17:また転校しました。
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下校時間となり、因幡は神崎組+姫川と一緒に駅へと向かうため坂道を下っていた。
神崎はヨーグルッチを飲み、姫川は携帯をいじりながら歩いている。
「なるほど。石矢魔で厄介な連中が詰め込まれたワケか」
姫川からその話を聞いた因幡は納得し、小さく笑った。
「あの佐渡原って教師も気の毒に」
姫川に脅されるわ、東条に腕相撲で瞬殺されるわ、男鹿と関わってベル坊の電撃食らうわ。
「てめぇだって、女子の制服着てねえから指摘されるところを…」
出席簿には本名と男女分けがあるため、教師にはバレてしまう。
佐渡原も出席簿と因幡の顔を数回交互に見、指摘しようとしたところで因幡が先手を打った。
「おまえ、制服が…」
「なにが?」
真っ赤な瞳。
殺気を感じた佐渡原は口を噤むしかなかった。
「ムリヤリ黙らせたじゃねえか…;」
思い出した神崎はそう言った。
「あっちが勝手にビビっただけだろ」
本当のことだった。
睨んだだけでビビられただけだ。
因幡は鏡を見たわけではないので、感情によって自分の瞳が赤くなることを知らない。
ポケットから梨味のキャンディーを取り出し、包みを取って口に咥えた。
「転校初日から色々あったけど、また、オレなりに楽しませてもらうわ」
そう言って携帯を素早く取り出し、神崎達の写真をおさめた。
夏目だけタイミング良くピースしていた。
「おまえ、また勝手に…」と神崎。
「もう慣れたけどよ…」と姫川。
「オレ、見切れたんじゃないか?」と城山。
「ほら、たまにはオレが因幡ちゃん撮ってあげるから」と夏目。
橋にさしかかったとき、赤と黒のツートンカラーのスポーツカーが近づいてきた。
それは因幡達の脇に止まり、運転席の窓が開けられ声をかけられる。
「ちょっとそこの…」
「!」
声をかけられた因幡達は足を止め、そちらに振り返った。
「聖石矢魔学園はこの先真っ直ぐでいいか?」
運転席の男はサングラスをかけ、長い赤髪を後ろに束ねた青年だった。
「…ああ。坂道があるはずだから、そこを登れば着くぜ」
神崎がその方向に指を向けて教えた。
「ありがとう」
赤髪の男は窓を閉める際、サングラス越しに因幡を一瞥した。
車が去ったのを見届けた因幡達は再び駅に向かって歩き出す。
「派手な兄ちゃんだったな」
「神崎には言われたくねーな」
「姫川にも言われたくねーな」
言い合いを始める2人に対し、因幡は「はいはい仲良しこよし」と茶化し、内心、赤髪の男が気になった。
(さっき…、敵意を向けられた気がした…)
目はサングラスで隠れて見えなかったが、そんな気がした。
転校初日、早くも不穏な空気が流れる。
.To be continued