迷子の女の子

吸い込まれた後も、その吸引力は止まらない。



トランクスは少女を風から庇いながら、目を凝す。


暗闇の向うに小さな光が見える。

(出口・・・?)




そう気付いた時には、その光を通過していた。


 一気に視界が広がり、風が止む。



「うわっ!!」


バッシャーン。


そしてそのまま墜落した。


「ぶはっ!ゲホッ!ゲホッ!何だこれ。・・・・・お湯?」


しかもほのかに花の香りのする。



・・・・・・・・・・ひょっとして風呂?


冷や汗が吹き出てきた。


しかも、湯殿の向こうに、けむりにまかれた女性のシルエットが見える。

 次元の狭間から、抜け出たようだが、どうやらとんでもない場所に落ちてしまったようだ。

トランクスは慌てて、そのシルエットから背を向けて弁護した。


「す、すすみません!!!怪しい者じゃないんです!!すぐに出て行きますから、その、えっと・・・・」

「あら?その声、トランクスじゃない!」


「えっ?」


 懐かしい声に思わず、振り向くと、女性はヒマワリのような笑顔を振りまいて、抱き付いてきた。

しかも裸で。

「やだぁ!久しぶりじゃない!!どうしたのまた過去にやってきて。」

「か、母さん・・・」

 少女も ろともギューギューと抱き締められる。

「七年ぶりかしら!いい男になっちゃって。見違えたわ!さすがは私の息子!」


「か、母さん!お願いですから離れてください。」
「なーに母親に照れてるの?ってかその子誰?あんたの子?」

「違います!!話は全部、後でしましますから、とにかく服を着てください!」

なおも離れようとしないブルマを、無理矢理引きはがすと、トランクスは逃げるように風呂場から出て行った。
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