16:魔界で大ピンチに。
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ガシャンッ!
因幡は強めに蹴ったつもりだったが、鋼鉄の檻の柵は頑丈に出来ているのかビクともしなかった。
ひとりで因幡達を見張っているオブトもその様子を見て、「無駄なあがきしてんじゃねーよ」と面白おかしく笑っている。
「最悪…」
因幡はその場に腰を下ろし、頭を抱えた。
檻の中には相沢と陣野も放りこまれていた。
やはり、あの罠にかかってしまい、穴に呼びかける前に捕縛されたそうだ。
「なんでも、歯を鳴らして危険信号を仲間に伝えることができるってさ。自慢げに言われた」
相変わらず呑気な口調で言う相沢に、「こんな状況じゃ、もうどうでもいい情報だな」と姫川は肩を落として呟く。
「…っ」
神崎は檻の隅で壁に背をもたせかけ、焼けるような熱に耐えていた。
それを目の端で確認した因幡は舌打ちする。
(…城山もそうだが…、このままだと神崎が…)
「おい、見張り」
「あ?」
出入口付近に立つ見張りのオブトが因幡に顔を向ける。
「連れが、おまえらの毒食らって死にかけなんだ。オレ達は生贄なんだろ? だったら、新鮮な方がいいんじゃねえか?」
うまく言って解毒剤をもらおうと考えたが、見張りは嘲笑し、冷たく言い返す。
「生贄は十分揃ってんだ。今更ひとり死んだところで支障ねーよ」
「…っのヤロウ…ッ!!」
因幡は立ち上がり、柵を握りしめた。
「心配しなくても、順番にヌシ様に捧げてやるよ。…っと、もう時間だ。また祭壇でな」
見張りは扉を開けて出て行こうとする。
その順番が始まる前になんとかしなければならない。
神崎はよろめきながら立ち上がり、柵をつかんで「待て…っ!」と呼びとめようとするが、見張りは無視して入れ替わるように入ってきた新たな見張りに「こいつらの見張りしてろ」と輪っかつきの鍵を渡した。
その新たな見張りを見て、因幡達は全員絶句する。
「お」
新たな見張りも因幡達を見て、目を丸くした。
それもそのはず。
お互い顔見知りなのだから。
サソリの尻尾、頭に巻かれたタオル、緑色に発光する体。
だが、
「「「「アンタなにやってんだぁっっっ!!!?」」」」
因幡達は全員並んで檻の柵を握りしめ、檻の向こうにいる東条に声を上げる。
「え、知り合い?」
見張りも驚いている。
「東条! こっちに鍵投げろ!」
因幡が叫ぶと、東条は「鍵? これか?」と軽く投げた。
それは檻に向かって宙を掻いたが、距離が足らず、因幡の指先をかすめる。
「あ…」
落とす、と思ったとき、姫川がとっさに柵の向こうに伸ばしたスタンバトンに引っかかった。
「おお、でかした姫川っ!!」
「当然」
姫川は自慢げに手にした鍵を、くるんっ、と指先でまわす。
「貴様…、奴らの仲間か!?」
東条の顔面目掛け見張りが尻尾を向けるが、東条は反射的にパンッと手で横に払った。
「蚊を払うかのように!?」
呆気にとられると同時に、鍵が開く音が聞こえ、そちらに振り返った。
全員、獲物を前に目をギラつかせている。
野獣が解き放たれ、見張りは「ひっ」と怯み、仲間に知らせようとした。
その前に姫川が尋ねる。
「確か、歯を鳴らして伝えるんだっけ?」
ぱぐっ!!
全員のコブシが見張りの顔面に集中した。
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