01:全員、ブッ転がします。
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ポタポタと毛先やアゴを伝い、床にヨーグルッチの雫が落ちる。
因幡はまったく動かない。
一時その場を沈黙が支配し、気まずい空気に夏目が口を開ける。
「えーと…。キミ…、もしかしなくても2年の転校生?」
しかし、因幡は答えない。
フリーズしたままだ。
「オレのヨーグルッチ…!」
神崎はある意味ショックを受けていた。
「…言っとくがわざとじゃねーぞ…」
神崎と因幡を交互に見た姫川はバツが悪そうに言い訳した。
因幡は大きく深呼吸し、ふるふると首を振って雫を飛ばし、下りかけた前髪を右手で撫でつけてようやく姫川を見上げた。
「……ヒデー…」
その顔はすでに泣きそうだった。
因幡はおぼつかない足どりで3-Aを出てゆっくりと扉を閉めていった。
3人の非難の視線が姫川に向けられる。
「そ、そんな目でオレを見るんじゃねえよ」
姫川は若干慌てている。
「あれはちょっと気の毒だよ」と夏目。
「ああ、気の毒だ」と城山。
「ヨーグルッチもな」と神崎。
「てめぇはヨーグルッチから離れろ」
*****
一方因幡は、体育館裏の古びた水道場にいた。
母にいつも持たされている黒のハンカチを濡らし、ヨーグルッチがかかった髪や顔を拭いた。
だが、どうしても粘り気がとれない。
「…………はぁ…」
一度息を吐き出し、もう一度大きく空気を吸い込んだ。
今、自分は冷静だ。
そう思いたかったが、
「クソがぁ!!!」
バキャッ!
先程の屈辱を思い出すとともに因幡の中の怒りが爆発し、水道水が出たままの蛇口を蹴って吹っ飛ばした。
噴水のように噴出するそれをわざと顔面に浴びて粘り気を完全に落とし、誰かに見られる前に、下りかけた髪を素早く両手で撫でつけ、オールバックに戻す。
「さっきの教室にいた奴ら、神崎と姫川を合わせて全員…、ブッ転がす!!!」
水を被っても、因幡の熱は冷めなかった。
それを逆恨みだということを、因幡は考えない。
.To be continued