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襲撃

「チビトラ君、朝ごはん食べたんじゃないの?一体そのお腹の何処に入ってくわけ・・・」

「うるさいなぁ。ちょっと摘んでるだけだろー!ってかチビトラってなんだよ!?」


ちょっとか・・・?

その量はちょっとなのか・・・?

それに小さいトランクスなんだから、チビトラじゃないか。


ブルマが用意してくれたご飯は、本当に本当に美味しかった。

the!朝食を裏付ける、カリカリに焼き上がったトースト。

半熟の黄身が何とも言えない目玉焼き。

こうばしい薫りのベーコン。

それからサラダと果物。


こっちはそれで、すでにごちそうさまと合掌したのに。

私の朝食風景が、どうやら小さいトランクスことチビトラの胃袋に火を点けてしまったらしい。


リモコンを操作したかと思うと、ロボットがアイスやらパフェを運んできて、そこから食べる食べる・・・。

まぁ、口にアイスクリームをたっぷりつけて、幸せそうに顔をほころばせている姿は、とっても愛くるしいんだけどさ。


不覚にも胸をキュンとさせていると、部屋のドアが自動的に開いて中から、トランクスが入ってきた。

「あっ、お兄ちゃん!もうトレーニング終わったんだ!」

トランクスが入ってきた瞬間、チビトラは瞳を輝かせて、トランクスに飛び付く。

それを片手で楽々抱き留めたトランクスは、アイスクリームだらけの顔をした、チビトラを見て、プッと吹き出した。


「あーあ、お前、朝からアイス食べてたのか。母さんに見つかったら、怒られるぞ。ほら、早く口まわり拭いて・・・。もうじき母さんも部屋に来るから」

「げっ、ホントにー!?」

あわててチビトラは、口をナプキンで拭う。

そしてチビトラがナプキンをゴミ箱に投げ入れたのとほぼ同時に、ブルマが部屋へ入ってきた。

「おっはよー!美波ちゃん昨日はよく眠れた?」


朝から元気ハツラツぅ?みたいなノリで挨拶をするブルマ。


「おはようございます。はい!お陰さまでぐっすり・・・」


チビトラの証拠隠滅一部始終を、目撃してしまった私は、口元がニヤけるのを必死に堪えながら挨拶を返した。


口を拭けばどうにかなると思ったか、チビトラ君・・・。


あなたの背後にはパフェの食べ掛けがガッツリ残ってるんだよ。

もちろんそれをブルマが見過ごすわけは無い。


すぐにテーブルに違和感を感じたブルマは、食べかけのパフェを見るなり、美しい眉間に皺を寄せた。


「ちょっと!!トランクス。あんた朝から、アイスなんて食べてるの!?」


「いっ・・・・!!」

やっと気付いたのかーい・・・。
チビトラは背後に鎮座する、パフェとブルマを交互に見ると、引きつった笑いを浮かべて、後退りした。

「ははは・・・ママこれは違うんだ。深い事情があって・・・」



「何が深い事情よ!?トランクス、あんた今日3時のおやつ抜き!」

「えぇー!?そんなぁ!!」

「あーあ、残念ねぇ。今日はデパートに行って、みんなで美味しいレストランでも行こうかと、思ったのになー」


ブルマは口元に手を添えて「ほーほっほっほっ」と意地悪く笑った。

「ええっ!?うそぉっ!!そんなの聞いてないよ!!」

「そりゃそーよ。だって今日決めたんだから」


母強し・・・。

相当なショックを受けているチビトラを、さらりと落とすと、今度は私に向かってパチリとウインクした。

「美波ちゃんの服も買わなくっちゃ!」


突然に話題を振られ、面食らった。

目を2~3度まばたきして、ウインクするブルマを見る。


「ふ、服ですか?そんな、買うなんてもったいない。いらないです。第一私、お金持ってないし・・・」

「お金の心配なんていらないわよ!私が買ってあげるから。そんな可愛い顔して、トランクスの服着てる方が、よっぽどもったいないわ」

改めて自分の服装を再確認してみる。

チビトラから今朝、借りた青いTシャツ(カプセルコーポレーションのマーク付)

それから、スポーティーなデザインの黒のハーフパンツ
・・・まぁ、もろに男の子の服だけど・・・別に不満はない。


「私は別にこれで・・・」
「さぁ!!さっさとトレーニングルームのベジータを引っ張りださなきゃ!・・・あいつを、引きずり出すの時間かかるのよね~。・・・あっ!!トランクス!今日みんなに挨拶しに行くんでしょ?悟飯君家と、クリリン達と・・・後、ヤムチャにも西の都のショッピングモールに集まるように言っといてねー」

と疾風の如く掛けていくブルマ。 


「ちょっとママー!ごめんってばー!!」

その後を必死に追っていくチビトラ。 


「・・・聞いてないし」


その勢いの良さに思わず、固まってしまう。


「まぁ、母さんだから・・・とりあえず、みんなに会いに行こうか。・・・おいで」


やっぱり慣れてる分トランクスの方が、頭の切り替えが早い。 


あんなパワフルなものを見て、即身体が動かせるのは、すごいは・・・・。 


私だったら、多分トランクスがいなかったら、5分はその場でつっ立っていただろう。 


テクテクと、部屋を1人出て行こうとするトランクスをボーッと見つめる。


ついてこない私に、トランクスは、ドアが閉まらないように、手で押さえながら、小首を傾げた。

「・・・美波ちゃん?」


「あっ、ハイ!今行く!」

慌ててトランクスに駆け寄ると、彼はふっと、柔らかい笑みを漏らして、駆けて来た私をそのままふわりと持ち上げた。 

いきなりの事で、ビクリと身体が跳ね上がる。 


「な、ななななな何っ?」

「美波ちゃん高いとこ平気?」

こっちの動揺など露知らず、トランクスは爽やかに尋ねた。


「別に高いとこは平気だけど・・・ただ、ぜっ・・・。」


「そっか。ならよかった。」


そう言うや、トランクスは廊下にある窓を開け放った。


ついでにその窓に足なんてかけちゃう・・・。


「ちょ・・・」


抗議の声をあげようとするが、もう遅かった。 


トランクスの足は窓から離れて、数メートル上に浮上し、あっと言う間にカプセルコーポレーションよりも、高く舞い上がった。


「何だかスケジュールが後につまってる見たいだから、少し飛ばすよ。しっかり掴まってて」

「ま、まって!私、ぜっ・・・」

急に身体が横にガクンと傾く。

無意識にトランクスの首にかじり付いた瞬間、強い突風と、風が唸る轟音が、耳に鳴り響いた。

ハイスピードでトランクスが飛行を始めたってことなんだけど・・・・。


「き、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!!!!」



私がさっきからトランクスに何を伝えたかったか、君は知っているか・・・?。


確かに高いとこは平気だよ。



ただ、私・・・絶叫系が苦手なん・・・・・だってばさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!



「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


こっちの話を聞いてくれないんだもん。


《人の話を聞かない。》


意外なところで、またもや、ブルマ似な一面を発見してしまった私だった。 



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