黙秘

「・・・すみません。言えないんです。」


二人の顔がえっとなる。


私はそれに構わず、話を続けた。

「でも、私、絶対怪しい者じゃないですから!・・・・・・・・・いや、何も話せない時点ですでに怪しいんですけど。信じてください!!お願いします。」


深々と頭を下げる。


「ちょ、ちょっと。別に私達、美波ちゃんをそんな怪しい奴なんて、思ってないわよ。ねぇ、トランクス」

「はい。もちろんです。」
顔を上げると、ブルマもトランクスも、優しい笑みを口元に浮かべてる。


「うん。言えないんなら、それで良いわ。」




へっ??




「トランクスも無事だったし、あなたも無事。とりあえずそれでいいじゃない」

うんうん。と自分の言ったことに満足気にうなずくブルマ。

「あ、あの。」
「なぁに?」


「ホントにそれだけで、いいんですか?」


自分で信じてくださいと言ったくせに、あまりのあっさり具合に、再確認してしまう私。

ブルマは、2~3度目をぱちくりさせると、これまた美しいウインクをバチッとよこしてくれた。

「美波ちゃんが良い子なことぐらいわかるわよ」

「そんなこと・・・ない・・・ですけど・・・」


正直、筋斗雲に乗れる自身は、まったくないぞ。うん。


しどろもどろになる私とは、裏腹にブルマのテンションは上がっていく。


「あっ!どうせだったら、しばらく家に泊まっていかない?その調子じゃぁ、家も無さそうだし」




はっ??

えっ??
「え"えっ!?・・・・・・・・・・・・・・・・い、いいです!そんな・・・・・・・・・迷惑かけること出来ません!」


「あら、そんなことないわ。む・し・ろ私が泊まって欲しいって思ってるの☆だから、ねっ?」


そんな可愛く「ね?」って言われても・・・。



私はトランクスに救いを求めるように、ちらりと目やった。


目が合うとトランクスは
またニコリとほほえむ。


「うん。・・・俺も美波ちゃんが泊まってくれると、うれしいな」


「えっ?」


思わず、ドキッとなる。



「何か、妹が出来たみたいで」


「・・・・・は、ははは。」



な、何だ。そう言うことか。


そりゃそうだよね。


「それにあの怪物はまだ美波ちゃんを狙ってるんだよね?」


「それは・・・・・。・・・・はい、そうです」

私は素直に認めた。


「だったら、しばらくここにいなよ。その方が、絶対安全だし。だから、ね?」


トランクスさん。

あなたまで、そんな可愛く「ね?」何てつけるんですか・・・。


二人の可愛い共通の仕草にやられたのか、気が付けば私の首は縦にコクリと頷いていた。



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