黙秘
えっーと。
えっーと。
パニくる頭で、必死に思案していると、急に怪物に絞められた首がズキリと痛んだ。
「っ!!」
何さ。
頭を使うなと、言うことか。
思わず顔をしかめ、首に手をやると、すぐ様その手を大きな手がぎゅっと掴んだ。
仰ぎ見ると、トランクスが私に急接近して、目の前で片膝何かついちゃっているではないか。
心配そうに見下ろしながら、首にやっていた私の手をそっとどかした。
「痛む?ちょっと見せてみて。」
私は真っ赤になりながら、その場で硬直してしまった。
顔面火の海。
硬直する私になど、気にも留めずにトランクスは、私の首元を覗き込み、傷を確認しようとした。
トランクスの髪がサラリと垂れる。
微かに良い匂いが薫る。
私の顔の赤面度が増す・・・。
ふとブルマと目が合った。
私の心境を見抜いたように、艶っぽい・・・ちょっと意地悪そうな笑みを浮かべている。
「やっだぁ。トランクスったら、女の子の首元なんてマジマジ見ちゃって、嫌ねぇ~♪この子恥ずかしがってるじゃない」
口元に手をあて「ふふふーん」と笑うブルマ。
それに「えっ?」と言う顔をするトランクス。
真っ赤になってどぎまぎしている私を改 めて確認すると、みるみる内に私より赤くなっていった。
「か、母さん!子供相手に何言ってるんですか!!からかわないでください!!」
慌てまくるトランクスに、ブルマはさらに、イタズラな笑みを浮かべる。
あ、耳まで赤い。
こんな子供相手に、必死に弁解しようと、何やら切々と訴え続けるトランクス。
クールな感じなのに、真っ赤になって慌てまくる彼に私は思わず、吹き出してしまった。
二人の視線が同時に私に向けられる。
しまった。
どうやら、吹いた音が聞こえたらしい。
私はあわてて、口を手でふさいだ。
「ご、ごめんなさい。あの私。・・・何かつい・・・あの・・・可愛いなって思って」
「えっ??」
きょとんとするトランクス。
私は「あなたです」といった感じに、トランクスを指さした。
「・・・・・・・・・」
子供(ホントは23歳)にかわいいと言われたショックは、計り知れなかったのだろう。
トランクスは衝撃を受けた顔のまま、固まった。
その横で、ブルマは涙を流しながら、ゲラゲラと笑いだした。
「ぶーーっ!!!!・・・・あはははははははははははっ!!分かる!!分かるはそれ!!
あー楽しい。ぷっ、ふふふ。」
「母さん!!」
「まぁまぁ。立ち話も何だから、あっちでお茶でも飲んで話さない?・・・・・えっと、あなた名前は?」
「・・・えっと美波(ミナミ)です」
「美波ちゃんね!!私はブルマっていうの。よろしくね!さ、とりあえず、こっちいらっしゃい。ちょっと首のケガを見てから、ケーキでも食べましょう。」
私は複雑そうな顔をしているトランクスの横をすり抜け、ブルマに駆け寄った。