騒動
営業室。
研究室。
談話室。
会議室。
この名前に第一⚪⚪室とか第二⚪⚪室と、番号のプレートのある部屋がドンドン増えていく。
今、一階と二階を回って、第二談話室でくつろいでいるところだ。
談話室と言うより、小洒落たカフェだ。
白いテーブルに、白いイス。
ジュースの入ったグラスを片手に談話する社員。
その間を、お手伝いロボットがせわしなく行き交っている。
噴水とか設置されちゃってさ、太陽光が入るように、東の壁がガラス張りになってんの。
まぁ、豪華、豪華。
まじで三年でここまで再建できたのかよ。
恐ろしいな、カプセルコーポレーションは。
「昼休みだけでまわれる量じゃないなぁ。コレ」
頭を引っ掻きながら、ぐったりした顔をすると、イラータが「そりゃあ、そうよ」と笑った。
「私たち平社員が覚えなきゃあ、いけないのはこれぐらいかな」
「えー。マジに?地図とかねーの?全体把握しとかないと、落ち着かないんだよ。こーゆーの」
水を頭からかぶった身の上、社長室を拝みたいとは、さすがにもう頼めなかった。
その代わり、ブーブー口を尖らせる。
するとイラータはすぐに「もちろん、あるわ」と、丁寧に折りたたんである紙をくれた。
「迷子になる人が結構いるの。地図は必需品だよ。きっとマルタさんってば、渡し忘れてたのね」
、、、、あのタヌキじじい。
「けっ」と心でツバを吐きながら、地図を開いた。
A3の大きな用紙に、丸いドーム状の形をした、カプセルコーポレーションの断面図が。
その横に、輪切りにした円が12つ書いてある。
地下2階~10階までの見取り図だ。
すっげー量。
内心うんざりしながら、円の見取り図に目を走らせるが、金庫の場所は、書いていない。
銀行の機能はまだ回復していないはずだから、金品は絶対あるはずなんだけど、、、。
やっぱり、そう簡単にはいかないか、、、。
地図を小さく折りたたんで、あたりに視線を這わせる。
壁の死角のありとあらゆり場所から、監視カメラがある。
廊下もだ。
今は作動してないが、ドロボウ除けの赤外線感知器もチラホラ見かけた。
警察なんてシステムもまだ不完全なのに、ずいぶん手がこんでいる。
これがどこに映し出されて、誰に見張られているのか、知らないけど、わからないから、逆に対応に困る。
警察の代わりに何が飛び出てくるのやら。
まったく、骨が折れそうだわ。
大複雑骨折しそう。
「、、、??どうしたの?」
深いため息をついた私を見て、イラータが目を丸くする。
「いーや、なんでもない。、、、ところでさ」
私が口を開いた時だった。
なんの脈絡もなく、女たちのやかましい絶叫が、廊下の向こうから、木霊した。
イラータの頬がほのかに赤くなる。
「トランクス社長かな!?」
、、、、いや。
ちがう。
そんかテンションの声じゃねぇ。
そう思ったとたん、銃撃音が和やかな空気を切り裂いた。
談話室が一斉にざわついて、イスに座っていた社員たちが立ち上がった。
イラータも。
銃撃音がした方へ向かう社員の波に、釣られて歩こうとするイラータをあわてて制止した。
「ばか。やめとけよ。あんたはここにいな」
「で、でも。みんなが」
「みんなバカなだけ。隠れてなよ。私が様子を見に行くから」
「ルンルンさんが危ないのも一緒じゃない!」
たれ目を吊り上げ怒るイラータに、私は片目をつむった。
「だいじょうぶ。私はなれてるから」
「えっ?」
「いいから、どこかに隠れてな」
イラータを無理矢理テーブルに引き戻すと、私は談話室から飛び出した。
研究室。
談話室。
会議室。
この名前に第一⚪⚪室とか第二⚪⚪室と、番号のプレートのある部屋がドンドン増えていく。
今、一階と二階を回って、第二談話室でくつろいでいるところだ。
談話室と言うより、小洒落たカフェだ。
白いテーブルに、白いイス。
ジュースの入ったグラスを片手に談話する社員。
その間を、お手伝いロボットがせわしなく行き交っている。
噴水とか設置されちゃってさ、太陽光が入るように、東の壁がガラス張りになってんの。
まぁ、豪華、豪華。
まじで三年でここまで再建できたのかよ。
恐ろしいな、カプセルコーポレーションは。
「昼休みだけでまわれる量じゃないなぁ。コレ」
頭を引っ掻きながら、ぐったりした顔をすると、イラータが「そりゃあ、そうよ」と笑った。
「私たち平社員が覚えなきゃあ、いけないのはこれぐらいかな」
「えー。マジに?地図とかねーの?全体把握しとかないと、落ち着かないんだよ。こーゆーの」
水を頭からかぶった身の上、社長室を拝みたいとは、さすがにもう頼めなかった。
その代わり、ブーブー口を尖らせる。
するとイラータはすぐに「もちろん、あるわ」と、丁寧に折りたたんである紙をくれた。
「迷子になる人が結構いるの。地図は必需品だよ。きっとマルタさんってば、渡し忘れてたのね」
、、、、あのタヌキじじい。
「けっ」と心でツバを吐きながら、地図を開いた。
A3の大きな用紙に、丸いドーム状の形をした、カプセルコーポレーションの断面図が。
その横に、輪切りにした円が12つ書いてある。
地下2階~10階までの見取り図だ。
すっげー量。
内心うんざりしながら、円の見取り図に目を走らせるが、金庫の場所は、書いていない。
銀行の機能はまだ回復していないはずだから、金品は絶対あるはずなんだけど、、、。
やっぱり、そう簡単にはいかないか、、、。
地図を小さく折りたたんで、あたりに視線を這わせる。
壁の死角のありとあらゆり場所から、監視カメラがある。
廊下もだ。
今は作動してないが、ドロボウ除けの赤外線感知器もチラホラ見かけた。
警察なんてシステムもまだ不完全なのに、ずいぶん手がこんでいる。
これがどこに映し出されて、誰に見張られているのか、知らないけど、わからないから、逆に対応に困る。
警察の代わりに何が飛び出てくるのやら。
まったく、骨が折れそうだわ。
大複雑骨折しそう。
「、、、??どうしたの?」
深いため息をついた私を見て、イラータが目を丸くする。
「いーや、なんでもない。、、、ところでさ」
私が口を開いた時だった。
なんの脈絡もなく、女たちのやかましい絶叫が、廊下の向こうから、木霊した。
イラータの頬がほのかに赤くなる。
「トランクス社長かな!?」
、、、、いや。
ちがう。
そんかテンションの声じゃねぇ。
そう思ったとたん、銃撃音が和やかな空気を切り裂いた。
談話室が一斉にざわついて、イスに座っていた社員たちが立ち上がった。
イラータも。
銃撃音がした方へ向かう社員の波に、釣られて歩こうとするイラータをあわてて制止した。
「ばか。やめとけよ。あんたはここにいな」
「で、でも。みんなが」
「みんなバカなだけ。隠れてなよ。私が様子を見に行くから」
「ルンルンさんが危ないのも一緒じゃない!」
たれ目を吊り上げ怒るイラータに、私は片目をつむった。
「だいじょうぶ。私はなれてるから」
「えっ?」
「いいから、どこかに隠れてな」
イラータを無理矢理テーブルに引き戻すと、私は談話室から飛び出した。