暗黒武術会編
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試合終了後、翼に部屋まで送ってもらいそのまま治療を再開してもらった
『痛みは?』
「大丈夫だよ、一気に枯らしてもらってもよかったくらい」
『それは負担がかかることくらい植物に詳しくなくても分かるよ』
「ははは…」
試合中にも処置をしてくれていたお陰でだいぶシマネキ草を枯らすことができている
翼は手際よく並行して傷口を塞いでいく
『どうしてみんな無理するの?』
「え?」
『みんな体がボロボロ』
「どうしてかな…
負けたくない気持ちと
負けられない気持ちがあるのかも」
『負けられない?』
「えぇ、負ければオレたちに待っているのは死だ
オレたちはもちろん、君や選手じゃないみんなも危険にさらされる
それに遺してはいけない人がいるから、かな」
『遺していけない?』
「オレは昔、魔界で名の知れた妖狐で盗賊だったんだ
15年前霊界からの追っ手との交戦で重傷を負い
霊体になって人間界の胎児に憑依し"南野秀一"という人間として生きてきた」
『人間として…』
「妖力が回復したら姿を消そうと思っていたんだけど
母さんが病気になってね
助けるために霊界の秘宝を奪って
その時に霊界探偵の幽助と出会ったんだ
幽助のおかげで母さんは今でも元気にしている
あの人を遺してオレは死ねない」
『そう…』
「翼にはおばあさんがいるんでしたっけ?」
『ばぁちゃん…幻海師範は命の恩人…
数年前ある場所から逃げ出し倒れていたのが
ばぁちゃんの山の中だった
手当てして霊気と妖気の扱い方を教えてくれた
ばぁちゃんがいなければきっとそのまま死んでいたか
追っ手に捕まっていた』
「追っ手?一体誰に負われて…」
『分からない…何も言わずに閉じ込められてたから
でももう、捕まらないよ』
「もしまたその追っ手が来たときはオレも加勢するよ」
『…ありがとう』
ここまで長く話したのは始めてだった
かつての自分に似た銀糸の髪に整った顔
崩されない無表情
幽助曰く感情の表現が下手らしい
"ある場所から逃げた"と言っていた
その時に感情を失う程の何かがあったのかもしれない
彼女は幽助と話すとき、表情は変わらないが
雰囲気は柔らかくなる…気を許してるのだろう
違った表情を引き出してみたいな、オレが
あらかた傷口とシマネキ草の処置が終わり一息ついている翼
さっきから感じていただろうオレの視線の方に目を向けた
『…?』
「飛影との手合わせは楽しかったですか?」
『別に普通の手合わせだったけど』
「オレも手合わせ願いたいな」
『いいよ…』
「楽しみにしてるよ」ニコニコ
『…?』
何考えてるんだこいつって顔をしている
それはそれでいいけど、さらに表情を崩してみたいな
『最後に私の妖力を注ぎ込む
後はその妖力を使って自己治癒力を高めて』
「あぁ、分かった」
翼はオレがもたれているベッドの横に立ち
オレの胸に両手を当てて深く呼吸をした
その時イタズラ心が芽生えた
翼の腕を掴むと集中していた翼はオレの方を向いた
『どうし「オレも」
『?』
「オレも幽助みたいにしてほしいな」
『幽助みたいに?』
「そう、口移しで」
彼女はどんな表情をするだろう
困惑か嫌悪か、紅潮…だといいのに
『…』
「ダメ、ですか?」
『いや…
口からの方がより早く、多く送れると思う』
何かを考えている表情だったが…
オレが早く治りたくて言い出したと思ったのか快諾してくれた
いいのか…いや、翼はあまり深く考えていないのだろう
集中して自身の体内で妖力を高めている
翼の腕を引っ張り
「ここに座って」
オレの腹を指差すと一瞬目を見開いたがそれに従った
少し驚いた表情も悪くない
オレの上にまたがった翼はオレに負担がいかないよう少ししか体重をかけていない
オレの顔の両サイドに手をつき、ゆっくりと唇を重ねた
じわじわと体が熱くなり自分の体内で翼の妖力を感じる
それが自身の力になっていくのが分かった
少し回復してきたところで翼が体重移動する気配を感じた
離れそうになったのを見計らい翼の後頭部に手を回し再び翼の唇を引き寄せた
『んっ!』
触れるだけだった翼の唇に侵入し彼女の舌を探した
抵抗しようとする翼は両手でオレの胸を押そうとするが
少し回復したオレには気にならずもう片方の腕で翼の腰も引き寄せた
あまりにも夢中に堪能しすぎ翼の表情を見ることを忘れていた
満たされた気持ちで唇を離すと翼は全体重をオレに預け気を失っていた
どうやら唇を合わせている間は翼の意志に関係なく妖力をオレに譲渡し続けていたようだ
「ごめん、ムチャさせた」
起きたときの彼女の反応を楽しみに
体力回復のため翼とともに目をつぶった
▽
次の日の浦飯チームの試合はなし
変わりに次の対戦相手が決まる試合があるため会場へ向かった
するとそこには蔵馬と飛影がすでに来ていた
「おはようございます
昨日はありがとう、翼」
『体調はどう…?』
「お陰さまで随分良くなったよ」
『よかった』
蔵馬はいつも以上にニコニコしている…
それとは逆に飛影は機嫌が悪そうに見える
「(翼の態度は変わらず、か…
飛影はオレから微かに翼の妖力が感じられるのが気にくわないのかな…?)」
『飛影も治療…』
「いらん」
「飛影は雪菜ちゃんの方がいいんじゃないですか?」
「貴様、余計なことを言うな…」
飛影をからかって蔵馬は楽しそうにしている
このふたりは仲が良いな
『手当て、してもらわないの?』
「だまれ……貴様がしろっ」
「(勢いに任せて素直に言った…)」
『分かった、飛影は手でいい?』
「……(オレは?手で?)」
無言は肯定ということだろうから飛影の右手を取り
裏御伽チームと獄界六凶チームの対戦を見ながら治療をすることにした
でもこれは簡単に治るものではないみたい
とりあえず妖気を送り込んでいるうちにあっという間に決着がついた
その頃には幽助と桑原と覆面も会場にやって来た
「どーでもいいが頭の上のふざけたものはなんだ?」
「説明したくもねー
ところで蔵馬ケガはいいのか?」
「大丈夫だ、翼に治療してもらったしね
明日中には治る」
「ボコボコのツラでやせ我慢はよすんだな」
「ガマン強さは貴方といい勝負でしょ」
「…」
『私の治療は妖力を高めることがメインだから完治は難しいしね』
「そーだ!!蔵馬よ、雪菜さんの治療をうけろよ
彼女の治癒能力とお前の薬草と翼の力をあわせりゃ鬼に金棒だぜ」
「…」ぴく
「実は彼女、兄貴を探しにきたそうでよー
この大会が終わったらオレも探すの協力すんだ!!」
「ほぉぉおそれは大変だ飛影!!
オレ達も手伝おうじゃないか!ね!!」
雑談していると観客達が騒ぎ始め
会場の反対側には戸愚呂チームがいた
戸愚呂達の妖気に圧倒されている桑原をよそに
幽助はどっしりかまえていた
裏御伽チームにも挨拶をしたところで
覆面に幽助と私は呼ばれた
▽
誰もいない森の中
覆面をとったばぁちゃん
岩に霊丸を撃ち合うも幽助とばぁちゃんの差は歴然だった
「さてらこれからお前に試練を与える
あたしからの最後の試練だ」
ばぁちゃんは幽助に、自分を殺す覚悟ができたら洞窟に来いと言い残した
洞窟の入り口まで着いていくとばぁちゃんが話し始めた
昔、戸愚呂とともに切磋琢磨していた
ある時、仲間と弟子を妖怪に殺された
暗黒武術会でその敵を倒し戸愚呂は妖怪になった
流れのまま生き、死ぬ
次の世代に望みを託せればそれでいい
「お前に霊光波動拳を継承しなくて良かった思っている
そんなものに囚われずお前の強さで自由に生きていけば私は何も言うことはない
仲間が出来て広がった世界をさらに広げな」
『ばぁちゃん…』
「お前にはここで幽助を見届けてやってほしい
継承は過酷なものになる
ヘタをすれば肉体の再起不能、精神の崩壊
最悪の場合、死さえあり得る」
『死…』
「お前の判断に任せる、頼んだよ」
『分かった』
ばぁちゃんが洞窟の中に入りしばらくすると
思い詰めた表情の幽助が後を追って入っていった
その後、中から膨大なエネルギーを感じる
おそらくそのエネルギーは幽助にうつされたのだろう
幽助の悲痛な声と痛みを払うような破壊音が聞こえてきた
それからばぁちゃんの姿が見えた
その弱々しい霊気に背筋が冷えた
『ばぁちゃん…』
「私は会場へ行く、頼んだよ翼…」
『う、ん…』
今の状態で会場へ見送るのか
いや、ひき止めるのはばぁちゃんに対する侮辱だ
ばぁちゃんは強い
▽
洞窟から声も音もしなくなった頃
幽助の霊界獣が飛んできた
幽助の分身らしくそれは随分弱っている
おまえもこんな所でくじけるな
霊界獣に霊気をこめると少し力を取り戻し、洞窟の中へ飛び立った
しばらくすると幽助が霊界獣を連れて出てきた
「翼…
手当てしてやってくれ…こいつを…」
『幽助…』
霊界獣を私に預けると幽助は深い眠りについた
▽
霊力は十分あるため幽助の傷口を塞いでいると
賑やかな声が聞こえた
「浦飯と翼!!」
『桑原…』
「ぐわっ血と泥だらけじゃねーか」
『霊光波動拳の継承をしていた』
「あ、あの…幽助は…」
『心配要らない、眠ってるだけ』
「そうですか…ありがとうございます!」
「どーせすぐそこだ、連れてってやっか」
桑原が幽助を担ぎ会場へ向かうと
会場から妖怪が出てきていた
「全くとんでもねェな 死々若丸のヤロォ」
「観客にまでとばっちりがくるようなひでェ技出しやがって」
「しかしあの技ならいかな幻海でも死ぬぜ」
!!
今戦っているのは、ばぁちゃん
急いで会場に入ると、ばぁちゃんと敵が禍禍しい囲いの中にいた
なんだ、この程度か
力で劣っていたとしてもばぁちゃんなら大丈夫だ
ばぁちゃんは霊光鏡反衝で敵を吹き飛ばした
ばぁちゃんの所へ行くと私を見つめて眉をひそめた
『越えたよ』
「そうかい…これからが本当の試練だな」
ばぁちゃんは幽助の無事を知り安堵の表情を見せた
そうこうしているうちに桑原が黒い球体に飲み込まれて消えた
どうやら先程も飛ばされたらしい
そして次の対戦はばぁちゃんと怨爺
老人化けていたその正体は美しい魔闘家鈴木というらしい
なんかハッピーなやつ…
結局はばぁちゃんにこてんぱんにやられた
こうして浦飯チームは決勝戦へと駒を進めた
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