのか?」
「いや、なにもつけてねえけど…」
「そうか。…いや、甘い匂いがしたから…」
「!」
鮫島は神崎に匂いを嗅ぐために、彫刻のように端麗な顔を近づけ、視線を神崎の頬に移し、その頬に触れた。
「この傷は前から?」
「な…」
すると、乾いた音が鳴った。
姫川がその手を払う音だ。
「!」
鮫島だけでなく、因幡、夏目、城山、守られた神崎もその行動に驚いていた。
「生徒にちょっかい出してんじゃねえよ。オレ達、そろそろ教室行かねえと…」
「…そうだな。邪魔をした」
鮫島は怒るどころか笑顔を向け、保健室へと向かった。
「…姫川?」
神崎は首をかしげる。
姫川もなぜあんな行動をとってしまったのか、鮫島を払った右手を見つめて考え込んでいる様子だ。
「てめーももう少し嫌がれよ! 得意のかかと落とし食らわすとか!」
「なにいきなり逆切れてんだよっ」
因幡も因幡で戸惑っていた。
まさか本当に現れると思わなかった第三者の存在と、神崎を気にかける姫川の行動に。
(波瀾…っ! 波瀾が起きそうだ…っっ!!)
「因幡ちゃん? なに疼いた顔してんの?;」
夏目が心配そうに尋ねるが、因幡は聞いちゃいなかった。
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