はじまり
あの日記から数年の月日が流れた。
相変わらず友達は出来ないままだが「これ」を「この子」と呼ぶまでになっていた。
「いつかこの子のことわかってくれる人がいればいいな」
なんているはずのない運命の人を探していた。
「おはようJOJO」
「おはようJOJO」
この状況を説明すると登校中有名な先輩(とその取り巻きの女性)にたまたま出くわしてしまったのだ。
何が嫌って正直ものすごくうるさいの。
ブスやらペチャパイやら罵声が聞こえてくる
早くここから去ってしまいたい。
「やかましい!うっとおしいぞォ!」
ビクッ! ドスの効いた声に思わず飛び上がる
どうやら驚いたのは私だけなようで女性達はキャーキャー言っている
私がおかしいの?
「きゃああああーJOJOォー!」
「えっ!?」
勢いよく先輩が石段の下に転がっていった
女性達が慌てている
「あ でも動いてるわよッ!」
「木の枝がクッションになって助かったんだわッ!」
「運がいいわ...あと15センチずれていたら石畳に激突だったわ...」
よかった、大丈夫なようだ
一応絆創膏と消毒液は持っているけれど先輩に、いや男子に話しかけるのは怖いし緊張する。
あれやこれやと悩んでいるうちに見慣れない顔の男性が先輩に話しかけていた
「君...左足を切ったようだが...」
「このハンカチで応急手当をするといい」
それなら安心だ ほっと胸を撫で下ろす
「大丈夫かい?」
「...ああ...かすり傷だ」
あれだけの高さから落ちてかすり傷とは先輩、さすが不良なだけあって強い
「待て」
「ありがとうよ 見ない顔だが...うちの学校か?」
「花京院 典明 昨日転校してきたばかりです よろしく」
「へぇー」 「へぇー」 「へぇー」
「へぇー」 あ、つられてしまいました。
「花京院くんだって!結構いいんじゃない?」
「そぉ?」
「わたしはやっぱりJOJOの方が好き」
「あたしも」 「あたしも」 「あたしも」
花京院くん、可哀想。
でも私は花京院くんの方が好きですかね、怖い不良の先輩よりもって意味ですけど。
学校に着いて早々保健委員の雛子は朝練で怪我した生徒の付き添いをしていた。
「〜!!!」
なにやら医務室が騒がしくいつもは優しい保健医の怒号が聞こえる。
なにかあったのだろうか。
「ごめんね、辛いだろうけどここで待っててください。少し様子見て来ます。」
怪我をした生徒にそう言い雛子は保健医に話しかけた。
「先生?大丈夫ですか?」
「下がってろ女!」
本日2回目のドスの効いた声が頭に響き思わず心臓が喉から飛び出そうになる。
また先輩だ、
あまりにも怖かったもので言われた通り身を引く
「今日は運が悪いな...」
「それじゃあよくッ!見てッ!見なさいッ!」
先生がそう言うと勢いよく不良生徒の目の中に万年筆を刺した。
こんなの普通じゃない 私の憧れの保健医はどこへ行ったのだろうか。
気づかれないように扉の影から様子を見る
「何だこの腕力ッ!女の力じゃあねえ!」
万年筆が先輩の顔に刺さる
このままでは先輩が...だが目の前の光景に足が竦み、恐怖に唇を噛む
「私じゃ先輩を...守ることすら出来ない...」
その時だった
「そのとおり...」
「て、てめーは!」
朝先輩にハンカチを渡していた女子に不人気だった花京院くん!
「その女医には私の『幽波紋』がとりついて操っている...私の幽波紋を攻撃することはその女医を傷つけることだぞJOJO」
幽波紋?なんなのそれ?2人はなん事を話しているの?
「花京院!これがてめーの『スタンド』か!緑色でスジがあってまるで光ったメロンだな!」
光ったメロン?そして静かに顔を覗かせる
「本当に光ったメロンだ...」
しかしあれは何なのだろう、見た目はまるでエイリアンのようだ。
「ひきずり出したことを...」 「後悔することになるぞJOJO...」
すると光ったメロンの手から緑色の液体が流れてるのが見えた。
「くらえ我がスタンド法皇の緑」
「花京院!妙な動きをするんじゃあねぇ!」
「先輩!危な...」
自然と体が動いていた。もう脚はすくんでいない。だが間に合うはずもなかった
「エメラルドスプラッシュ!!」
エメラルドスプラッシュが雛子を直撃する
あの子なら先輩を守ることが出来たのに。
遅かった。
朦朧とする意識の中、怖い顔の緑色の学ランを着た男が見えた。
目が覚めた時には知らない部屋の知らない布団に寝ていた。
ここはどこ...私は誰...なんてね。
「貴女は...」
「私はホリィっていうの。承太郎のママよ♡」
「そうですか...ってここどこですか!?」
「ここは承太郎のお家よ。別の部屋で寝てる花京院くんと一緒に承太郎とここに担ぎ込まれて連れてこられたのよ」
「そうですか...」
記憶が曖昧だ。確か花京院とかいう男にエメラルド...なんちゃらを撃たれて...
「花京院がここにいるんですか!?ホリィさん!早く逃げた方が!」
「あら大丈夫よ。まだ寝てるわ。」
「どこでですか?」
「隣で。」
「ひ!」
思わず布団を被る。
「そんなに怯えなくても大丈夫よ。今はまだ眠ってるわ。」
そう言ったホリィさんの手が少し赤くなっているのが見えた。
「もしかして私達のことずっと看病してたんですか?」
「当たり前じゃない♡」
痛々しい手を隠しながらホリィさんが笑う。
「私も手伝います!得意なんです!」
無理やりホリィさんの濡れタオルを奪う。
「あらあらじゃあお願いしちゃおうかしらね」
「花京院くん...」
彼はどうして先輩を襲ったのだろう。そして今先輩の家にいると知ったら驚くだろうな。
彼の顔を見る。髪型は変わっているが、結構整った顔をしている。
「かっこいい...」
すると彼の額に何か変な蜘蛛のような出来物のようなものがついているのに気がついた。
「なにこれ...」
それに手を伸ばす
「それに触るんじゃあねえぜ!!!」
「ひゃ!」
勢い良く襖を開け、大声で怒鳴ったのは先輩だった。
「先輩...ビックリさせないでください...」
「あ?」
「すいません...なんでもないです...」
怖い!やっぱり不良って苦手...
「それは肉の芽って言ってな、DIOの細胞なんじゃ。引き抜こうとすると脳に侵食されるから触らない方が良いぞ」
声の主は身長が先輩と同じくらいあるダンディなおじいちゃん。
「DIOに憧れ忠誠を誓うように少年の精神に影響を与えるよう脳に打ち込まれているのじゃ!」
「手術で摘出できないんですか?」
素朴な疑問をぶつける。
「残念だが肉の芽は死なない。脳はデリケートだ。取り出す時こいつが動いたらキズを付けてしまう」
「JOJO...こんなことがあった...4ヶ月ほど前...」
アラブ系の男性が話し始める。
なんでもエジプトのカイロでDIOという人物に出会ったのだと言う。
男とは思えないような怪しい色気を纏ったDIOという人物は彼に対し甘い言葉をかけた。
するとDIOの髪の毛が彼目掛け触手のように鋭く伸びてきたのだと言う。
そして彼は必死に逃げた。闘おうなどとは考えなかった。
幸いその地形に詳しかったためにDIOの追跡から逃れられたのだと言う。
「...でなければ私もこの少年のように『肉の芽』で仲間に引き込まれていただろう。『スタンド』をやつのために使わせられていたろう」
スタンド...とは何なのかと考えるまもなくおじいさんが話し始める。
「そしてこの少年のように数年で脳を食い尽くされ死んでいただろうな」
「死んでいた?」
まだ彼の体は死人のように冷たくなく、温かかった。ひょっとして
「ちょいと待ちな この花京院はまだ 死んじゃあいねえぜ!!」
先輩の背後から緑色の人が出てくる。
上半身が裸なので少し恥ずかしい。
「俺のスタンドで引っこ抜いてやるッ!」
「やめろッ!その肉の芽は生きているのじゃ!何故奴の肉の芽の一部が額の外へ出ているのかわからんのか!優れた外科医にも摘出できないわけがそこにある!」
そうおじいさんが叫ぶと『肉の芽』から触手が伸び、先輩の手に刺さる。
「先輩!」
「まずい!手を離せ!JOJO!」
「摘出しようとする者の脳に侵入しようとするのじゃ!!!」
ボゴボゴと先輩の手から腕の中へと触手が入ってゆく。
すると花京院くんが目をパチリと空けた
「花京院くん!」
「き...さ...ま...」
「動くなよ花京院 しくじればテメーの脳はおだぶつだ」
既に触手は先輩の顔まで達していたこのままでは
「手を離してください!このままじゃあ先輩まで!」
「お嬢さん、見なさい。わしの孫は震えひとつ起こしておらん!もちろんスタンドもじゃ!機械以上に正確に力強く!うごいてゆくッ!」
肉の芽をピシューッと引っこ抜く。
「やったッ!」
アラブ系の男性が言う
「うおおお!!」
するとまた上半身裸の緑色の人が出てきて勢いよく肉の芽を引っ張り出しブチブチと引き裂いた。
「波紋疾走!!」
おじいさんがそう叫ぶとビリビリとした電気のようなものがおじいさんの手から出る。
すると肉の芽はサラサラとした砂になって空中へ消えていった。
「なぜおまえは自分の命の危険を冒してまでわたしを助けた?」
「さあな...そこんとこだがおれにもようわからん」
そう言われた花京院くんの目は少し潤んでいた。
「そうだわ!花京院くんと雛子ちゃん、今日は泊まっていきなさいよ!雛子ちゃんは傷の手当もしなくちゃいけないし、いいでしょう?」
ホリィさんがポンッと手を叩き笑って言う。
「はい...別に構いません」
「はい!親に連絡します!」
「雛子さん...」
「は、はい!?」
何故か声が裏がえる。男性と話すのは緊張する。今までそういうことに無縁だったからかな。
「謝りたくて。操られてたとはいえ君を傷つけてごめんなさい。」
「ううん、DIOって人が悪いんだから花京院くんは気にすることないよ。」
「ありがとう、雛子さんは優しいんだね」
花京院くんが笑う。笑顔がとても眩しくて素敵だ。
「話は終わったかね?花京院。それとお若いレディ、少し話があるのだが良いかな?」
「では単刀直入に聞こう。君はこれが見えるのかね?」
先輩の背後にいる上半身裸の緑の人を指さすおじいさん。
「はい。見えます。それがどうかしたんですか?」
「これはスタンドという生命エネルギーのビジョンだ。スタンドはスタンド使いにしか見えない」
「うーんよくわからないですけど、私もスタンド使いってことですか?」
「そうじゃ。君のスタンドを見せてはくれないかな?」
思い当たる事といえばこの子くらいだとりあえずそれを聞いてみよう
「この子もスタンドなんですかね?」
「この子?」
おじいさんが首を傾げる
雛子は念じてこの子を出して見せた
「何だこのスタンドは!こんなスタンド見た事がないぞ!」 アラブ系の男性が声を荒らげる。
「私のスタンドは巨大なバリア...というかもう壁ですね。物体にシールの様に貼り付けることもできますよ。」
「ところで貴方達は...」
「ああ、まだ自己紹介がまだじゃったな。わしはジョセフ・ジョースター。アメリカで不動産業を営んでいる。そしてそっちの承太郎のおじいちゃんじゃ。」
「俺のことは紹介しなくてもいいだろジジイ。」
「私はモハメド・アヴドゥルエジプトで占い師をしているものです。」
「次は花京院じゃな!」
「僕は花京院典明。多分君と同じ学年だと思う。」
「佐久間雛子です!よろしくお願いします!」
その日はホリィさんのパジャマを貸してもらい先輩の家に泊まった。
相変わらず友達は出来ないままだが「これ」を「この子」と呼ぶまでになっていた。
「いつかこの子のことわかってくれる人がいればいいな」
なんているはずのない運命の人を探していた。
「おはようJOJO」
「おはようJOJO」
この状況を説明すると登校中有名な先輩(とその取り巻きの女性)にたまたま出くわしてしまったのだ。
何が嫌って正直ものすごくうるさいの。
ブスやらペチャパイやら罵声が聞こえてくる
早くここから去ってしまいたい。
「やかましい!うっとおしいぞォ!」
ビクッ! ドスの効いた声に思わず飛び上がる
どうやら驚いたのは私だけなようで女性達はキャーキャー言っている
私がおかしいの?
「きゃああああーJOJOォー!」
「えっ!?」
勢いよく先輩が石段の下に転がっていった
女性達が慌てている
「あ でも動いてるわよッ!」
「木の枝がクッションになって助かったんだわッ!」
「運がいいわ...あと15センチずれていたら石畳に激突だったわ...」
よかった、大丈夫なようだ
一応絆創膏と消毒液は持っているけれど先輩に、いや男子に話しかけるのは怖いし緊張する。
あれやこれやと悩んでいるうちに見慣れない顔の男性が先輩に話しかけていた
「君...左足を切ったようだが...」
「このハンカチで応急手当をするといい」
それなら安心だ ほっと胸を撫で下ろす
「大丈夫かい?」
「...ああ...かすり傷だ」
あれだけの高さから落ちてかすり傷とは先輩、さすが不良なだけあって強い
「待て」
「ありがとうよ 見ない顔だが...うちの学校か?」
「花京院 典明 昨日転校してきたばかりです よろしく」
「へぇー」 「へぇー」 「へぇー」
「へぇー」 あ、つられてしまいました。
「花京院くんだって!結構いいんじゃない?」
「そぉ?」
「わたしはやっぱりJOJOの方が好き」
「あたしも」 「あたしも」 「あたしも」
花京院くん、可哀想。
でも私は花京院くんの方が好きですかね、怖い不良の先輩よりもって意味ですけど。
学校に着いて早々保健委員の雛子は朝練で怪我した生徒の付き添いをしていた。
「〜!!!」
なにやら医務室が騒がしくいつもは優しい保健医の怒号が聞こえる。
なにかあったのだろうか。
「ごめんね、辛いだろうけどここで待っててください。少し様子見て来ます。」
怪我をした生徒にそう言い雛子は保健医に話しかけた。
「先生?大丈夫ですか?」
「下がってろ女!」
本日2回目のドスの効いた声が頭に響き思わず心臓が喉から飛び出そうになる。
また先輩だ、
あまりにも怖かったもので言われた通り身を引く
「今日は運が悪いな...」
「それじゃあよくッ!見てッ!見なさいッ!」
先生がそう言うと勢いよく不良生徒の目の中に万年筆を刺した。
こんなの普通じゃない 私の憧れの保健医はどこへ行ったのだろうか。
気づかれないように扉の影から様子を見る
「何だこの腕力ッ!女の力じゃあねえ!」
万年筆が先輩の顔に刺さる
このままでは先輩が...だが目の前の光景に足が竦み、恐怖に唇を噛む
「私じゃ先輩を...守ることすら出来ない...」
その時だった
「そのとおり...」
「て、てめーは!」
朝先輩にハンカチを渡していた女子に不人気だった花京院くん!
「その女医には私の『幽波紋』がとりついて操っている...私の幽波紋を攻撃することはその女医を傷つけることだぞJOJO」
幽波紋?なんなのそれ?2人はなん事を話しているの?
「花京院!これがてめーの『スタンド』か!緑色でスジがあってまるで光ったメロンだな!」
光ったメロン?そして静かに顔を覗かせる
「本当に光ったメロンだ...」
しかしあれは何なのだろう、見た目はまるでエイリアンのようだ。
「ひきずり出したことを...」 「後悔することになるぞJOJO...」
すると光ったメロンの手から緑色の液体が流れてるのが見えた。
「くらえ我がスタンド法皇の緑」
「花京院!妙な動きをするんじゃあねぇ!」
「先輩!危な...」
自然と体が動いていた。もう脚はすくんでいない。だが間に合うはずもなかった
「エメラルドスプラッシュ!!」
エメラルドスプラッシュが雛子を直撃する
あの子なら先輩を守ることが出来たのに。
遅かった。
朦朧とする意識の中、怖い顔の緑色の学ランを着た男が見えた。
目が覚めた時には知らない部屋の知らない布団に寝ていた。
ここはどこ...私は誰...なんてね。
「貴女は...」
「私はホリィっていうの。承太郎のママよ♡」
「そうですか...ってここどこですか!?」
「ここは承太郎のお家よ。別の部屋で寝てる花京院くんと一緒に承太郎とここに担ぎ込まれて連れてこられたのよ」
「そうですか...」
記憶が曖昧だ。確か花京院とかいう男にエメラルド...なんちゃらを撃たれて...
「花京院がここにいるんですか!?ホリィさん!早く逃げた方が!」
「あら大丈夫よ。まだ寝てるわ。」
「どこでですか?」
「隣で。」
「ひ!」
思わず布団を被る。
「そんなに怯えなくても大丈夫よ。今はまだ眠ってるわ。」
そう言ったホリィさんの手が少し赤くなっているのが見えた。
「もしかして私達のことずっと看病してたんですか?」
「当たり前じゃない♡」
痛々しい手を隠しながらホリィさんが笑う。
「私も手伝います!得意なんです!」
無理やりホリィさんの濡れタオルを奪う。
「あらあらじゃあお願いしちゃおうかしらね」
「花京院くん...」
彼はどうして先輩を襲ったのだろう。そして今先輩の家にいると知ったら驚くだろうな。
彼の顔を見る。髪型は変わっているが、結構整った顔をしている。
「かっこいい...」
すると彼の額に何か変な蜘蛛のような出来物のようなものがついているのに気がついた。
「なにこれ...」
それに手を伸ばす
「それに触るんじゃあねえぜ!!!」
「ひゃ!」
勢い良く襖を開け、大声で怒鳴ったのは先輩だった。
「先輩...ビックリさせないでください...」
「あ?」
「すいません...なんでもないです...」
怖い!やっぱり不良って苦手...
「それは肉の芽って言ってな、DIOの細胞なんじゃ。引き抜こうとすると脳に侵食されるから触らない方が良いぞ」
声の主は身長が先輩と同じくらいあるダンディなおじいちゃん。
「DIOに憧れ忠誠を誓うように少年の精神に影響を与えるよう脳に打ち込まれているのじゃ!」
「手術で摘出できないんですか?」
素朴な疑問をぶつける。
「残念だが肉の芽は死なない。脳はデリケートだ。取り出す時こいつが動いたらキズを付けてしまう」
「JOJO...こんなことがあった...4ヶ月ほど前...」
アラブ系の男性が話し始める。
なんでもエジプトのカイロでDIOという人物に出会ったのだと言う。
男とは思えないような怪しい色気を纏ったDIOという人物は彼に対し甘い言葉をかけた。
するとDIOの髪の毛が彼目掛け触手のように鋭く伸びてきたのだと言う。
そして彼は必死に逃げた。闘おうなどとは考えなかった。
幸いその地形に詳しかったためにDIOの追跡から逃れられたのだと言う。
「...でなければ私もこの少年のように『肉の芽』で仲間に引き込まれていただろう。『スタンド』をやつのために使わせられていたろう」
スタンド...とは何なのかと考えるまもなくおじいさんが話し始める。
「そしてこの少年のように数年で脳を食い尽くされ死んでいただろうな」
「死んでいた?」
まだ彼の体は死人のように冷たくなく、温かかった。ひょっとして
「ちょいと待ちな この花京院はまだ 死んじゃあいねえぜ!!」
先輩の背後から緑色の人が出てくる。
上半身が裸なので少し恥ずかしい。
「俺のスタンドで引っこ抜いてやるッ!」
「やめろッ!その肉の芽は生きているのじゃ!何故奴の肉の芽の一部が額の外へ出ているのかわからんのか!優れた外科医にも摘出できないわけがそこにある!」
そうおじいさんが叫ぶと『肉の芽』から触手が伸び、先輩の手に刺さる。
「先輩!」
「まずい!手を離せ!JOJO!」
「摘出しようとする者の脳に侵入しようとするのじゃ!!!」
ボゴボゴと先輩の手から腕の中へと触手が入ってゆく。
すると花京院くんが目をパチリと空けた
「花京院くん!」
「き...さ...ま...」
「動くなよ花京院 しくじればテメーの脳はおだぶつだ」
既に触手は先輩の顔まで達していたこのままでは
「手を離してください!このままじゃあ先輩まで!」
「お嬢さん、見なさい。わしの孫は震えひとつ起こしておらん!もちろんスタンドもじゃ!機械以上に正確に力強く!うごいてゆくッ!」
肉の芽をピシューッと引っこ抜く。
「やったッ!」
アラブ系の男性が言う
「うおおお!!」
するとまた上半身裸の緑色の人が出てきて勢いよく肉の芽を引っ張り出しブチブチと引き裂いた。
「波紋疾走!!」
おじいさんがそう叫ぶとビリビリとした電気のようなものがおじいさんの手から出る。
すると肉の芽はサラサラとした砂になって空中へ消えていった。
「なぜおまえは自分の命の危険を冒してまでわたしを助けた?」
「さあな...そこんとこだがおれにもようわからん」
そう言われた花京院くんの目は少し潤んでいた。
「そうだわ!花京院くんと雛子ちゃん、今日は泊まっていきなさいよ!雛子ちゃんは傷の手当もしなくちゃいけないし、いいでしょう?」
ホリィさんがポンッと手を叩き笑って言う。
「はい...別に構いません」
「はい!親に連絡します!」
「雛子さん...」
「は、はい!?」
何故か声が裏がえる。男性と話すのは緊張する。今までそういうことに無縁だったからかな。
「謝りたくて。操られてたとはいえ君を傷つけてごめんなさい。」
「ううん、DIOって人が悪いんだから花京院くんは気にすることないよ。」
「ありがとう、雛子さんは優しいんだね」
花京院くんが笑う。笑顔がとても眩しくて素敵だ。
「話は終わったかね?花京院。それとお若いレディ、少し話があるのだが良いかな?」
「では単刀直入に聞こう。君はこれが見えるのかね?」
先輩の背後にいる上半身裸の緑の人を指さすおじいさん。
「はい。見えます。それがどうかしたんですか?」
「これはスタンドという生命エネルギーのビジョンだ。スタンドはスタンド使いにしか見えない」
「うーんよくわからないですけど、私もスタンド使いってことですか?」
「そうじゃ。君のスタンドを見せてはくれないかな?」
思い当たる事といえばこの子くらいだとりあえずそれを聞いてみよう
「この子もスタンドなんですかね?」
「この子?」
おじいさんが首を傾げる
雛子は念じてこの子を出して見せた
「何だこのスタンドは!こんなスタンド見た事がないぞ!」 アラブ系の男性が声を荒らげる。
「私のスタンドは巨大なバリア...というかもう壁ですね。物体にシールの様に貼り付けることもできますよ。」
「ところで貴方達は...」
「ああ、まだ自己紹介がまだじゃったな。わしはジョセフ・ジョースター。アメリカで不動産業を営んでいる。そしてそっちの承太郎のおじいちゃんじゃ。」
「俺のことは紹介しなくてもいいだろジジイ。」
「私はモハメド・アヴドゥルエジプトで占い師をしているものです。」
「次は花京院じゃな!」
「僕は花京院典明。多分君と同じ学年だと思う。」
「佐久間雛子です!よろしくお願いします!」
その日はホリィさんのパジャマを貸してもらい先輩の家に泊まった。