整理整頓
北の都へでかけてから、三日が経った。
トランクスは普段着からスーツに着替えて、デスクワークをこなし、作業服に着替えて、ブルマの機械作業の補助にあたる。
あわただしく会社を走り回っていると、総務の部署から怒鳴り声が聞こえてきて、トランクスは足を止めた。
誰かをしかりつけていると言うより、文句や愚痴に近い。
思わず回れ右をして、自動ドアを開けた。
「なにごとですか?」
顔をのぞかせると、見るからに不機嫌そうな中年男性と、オロオロしている社員たちがいる。
「ト、トランクス社長!」
ピンクのスーツを着ている女性社員・・・・・・あれは、イラータさんだ。
彼女が深々と頭を下げた。
トンランクスもほほ笑んで会釈する。
「イラータさん。この前はありがとうございました。それでえっと、どうしたんですか? 何か問題があるなら、教えてください」
途中で中年男性に視線を移すと、きょを突かれた様子だった中年男性が我に返る。
「た、大したことではないのですが、つい五日前に入社した社員が、もう三日も無断欠勤してるんですよ! まったく頼んだ仕事もほっぽりだして、けしからん話です!」
「きっと何か事情があるんですよ。あの、ルンルンさんの担当は私が引き受けますから・・・・・・」
(ルンルンさん・・・・・・、あっ!)
ルンルンが社員であることを、すっかり忘れていた。
「あ、ああ! そうだ! ルンルンさんには、その、えっと、出張。そう! 俺が出張を頼んだんです。伝えるのをすっかり忘れていました」
マルタが目を白黒させた。
「出張? 新人社員にですか?」
トランクスはぐっとのどをつまらせた。
「は、はい。彼女に向いてそうな仕事があって・・・・・・」
ちょっと、かなり、いや、だいぶ苦しい言い訳かもしれない。
トランクスは冷や汗をかきながら、地面にめり込みそうな勢いで、マルタに拝礼をした。
「すみません! 俺の落ち度で、ご迷惑をおかけしてしまって!」
「しゃ、社長! いけません! 頭を上げてください。わ、わかりました。新人の仕事分くらいなんら問題はないので、だいじょうぶです!」
「よかった! 困ったことがあったら、応援を寄越しますので、いつでも言ってくださいね」
汗を拭いながら、トランクスは急いで総務部を離れた。
*****
(そうか・・・・・・。ルンルンさん、会社に来てないのか)
社長室にもどると、ため息をついて、部屋を見回した。
ルンルンの撃った弾丸の跡が、ところせましと残っている。
割られた窓ガラスはベニア板でふさいだだけで、まだ修理もできていない。
もう一度ため息をつくと、突然ノックなしで社長室のドアがスパーン! と開いた。
怒りの形相の母が、ノシノシとこちらにやってくる。
「ちょっと、トランクスッ! あんたボーッとしすぎっ!」
そう言って、ふせんだらけの書類をデスクにつむ。
「サインはぬけてる。誤字だらけ。補助してもらった作業もほとんど間違ってるわよ!」
「こ、これ、こんなにですか?」
自分のミスに呆然としてしまう。
「ため息ばっかりついてるし、仕事にならないわ」
ブルマの怒りがふっと消えて、苦笑いに変わる。
「・・・・・・そんなにルンルンさんが気になる?」
図星をつかれて、トランクスはギクリとする。
「そ、そりゃあ・・・・・・、様子がおかしかったですし」
「そう。なら、会いに行きなさい」
ブルマがふたつの封筒を押しつけた。
「社交パーティーの日程が決まったから、ルンルンさんと一緒に目を通して、話を練っておきなさい。あとこれもアガサに届けてね」
ブルマは「ほら、ここにいても使い物にならないんだから、さっさと行く! 外で頭を冷やしてきなさい!」と強引にトランクスを部屋から追い出した。
「まったく、にぶいんだから」
ひとりになった部屋で、ブルマは肩をすくめた。
トランクスは普段着からスーツに着替えて、デスクワークをこなし、作業服に着替えて、ブルマの機械作業の補助にあたる。
あわただしく会社を走り回っていると、総務の部署から怒鳴り声が聞こえてきて、トランクスは足を止めた。
誰かをしかりつけていると言うより、文句や愚痴に近い。
思わず回れ右をして、自動ドアを開けた。
「なにごとですか?」
顔をのぞかせると、見るからに不機嫌そうな中年男性と、オロオロしている社員たちがいる。
「ト、トランクス社長!」
ピンクのスーツを着ている女性社員・・・・・・あれは、イラータさんだ。
彼女が深々と頭を下げた。
トンランクスもほほ笑んで会釈する。
「イラータさん。この前はありがとうございました。それでえっと、どうしたんですか? 何か問題があるなら、教えてください」
途中で中年男性に視線を移すと、きょを突かれた様子だった中年男性が我に返る。
「た、大したことではないのですが、つい五日前に入社した社員が、もう三日も無断欠勤してるんですよ! まったく頼んだ仕事もほっぽりだして、けしからん話です!」
「きっと何か事情があるんですよ。あの、ルンルンさんの担当は私が引き受けますから・・・・・・」
(ルンルンさん・・・・・・、あっ!)
ルンルンが社員であることを、すっかり忘れていた。
「あ、ああ! そうだ! ルンルンさんには、その、えっと、出張。そう! 俺が出張を頼んだんです。伝えるのをすっかり忘れていました」
マルタが目を白黒させた。
「出張? 新人社員にですか?」
トランクスはぐっとのどをつまらせた。
「は、はい。彼女に向いてそうな仕事があって・・・・・・」
ちょっと、かなり、いや、だいぶ苦しい言い訳かもしれない。
トランクスは冷や汗をかきながら、地面にめり込みそうな勢いで、マルタに拝礼をした。
「すみません! 俺の落ち度で、ご迷惑をおかけしてしまって!」
「しゃ、社長! いけません! 頭を上げてください。わ、わかりました。新人の仕事分くらいなんら問題はないので、だいじょうぶです!」
「よかった! 困ったことがあったら、応援を寄越しますので、いつでも言ってくださいね」
汗を拭いながら、トランクスは急いで総務部を離れた。
*****
(そうか・・・・・・。ルンルンさん、会社に来てないのか)
社長室にもどると、ため息をついて、部屋を見回した。
ルンルンの撃った弾丸の跡が、ところせましと残っている。
割られた窓ガラスはベニア板でふさいだだけで、まだ修理もできていない。
もう一度ため息をつくと、突然ノックなしで社長室のドアがスパーン! と開いた。
怒りの形相の母が、ノシノシとこちらにやってくる。
「ちょっと、トランクスッ! あんたボーッとしすぎっ!」
そう言って、ふせんだらけの書類をデスクにつむ。
「サインはぬけてる。誤字だらけ。補助してもらった作業もほとんど間違ってるわよ!」
「こ、これ、こんなにですか?」
自分のミスに呆然としてしまう。
「ため息ばっかりついてるし、仕事にならないわ」
ブルマの怒りがふっと消えて、苦笑いに変わる。
「・・・・・・そんなにルンルンさんが気になる?」
図星をつかれて、トランクスはギクリとする。
「そ、そりゃあ・・・・・・、様子がおかしかったですし」
「そう。なら、会いに行きなさい」
ブルマがふたつの封筒を押しつけた。
「社交パーティーの日程が決まったから、ルンルンさんと一緒に目を通して、話を練っておきなさい。あとこれもアガサに届けてね」
ブルマは「ほら、ここにいても使い物にならないんだから、さっさと行く! 外で頭を冷やしてきなさい!」と強引にトランクスを部屋から追い出した。
「まったく、にぶいんだから」
ひとりになった部屋で、ブルマは肩をすくめた。