16:魔界で大ピンチに。
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家の寝室で目を覚ましたコハルは、ホッと胸をなで下ろした。
「…桃ちゃん達は、無事なのね?」
“ああ。おヌシも無事でホッとしたぞ。魔界に行くためとはいえ、ワシとのリンクが一度切れると、おヌシは眠りに落ちてしまうからな”
シロトが戻らなければ、コハルはずっと眠ったままだったのだ。
「……ちゃんとあちらの次元転送悪魔に送ってもらえたの?」
“知り合いの医師に頼んでな。助手の次元転送悪魔を貸してもらった。娘はともかく、その友人達の記憶を消してからこちらに帰してやった”
「そう…」
“それと…、どうしてもおヌシに話さなければならないことが…”
シロトはゆっくりと、魔界で起きたことを語りだした。
因幡のことも。
*****
一方、石矢魔総合病院では因幡達の姿があった。
シロトの思惑通り、記憶を消されて帰されたようだ。
誰もが腑に落ちない顔をしている。
「変な夢を見た」と陣野。
「オレも…。でもなんの夢か覚えてないし…」と相沢。
「見舞いに来たつもりが、オレ、いつここで寝てたんだ?」と東条。
「……………」
女装する夢を見た、と口に出せない城山。
「女子じゃあるまいし、夢のことでぐだぐだ言うのはなしにしよーぜ。な? 因幡」
姫川に振られ、因幡は「そ、そうだな」と返した。
(―――夢…?)
砂漠で魔獣に追いまわされたこと、洞窟でサソリ人間に襲われかけたこと、神崎が死にかけたこと、城山が危うく生贄にされかけたこと、白いウサギを追いかけたこと、巨大なサソリを倒したこと、洞窟から脱出したこと。
なのに、気がつけば、病院で寝ていた。
全部覚えている因幡は首を傾げた。
「…?」
姫川達はそれを夢で終わらせようとしている。
やはり、夢なのか。
そう思ったとき、神崎が病室に戻ってきて、姫川になにかを突きつけた。
「んっ」
「…あ?」
目の前のヨーグルッチ。
わけがわからず受け取った姫川はストローをさし、神崎に返そうとした。
「ストローさせってことじゃねえよ! その…っ、きゅ、急に奢りたくなったっつーか…」
「!?」
その言葉に、姫川は思わずナースコールを押した。
「呼ぶなっ!」
「だっておまえ、オレに奢りって…。ついに頭までイカれちまったか!?;」
「神崎さん! オレには奢ってくれたことないのにっ!!」
城山も涙を流してショックを受けている。
「うるせー!! 神崎さんの奢りなんだ! ありがたく飲みやがれっ!!」
「……………」
その光景を眺めていた因幡はある言葉を思い出した。
『ここを出たら、ヨーグルッチ奢ってやるよ』
(あの約束……)
神崎達の中で消えたのは、あの医者が言った通り、魔界で遭遇した恐ろしい記憶だけだった。
ちなみに、魔界の医師に治療してもらった因幡達。
その退院は、急遽、明日に変更となった。
そして、長い夏休みの終わりも、明日だ。
.To be continued