STONE WORLD
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
石化を解く復活の水を作った私達は
さっそく石化を解くべく杠ちゃんの所へ向かった
杠ちゃんに復活の水をかけようとしたとき
大樹くんは千空に目潰しをして止めた
「待て!千空!!杠ははだかだ!!
だめだこのまま復活させてはー!!」
「まっった非合理的なバカ言い出しやがった
どーでもいいじゃねえかこの非常時のストーンワールドでよ!!」
「どうでもよくなどない!」
『確かに男の子二人に見守られながらは恥ずかしいかも』
「翼の時も同じようなもんだっただろ」
『選べる状況じゃなかったし、お互い様だったし
あれも今思えば随分恥ずかしいよ…/////』
「は…(そういや裸で抱きしめたりしたな/////)」
そうこうしている間に大樹くんは杠ちゃんを抱え
服を着せるためにキャンプに連れて帰ろうとした
その時
私達の前に現れたのはライオンの群れだった
なんとか逃げる私達と
警戒しながらも追ってくるライオンたち
諦めそうになる中で大樹くんは杠ちゃんを千空に託し
立ち止まってライオンに向き合った
「科学知識をもった人類最後の砦
千空だけは死なすわけにいかん!
いざとなればこの俺が!盾となって…」
「ダメだ!」『ダメだよ!』
「テメーのカードは体力だ、武力じゃねえ」
『小学生の時から大樹くんは殴られても殴り返すことはしなかったじゃない!』
「合理的に考えろ
俺は頭を使う テメーは体力を使う
片方が欠けるわけにいかねぇだろうが
合理的に…考えろ
逃げる時は必ず!俺ら三人同時にだ!!」
「ああ!分かった!!」
考え直してくれた大樹くんは逃げながら
一か八かの案を出した
大樹くんの案内で着いた先には一人の石化した男の子がいた
「最初の日に見つけたんだ
"霊長類最強の高校生"獅子王司ー!!」
この人に賭けて復活の水を使った
だけどすぐにライオンに囲まれた
絶体絶命の最中
獅子王くんの石片が剥がれ落ちた
「すまん!
数千年ぶりに起こしておいて何が何やら分からんまま…」
「現況は?」
「体表全体に鉱石片 9時から2時方向にライオン群」
「OK」
獅子王くんは素早く状況を把握し
次々にライオンを突いた
ライオンに素手で立ち向かえるなんて!
邪魔にならないように後ずさりしようとしたとき
木の根にひっかかり体勢を崩してしまった
「翼!!」
左側からライオンの影が見えた
逃げ切れない…
そんな私の目に写ったのは
千空の声に反応して私の方を見た獅子王くんと
その死角から迫っていたライオンだった
目があった時、私はすでに言葉を発していた
『右斜め後方!』
「!!」
そこからの展開は一瞬だった
右斜め後方から来るライオンを確認した獅子王くんは
左腕を伸ばして私の腕を掴み自身の胸板に押し付けた
後方から迫っていたライオンをかわして掴み
私の方にいたライオンへと投げつけた
最後に向かってきた雄のライオンを殴り飛ばし
他のライオンたちは逃げていった
「詳しい説明は うん ゆっくり聞くよ
ただ一つ約束する!君らにはもう二度と
危険って奴は訪れない
これからはこの俺が戦うからだ」
「お…おおおお!!すごいぞ千空ー!
これで人類は知力!体力!武力!の3銃士がそろったってことだー!!」
大樹くんの声を聞きながら
自分の足の力が抜けていくのを感じた
「大丈夫かい?翼、と言ったか」
私を抱き締めたままだった獅子王くんは
しゃがみこみそうになった私をいとも簡単に
再び抱き寄せた
おかげで地面と仲良しにならずに済んだ
『あの、助けて頂いて本当にありがとうございました
今更腰が抜けちゃった』
「自分の危機が分かっていながらどうして俺への注意を優先させたんだい?」
『どうしてですかね、とっさのことで覚えてないです』
「…おかげで助かったよ」
『助かったのは全面的にこっちの台詞ですよ
獅子王くんは強いですね』
「司で構わないよ、敬語もいらない
歩けるようになるまで少し休むといい」
『ありがとう司くん……わ!』
軽々と横抱きにされ近くの木の根もとに優しくおろされた
それから司くんはライオンの側へしゃがみこんだ
「肉をさばく道具を借りてもいいかい?
ナイフーーいや、無ければ石器でもいい
身を護るためとはいえ俺がこの手で殺めたんだ
うん…全て糧にすることで自然の輪廻に感謝したい
それだけだよ」
「うおおお立派だー!!」
千空から石器を借りた司くんはライオンを捌き
余すことなく皮は衣服に仕立てあげた
キャンプに戻る道すがらこれまでの経緯をざっくりと話した
司くんは千空までとはいかないにしても
頭がよくて回転が早いため現状をすんなり理解していた
ツリーハウスに着くと司くんは感嘆の声をあげた
「素晴らしい…何もないところからよくこれだけの生活基盤を作ることができたね」
『まぁ1年くらいたったし随分暮らしやすくなったかも
これから人数が増えるならツリーハウスもいいけど
洞窟とかあれば生活しやすいかもね』
「この器も素晴らしい…まるで芸術品のようだね」
『本当?嬉しい!自信作なの!』
司くんはしゃがみこみ、器や食具等を手に取った
「これは君が作ったのかい?」
『うん、物を作ることが好きなの
あ、こっちに来て!』
私の作業スペースへ司くんを連れていき
置き物や小物を見せた
千空は興味示さないし大樹くんはなんでもすげーで片付けちゃうから司くんの反応が新鮮だ
「この原始の世界で…壮観だね」
『完全に私の趣味なんだけどね…
物を作ることが好きなの
石化している間に文明はなくなってしまったけど
残しておきたい美しい物があったこと
後世にも伝えられたらって…
もちろんストーンワールドの豊かな自然はもっと大切にしたいけどね』
「それは、うん…素敵なことだね」
『ありがとう』
「!」
『どうしたの?』
司くんが手に取って見ていたのはネックレス
この辺りじゃあまり見ない流されてきたのだろう夜光貝を使っていて
せっかくだから暇さえあれば磨いてピカピカにして紐を通したシンプルなもの
『気に入ったならもらってくれる?』
「いいのかい?」
『さっき助けてもらったお礼にすらならないけど…』
「うん、じゃぁありがたく頂くよ
つけてくれるかな」
『ちょっとしゃがんでくれる?長さ合わせるね』
私より髪の長い司くんの首にネックレスを回し
後ろで束ねた
『長さはこれくらいでいい?』
「もう少し短くていいよ…そのくらいで」
司くんの髪に隠れて見えないけどなんとか紐をくくっていると
至近距離で司くんと目があった
男の人にしておくにはもったいない端正な顔立ち
睫毛も長いなーなんて思いながら
くくり終えたので首に回していた手を離し
距離を取ろうとすると、引っ張られ
それを止めることもできず司くんに抱きつく形になった
がたいの良い司くんはびくともしない
まぁぶつかったのは彼が引っ張ったせいなんだけど…
動くこともできず途方にくれていたけど
確か自分も石化が解けた直後は不安だったと思い
動く範囲で腕を背中に回し
幼子をなだめるようにぽんぽんとたたいた
しばらくすると司くんの腕の力が緩んだ
離れる瞬間耳元で心地の良い落ち着いた声が聞こえた
「大切にするよ」
ビクッ!!
私は何より耳元がとても弱かった
焦って耳を押さえる私を見て
「どうやら弱点をみつけたようだね」
と余裕顔な彼は満足気に笑っていた
_
3/3ページ