17:また転校しました。
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因幡が古市を転がしたかどうかはさておき、石矢魔生徒の教室は人気の少ない校舎の3階にあった。
階段の踊り場の壁には、“石矢魔高校特設クラス”と書かれた案内が貼られてある。
(あれ? こいつら1年なのに同じクラス?)
違和感を覚えつつ案内通りに進み、その教室の扉の前で立ち止まる。
「? 早く入れよ」
先頭の古市に声をかける因幡。
なにやら心の準備をしているようだ。
準備が整ったのか、古市は笑顔を浮かべて教室の扉を開けた。
「おっはよーござ…い…」
「?」
教室の光景を見て口をつぐんだ古市に怪訝な顔をし、因幡は古市越しに教室の中を窺った。
そこには嫌でも見覚えのあるメンツが勢ぞろいしていた。
神崎、姫川、城山、夏目、東条、陣野、相沢の3年組。
邦枝、大森、下川、阿倍、真田兄弟の2年組。
谷村、男鹿、古市の1年組。
MK5。
その他石矢魔の生徒。
古市の横を通過した因幡は普通の歩調で神崎の席に近づいた。
「ぃよぉっ! 神崎ィッ!!」
「ぐっ!?」
いきなり挨拶とばかりに軽く神崎の背中を蹴飛ばした。
バンッ、と神崎は自分の机に前面を打ちつける。
「姫川ァッ!!」
「うわ!? なにしやがる!?」
ついでとばかりに姫川のリーゼントをもちゃもちゃにする。
「おまっ、ふざけんなよ! コラ、やめろ因幡っ! オレのリーゼントがっ!!」
「なんで朝からそんなテンション高ぇんだよっ! 痛てっ! だから蹴るなっ!」
先程と違い、古市と因幡のテンションが真逆になる。
男鹿と古市は因幡の変わりように開いた口が塞がらなかった。
満面の笑みの因幡。
テンションが高い理由を察した夏目は奥の席で声を抑えて笑っていた。
因幡の席は姫川の前だ。
他の石矢魔生徒と比べ、学年がごちゃ混ぜなどどうでもよく思っているのか誰よりも上機嫌である。
重苦しい空気の中、ひとりだけ華やいでいた。
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