ルンルン、気になります!

「気になる・・・・・・」

 ある日の休日。カプセルコーポレーションの重役トリオ(トランクス・ブルマ・イラータ)に連れられて、ショッピングにでかけたルンルンがポツリとつぶやいた。

 小さなささやきに、トランクスの肩がビクリとはね上がる。

「ルンルンさんまで言いますか・・・・・・」

 意味深な一言に、ルンルンが不思議そうな顔をする。

「わたし、何か変なこと言った?」

 トランクスが苦笑いする。

「それイラータさんの口癖なんですよ。結構、突拍子もないことを不思議がって、それに母さんが乗っかるものだから・・・・・・」

 みなまで言わすなとばかりに、トランクスは言葉尻をすぼめた。

「あはは。あんたほんとにM字にはげそうだな」

 ケラケラ笑うルンルンを、トランクスは恨みがましくにらんで、咳払いをした。

「それで、ルンルンさんは何が気になるんですか? あまり聞きたくない気もしますが」
「うーん・・・・・・」

 ルンルンは混雑した、野外のフードコートを一望する。
 寒空の中でも、今日は日差しが照っていて、そこそこ居心地がいい。
 今はイラータとブルマが昼食の注文をしにでかけているから、席にはルンルンとトランクスしかいない。

「イラータさんってさ。いくつなんだろうな」
「年齢ですか? 正式にうちで働くことが決まったとき、書類には二十二と書いてありましたが・・・・・・」
「わたしも自分と同じ年だと思ってたんだけど・・・・・・、トランクスは二十四だろ?」
「ええ、まあ。過去の戦いで、おかしな年のとり方をしたので、なんとも言えませんが」

 ルンルンが首をひねる。

「ちょっと引っかかるんだよな、あいつ。あんたに救われた話をした時にさ。自分は小さいガキで、おまえを年上のお兄ちゃんみたいにしゃべってたんだよ。それなのに2つちがいだろ? おかしくねーか?」
「・・・・・年齢を偽っている?」

 ルンルンは自分の髪をかき上げた。

「それが悪だくみなんて思わないけど。見かけと立ち振る舞いが良いわりには、子どもみたいに甘えてくるし、言動が乳くさいんだよな・・・・・・」

「乳くさいって・・・・・・」

 でもなんとなくわかる気がする・・・・・・。
 
 ふたりして首をかしげていると、背後から「あら、さすがルンルンさん」と料理をお盆に乗せた、ブルマが声をかけた。

「勘がするどいわねぇ」といいながら、腰かける。

「ふーん。ってことは、ブルマさんは実年齢を知ってるわけだ」


 ルンルンがほお杖をついて、斜にブルマを見る。

「まあね。うちの科学者になって、わりとすぐ白状してくれたわよ。・・・・・・トランクスが小うるさいから、だまってたんだけど」

 ブルマが嫌そうにトランクスを見ると、息子は息子で「大事なことはちゃんと報告してください!」と眉をつり上げる。

 ルンルンはふたりの間にはいった。

「まあ、まあ、それでさ。イラータさんって、実はいくつなわけ?」

 ブルマはふたりの反応を楽しむように、意味深にほほえんだ。

「十三」

 ぶっ・・・・・・!

 トランクスとルンルンが同時に吹き出し、ブルマを凝視する。

「ガキじゃねーか!」
「あら、いいじゃない。学校もすすめたんだけど、お金がないし、簡単すぎてつまんないんですって。その気持ちわかるわ~。わたしも同じ理由でよくさぼってたもの」
「い、いいんですか、それで・・・・・・。っていうか、彼女、飲み会で飲んでましたよね? きのうもいっしょに晩酌してませんでした!?」
「見なかったことにしなさい」
「・・・・・・!!」

 親の発言に言葉をうしなうトランクス。そのとなりでルンルンが肩をすくめた。

「なるほど。脇の甘いやつだと思ってたけど、ガキだったのか」 

 とか言ってる矢先に、「あーー!」とイラータの甘ったるい悲鳴がした。
 おどろいて悲鳴のしたほうに顔を向けると、イラータが半泣きでテーブルに近づいてきた。

「カラスにお昼のハンバーガーとられましたぁ・・・・・・」
「どんだけ、隙だらけなんだよ」

 ルンルンが呆れかえる。

「一日十個限定だったのよ! 最後の一個だったのに!」

「あきらめろ。今ごろ何処かのお屋根で、小馬鹿にしてるよ。アホーアホーってな」

「ルンルンさんの分もあったのに・・・・・・」
「よし、わかった。今日の夕飯は、鳥の串焼きだ。鳥を食いつぶすぞ。社長、ごち!」

 押忍のポーズをとって、深々と頭を下げるルンルンに、続いて「あ! じゃあ私もー!」と手を上げるブルマ。
「ごちになりまーす」と、ルンルンの口調をまねるイラータ。


(俺は最近、全員の保護者になった気分になる・・・・・・)

 それぞれ個性あふれる三人組を見回し、トランクスはため息をついた。
 
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