16:魔界で大ピンチに。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しばらく進むと、今度は3つの分かれ道に出くわした。
そこで見張りが足を止めて肩越しに振り返り、懇願の表情を浮かべ、首を横に振った。
「えーと、なになに?「これ以上進むのは勘弁して下さい。オレが裏切り者扱いされてしまいます」ってか?」
表情から読みとった因幡がそう言うと、見張りは激しく頷いた。
「ふざけんじゃねーよ。ここまで来て帰すかボケ。最後まで面倒見ろや」
「~っ」
容赦ない因幡の言葉とともに背中を蹴飛ばされ、見張りはマジ泣きになる。
「ビビった…。けっこう鬼だな」
相沢は敵に同情する。
右の道を進み、因幡達は一度足を止め、急いで脇道に身を隠した。
他のオブトがいたからだ。
「もうすぐで儀式だ」
「ヌシ様は喜んでくださるだろうか…」
通過するまで見張りが余計なことをしないように東条にがっちりとホールドしてもらいながら待ち、話し声と足音が遠くなった時に脇道から出た。
「ここで捕まっちまったらシャレになんねーな…」
因幡は額の汗を手の甲で拭い、「安全なところまで道案内頼むぞ」と見張りに振り返る。
「―――って気絶してる―――!!?」
ホールドされた見張りは、泡を吹いて気絶していた。
「東条さん! 完全にシメてますって!;」
「あ、ヤベ」
気付いた東条がすぐに放したが、見張りは白目を剥いたまま力なくその場に倒れた。
「おい起きろ! 時間ねえんだよ! さっきの会話聞こえたろが!」
慌てる因幡は胸倉をつかんで揺するが、起きる気配はない。
見兼ねた陣野が止める。
「因幡、やめろ」
「けど、早くしないと…。敵の集団の中に入るわけにもいかねーし…」
その時、こちらを窺う視線に気付き、はっと振り返ると、小さな白いウサギがこちらを見つめていた。
「ウサギ…。こんなところに?」と陣野。
「まぁなんとも普通のウサギだな。…また敵の罠か?」と姫川。
「サソリなのにウサギ?」と相沢。
「うかつに動けねぇな…」と因幡。
それぞれが怪訝な顔をしながらそれを見つめるなか、ひとりだけそんなことどうでもいいと動きだす男がいた。
ウサギが小さく跳ねて動き出すと、東条はそれを追いかける。
(ウサちゃん…っっ!!)
「虎!! 待つんだ!!」
陣野は手を伸ばして止めようとするが、カワイイものをロックオンした東条は止まらない。
「ああもう、あの人カワイイもの好きだから…」
「東条!」
仕方なく、見張りをそこに置いといて因幡達もそれを追いかける。
ウサギと東条はまた小さな脇道に入り、そこから右や左へと移動し、そして、ウサギは動きを止めた。
ウサギは目の前の穴から下を眺めている。
「…?」
因幡達はその穴に近づき、おそるおそる顔を出してみると、そこは儀式上が見渡せる特等席だった。
壁に空けられた穴のうちのひとつのようだ。
大きすぎる祭壇を取り囲む千人以上のオブト達。
そして、祭壇の前にはこれまた大きすぎる閉ざされた扉がある。
見つからないように、因幡達は顔を引っ込める。
祭壇には、他の食材と一緒に、後ろに手首と足首を縛られた城山が転がっていた。
問題はその姿だ。
因幡達は衝撃を受け、大口を開ける。
((((ヒラヒラのドレス着せられとる―――っっ!!!))))
「女と間違えたわけじゃねーだろうに…」
因幡は右手で自分の両目を覆った。
「抜け出して正解だな。東条が来なきゃ、オレ達もあんな目に遭ってたわけだ」
ヒラヒラドレスを着せられた姿を想像してしまった因幡達は顔を青ざめた。
「公開処刑だ…」
陣野もショックを受けている。
(あ、でも髪下ろしたら、姫川似合いそうだな)
なんてことを考えている場合ではない。
オブトのひとりが、いきなり大声を出した。
「我らがオブトのヌシ…! 今宵は良い馳走を手に入れました! どうぞ、前へ…!」
数人がかりのオブトが縄を引っ張り、両サイドの扉を開ける。
すると、中からゆっくりと、それは不気味な足音を立てて出てきた。
巨大な、サソリだ。
「…デケー…ザリガニだな」と東条。
「サソリっス」と相沢。
「気色悪ィ…」と姫川。
「城山でも一口で食べられそうだな」と陣野。
「コレ、早く助け出した方が…」と相沢。
「敵の数を見ろ。たった6人でどうにかなるものじゃ…」と陣野。
「あ」
姫川が思わず口にしたときには、2つの影が穴から飛び出していた。
「く…っ」
城山は身をよじって縄を解いて逃げようと試みるが、縄は痣ができるほどきつく縛られていた。
歯を鳴らし、目の前に近づく巨大なサソリ。
「神崎さん…っ」
走馬灯が見えたときだ。
ゴッ!!!
穴から飛び下りた、東条のコブシと因幡の蹴りがサソリの頭に炸裂する。
「「「「ヌシ様あああああっっ!!!」」」」
.