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プロローグ

 憎らしいぐらいさわやかな朝日が、差し込んでくる。




 うだるような吐き気と共に、私は目が覚めた。



「い、いだだだ・・・・。頭痛い。き、気持ちわる・・・」
カチ割れそうな痛みに、頭を押さえながら、起き上がる。


 外に目を向けると、雀なんぞが平和そうにチュンチュン鳴いている。


(やっばー、完全に飲み過ぎた。ってか今日まだ水曜日じゃん。
仕事が行かなきゃ・・・)

 どうにが体を動かし、 二日酔いの薬を胃に流し込んで、着替えて身なりを整える。


 さすがに食欲がわかず、吐き気に口元を時々押さえながら、会社へと向かった。




足取りがおぼつかない。


通勤ラッシュの電車の中、私の心はからっぽだった。



 昨日、私をふった男の顔が、こびりついて、離れない。



 私は失恋をした。




 中学の時から付き合っていた彼氏が今までずっと、二股をかけていた。


しかも・・・来月に、結婚、するらしい。


あまりにも唐突すぎて、怒るタイミングも泣くタイミングも逃した。


涙が溢れ出た時には、彼氏はもう私の目の前から消えていた。


「お前もいい加減遊んでないで、本命見つけろよ。じゃな」


そう言った彼氏は、すこぶる軽ノリだった。


愛想笑いを浮かべながら、悪びれる様子もなく喫茶店から出ていく後ろ姿。


それでわかった。


絶望した。



私は今まで何をしていたの?

8年間もずっと



 この人のために、この町に一人暮らしを初めた。

家族はとうに捨てている。


『もっと一緒にいたい』


 その言葉だけを信じ続けた。
 


昔から、私は、頭が一つ足りない人間だった。



でもここまでくると天才だよ。

遊びか本気かも判別がつかない私は。

8年間もずっと遊ばれていた私は。





史上最強の大間抜けだ。












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