黒子のバスケ 4
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猛暑も過ぎ去り、やっと涼しくなってきた今日この頃。
日向は木吉の家に泊まりに来ていた。親代わりのじいちゃんばあちゃんはおらず、家には二人きりだった。
部屋に通されるとテーブルの上に上品な未開封の木箱が置かれていた。
「………なぁ、木吉…なんだこれ」
「ん?…あぁ、それか。朝起きたら枕元に置いてあったんだ」
「…なんでだよ」
「正夢…だと思う」
「は?」
「今朝な、不思議な夢を見たんだ。ドラ○もんと友達になる夢でな、家で花札して遊んでたら時間だからそろそろ帰ると言うんだ。
そうかそれは残念だなって俺が言ったらその木箱をくれたんだ。
中身は開けてからのお楽しみだそうだぞ?」
「……………………………………あ?
ド○えもんの夢って……………の○太くんか何かかお前は」
「いや、そういう訳ではないんだがな」
「知ってるよ……………つか、開けんの?」
「あぁ、気になるしな」
木箱に結ばれた紐をほどき、蓋を開けると中には紙とペンと説明書が入っていた。
「紙と…ペンだな」
「ごく普通のな。………『紙に付属のペンで願い事を書くと願いが叶います』だとよ、木吉」
「なんか七夕みたいだな」
「フッ…だな」
短冊形の紙が2枚とペンが1本…これで笹があれば完璧だな、と笑う。
しかし、夢で渡された箱があるのだから何かしら起こるだろうと、多少疑問に思いながら木吉は紙を手に取る。
「…よし……書いてみるか!」
「あぁ?マジかよ」
「だって気になるだろ?」
「……………まぁ、確かに……」
好奇心には勝てず、日向も紙とペンを手に取り願い事を書こうとした………が、木吉に見られるのが嫌なので離れた場所で書く。
「日向ー?なんでそんなに離れたとこで書くんだ?」
「テメェに見られたくねーからだろうが、ダァホ!」
「そんなに恥ずかしい事を書いたのか?」
「んなわけあるか!コガじゃあるまいし…」
馬鹿言ってねーでお前も書けよ、とペンを木吉に放った。
サンキュー、とうまい事キャッチして紙とにらめっこをし始めた。
……………………………………………………。
木吉が紙とにらめっこをし始めてから30分が経過した。日向はその光景を見ながらせんべいを頬張る。
「……………悩みすぎじゃね?」
「あぁ、分かってはいるんだが………なかなか決まらなくてなぁ。
紙に書けるのは一つだけだから」
「ふーん……。いくつ願い事あんだよ」
「2つだ」
「あっそ。早く決めちまえよ、腹減ったし」
「ん?腹減ったか。もう昼だし、なんか作るか」
「願い事はどーすんだよ」
「作りながら考えるよ」
「焦がすなよ」
「分かってる」
頭では分かっているが、大事な昼飯を焦がすのをやりかねないので、焦がす可能性の低いうどんをチョイス。
プラス昨日の残りのカレーを足してカレーうどんにする。
木吉はうどんをすすりながら願い事を考える。
木吉の願い事は日向の事だった。日向のいる生活が当たり前になった今、それ以外が思いつかない。
「…………………………よし決めた」
「お、悩み始めてから1時間経過してやっと決まったか」
「あぁ、食ったら書くよ」
「何書くんだよ」
「内緒だ」
「は?なんだよ教えろよ」
「日向が教えてくれたら良いぞ」
「ぜっってぇやだ!!」
「ふっ、だろうな」
食器を片すと、日向の元に戻り後ろから抱き締める。
自分より少し小さな愛しい彼を。
「……なんだよ」
「んー?日向が好きだなぁと思ってな」
「…そうかよ」
頬にキスをされてテレる日向。
普段は人前でもしようとするので気配を感じたら威嚇をするかすぐ離れるが、幸い今は二人きりなのでそんな事はしない。
たまには甘えてやろうと思い寄りかかり、自分より大きくて安心する体にすり寄る。
木吉も茶化したりはせずにそっと抱き締めた。
誠凛バスケ部の主将である日向は人より何倍も精神的に疲れているに違いない。
だから、何も気にせず甘えて欲しがった。
(紙に書いた願いが『日向に甘えてほしい』って知ったら、顔を真っ赤にしておこるだろうな……)
「………日向、眠いか?」
「………ん……」
腕の中でやけに大人しいと思ったら日向は舟を漕ぎ始めていた。
曲がるといけないので眼鏡を外してやる。
視力が悪くなった日向は木吉の顔を認識しようと顔を近づける。
眠気眼の恋人があまりにも可愛いのでそっとキスをした。
「ん…」
「布団で寝ような」
「…………………っこ」
「?」
「抱っこ………」
今すぐ抱きたいと思った。しかし、後が怖いので理性を総動員させて抑え、お姫様抱っこで寝室に連れていく。
「…………………?…………??」
歩いている最中、左足の膝が痛くなかった。普段なら少し痛みがあるのだが、それが一切無い。
(…………………!…もしかして……………)
日向を寝かせ、寝付くまでそばにいてやる。安心しきった顔でスヤスヤ眠ったら音を立てずに部屋を出る。
日向が願い事を書いた紙を見ると『木吉の膝が治りますように』と書いてあった。
それを見た瞬間涙が溢れた。
自分の事ではなく、わざわざ自分の事を書いていてくれたなんて。
照れ臭かったから離れた場所で書いていたのか……。
日向らしいな……、とさらに愛しく思った。部屋に戻り恋人を抱き締める。
「ありがとう、日向…」
「…………………………ん…………き…よし……」
「…?………なんだ寝言か」
木吉はまた一つキスをし、そして自分も眠りに着いた。
― ― ―
「………………………し、………よしっ。……起きろやダァホ!!」
「いだっ!!」
「いつまで寝てんだ、バカ」
「……?……今何時だ?」
「夜の7時だ」
「おぉ、そうか……」
もうそんなに寝たのかー、と言いながら木吉は体を起こす。
日向はそれを見届けて居間に行くと、テーブルの上に置いてあった木箱が無くなっていた。
「……あ?」
「どうした、日向?」
「木箱がねぇんだよ」
「え?」
「捨ててねぇよな?」
「あぁ、そのままにしたぞ?」
「…………………………夢か……」
「…………日向」
「あ?」
ちゅっ…
「…………に、すんだよ…」
「俺はずっと日向のそばにいるからな」
「…っ」
「大丈夫だ」
「………ダァホ」
夢だったのは残念だったが、それでも良いと思ったのは日向がそばにいたからだ。
足の事は少し残念だが、そう遠くない未来だと信じている。
『こいつとなら大丈夫だ』
と互いに信頼しているし、どんな困難も乗り越えて行けると確信しているから。
-終-
日向は木吉の家に泊まりに来ていた。親代わりのじいちゃんばあちゃんはおらず、家には二人きりだった。
部屋に通されるとテーブルの上に上品な未開封の木箱が置かれていた。
「………なぁ、木吉…なんだこれ」
「ん?…あぁ、それか。朝起きたら枕元に置いてあったんだ」
「…なんでだよ」
「正夢…だと思う」
「は?」
「今朝な、不思議な夢を見たんだ。ドラ○もんと友達になる夢でな、家で花札して遊んでたら時間だからそろそろ帰ると言うんだ。
そうかそれは残念だなって俺が言ったらその木箱をくれたんだ。
中身は開けてからのお楽しみだそうだぞ?」
「……………………………………あ?
ド○えもんの夢って……………の○太くんか何かかお前は」
「いや、そういう訳ではないんだがな」
「知ってるよ……………つか、開けんの?」
「あぁ、気になるしな」
木箱に結ばれた紐をほどき、蓋を開けると中には紙とペンと説明書が入っていた。
「紙と…ペンだな」
「ごく普通のな。………『紙に付属のペンで願い事を書くと願いが叶います』だとよ、木吉」
「なんか七夕みたいだな」
「フッ…だな」
短冊形の紙が2枚とペンが1本…これで笹があれば完璧だな、と笑う。
しかし、夢で渡された箱があるのだから何かしら起こるだろうと、多少疑問に思いながら木吉は紙を手に取る。
「…よし……書いてみるか!」
「あぁ?マジかよ」
「だって気になるだろ?」
「……………まぁ、確かに……」
好奇心には勝てず、日向も紙とペンを手に取り願い事を書こうとした………が、木吉に見られるのが嫌なので離れた場所で書く。
「日向ー?なんでそんなに離れたとこで書くんだ?」
「テメェに見られたくねーからだろうが、ダァホ!」
「そんなに恥ずかしい事を書いたのか?」
「んなわけあるか!コガじゃあるまいし…」
馬鹿言ってねーでお前も書けよ、とペンを木吉に放った。
サンキュー、とうまい事キャッチして紙とにらめっこをし始めた。
……………………………………………………。
木吉が紙とにらめっこをし始めてから30分が経過した。日向はその光景を見ながらせんべいを頬張る。
「……………悩みすぎじゃね?」
「あぁ、分かってはいるんだが………なかなか決まらなくてなぁ。
紙に書けるのは一つだけだから」
「ふーん……。いくつ願い事あんだよ」
「2つだ」
「あっそ。早く決めちまえよ、腹減ったし」
「ん?腹減ったか。もう昼だし、なんか作るか」
「願い事はどーすんだよ」
「作りながら考えるよ」
「焦がすなよ」
「分かってる」
頭では分かっているが、大事な昼飯を焦がすのをやりかねないので、焦がす可能性の低いうどんをチョイス。
プラス昨日の残りのカレーを足してカレーうどんにする。
木吉はうどんをすすりながら願い事を考える。
木吉の願い事は日向の事だった。日向のいる生活が当たり前になった今、それ以外が思いつかない。
「…………………………よし決めた」
「お、悩み始めてから1時間経過してやっと決まったか」
「あぁ、食ったら書くよ」
「何書くんだよ」
「内緒だ」
「は?なんだよ教えろよ」
「日向が教えてくれたら良いぞ」
「ぜっってぇやだ!!」
「ふっ、だろうな」
食器を片すと、日向の元に戻り後ろから抱き締める。
自分より少し小さな愛しい彼を。
「……なんだよ」
「んー?日向が好きだなぁと思ってな」
「…そうかよ」
頬にキスをされてテレる日向。
普段は人前でもしようとするので気配を感じたら威嚇をするかすぐ離れるが、幸い今は二人きりなのでそんな事はしない。
たまには甘えてやろうと思い寄りかかり、自分より大きくて安心する体にすり寄る。
木吉も茶化したりはせずにそっと抱き締めた。
誠凛バスケ部の主将である日向は人より何倍も精神的に疲れているに違いない。
だから、何も気にせず甘えて欲しがった。
(紙に書いた願いが『日向に甘えてほしい』って知ったら、顔を真っ赤にしておこるだろうな……)
「………日向、眠いか?」
「………ん……」
腕の中でやけに大人しいと思ったら日向は舟を漕ぎ始めていた。
曲がるといけないので眼鏡を外してやる。
視力が悪くなった日向は木吉の顔を認識しようと顔を近づける。
眠気眼の恋人があまりにも可愛いのでそっとキスをした。
「ん…」
「布団で寝ような」
「…………………っこ」
「?」
「抱っこ………」
今すぐ抱きたいと思った。しかし、後が怖いので理性を総動員させて抑え、お姫様抱っこで寝室に連れていく。
「…………………?…………??」
歩いている最中、左足の膝が痛くなかった。普段なら少し痛みがあるのだが、それが一切無い。
(…………………!…もしかして……………)
日向を寝かせ、寝付くまでそばにいてやる。安心しきった顔でスヤスヤ眠ったら音を立てずに部屋を出る。
日向が願い事を書いた紙を見ると『木吉の膝が治りますように』と書いてあった。
それを見た瞬間涙が溢れた。
自分の事ではなく、わざわざ自分の事を書いていてくれたなんて。
照れ臭かったから離れた場所で書いていたのか……。
日向らしいな……、とさらに愛しく思った。部屋に戻り恋人を抱き締める。
「ありがとう、日向…」
「…………………………ん…………き…よし……」
「…?………なんだ寝言か」
木吉はまた一つキスをし、そして自分も眠りに着いた。
― ― ―
「………………………し、………よしっ。……起きろやダァホ!!」
「いだっ!!」
「いつまで寝てんだ、バカ」
「……?……今何時だ?」
「夜の7時だ」
「おぉ、そうか……」
もうそんなに寝たのかー、と言いながら木吉は体を起こす。
日向はそれを見届けて居間に行くと、テーブルの上に置いてあった木箱が無くなっていた。
「……あ?」
「どうした、日向?」
「木箱がねぇんだよ」
「え?」
「捨ててねぇよな?」
「あぁ、そのままにしたぞ?」
「…………………………夢か……」
「…………日向」
「あ?」
ちゅっ…
「…………に、すんだよ…」
「俺はずっと日向のそばにいるからな」
「…っ」
「大丈夫だ」
「………ダァホ」
夢だったのは残念だったが、それでも良いと思ったのは日向がそばにいたからだ。
足の事は少し残念だが、そう遠くない未来だと信じている。
『こいつとなら大丈夫だ』
と互いに信頼しているし、どんな困難も乗り越えて行けると確信しているから。
-終-
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