整理整頓

「じゃあ、この大天才が教えて、あ・げ・る♪ 今回の事実に、気づきなさいって言ってるの。助けを求めても誰も助けてくれなかったあなたに、手をさし出せば、助けくれる存在ができたってことよ」

 会長さんが、若社長を指さす。

 わたしは会長さんをまじまじと見つめ、若社長を凝視した。

 とたんに体の体温が一気に跳ね上がった。
 いたたまれない気恥ずかしさに襲われたと思ったら、感情が、のどから鼻、鼻から目に移って、涙があふれだす。
 わたし、なんで泣いるんだよ。
 恥ずかしいのか、うれしいのか、くやしいのか、さっぱりわかんねぇ。

「ル、ルンルンさん? だいじょうぶですか!?」

 若社長がオロオロしながら、手をのばす。わたしはその手を打ち払った。

 無言で若社長をにらんでから、逃げるように若社長の家から出て行った。



 ****


「ちょ、ルンルンさん!」
「いいのよ。そっとしといてあげなさい」

 泣きながら走り去るルンルンを追いかけようとして、ブルマに止められた。

「心を整理する時間がいるのよ。心配だったら、日を改めてみたら?」

「あんな表情、はじめて見ました」
「かわいいわねぇ~。いつものクールなのもいいけど。これからどんどんかわいくなるわよ。あの子」

 ブルマはどこまでも楽しそうに笑っていた。
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