暗黒武術会編
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ばぁちゃんとテレビを見ていると幽助がやって来た
いつになく真剣な顔だ
「珍しい客だね
何の用だい」
「強くなりてェ
2ヶ月でできる限りだ」
「…ふん
ちっとはマシなツラになってきたようじゃな
今度は容赦せんぞ」
雪菜救出の任務で桑原と幽助が倒した敵
実はやられた演技をしており
2か月後に行われる暗黒武術会に
幽助、桑原、蔵馬、飛影を大会のゲストとして呼んだ
そして、ばぁちゃんのところにも……
▽
2ヶ月後…
暗黒武術会への集合場所にはすでに桑原と蔵馬と飛影が到着していた
そこに合流したのは幽助と翼と覆面をした者の3人だった
「よー ワリィワリィ 待たせたな…」
「てめーおせーぞ浦飯!!」
「なにせ体中がガタガタでよォ」
「おいおいフラフラじゃねーか
大丈夫かよ」
「…幽助」
飛影は幽助に斬りかかった
それを幽助は見切ってなんなく避け
最後は刃を掴んでみせた
「……ふぅ…ずい分物騒なあいさつだな」
「…ッ、どこでなにをしてきたのかしらんが
少しはできるようになったな」
「少しだとォ…ちくしょォ
ぶっちぎりで強くなっちまってるじゃねーかよ」
「…大丈夫
今の動きが見えてるなら君も充分成長している」
『桑原も強くなってる…』
「翼、久しぶりだね」
「元気にしてたか!?浦飯のヤロォやっぱお前んとこで修行してたんだな」
『うん、2ヶ月みっちり』
「ところで…もしかして翼が5人目のメンバーなのか…?」
『…私じゃない』
「なんだよ、翼が出れば百人力だってのに」
『あまり妖怪に名前や顔がばれない方ががいいって…』
「それで以前も今も顔を隠しているのか」
そこに幽助と剣をしまった飛影が近付いた
「そいつじゃないならまさかあそこのチビが5人目のメンバーなのか」
「なにー?こいつ!?
あんまり小さいから気づかなかったぜ
大丈夫かよ、くしゃみでもしたらフランスまでふっ飛んでっちまうじゃねーか!?」
「安心しろ、最強の助っ人だぜ」
「う~む…今イチ納得できん
翼の方がいいんじゃねぇか?」
『大丈夫、私なんかより頼りになる』
「かまわん…オレと幽助だけでもいいくらいだ」
そして暗黒武術会の会場のある首縊島までの船が出航した
▽
船の隅に翼が腰をおろすと
隣に幽助がどかっと座り、一瞬で眠りに着いた
『(修行の疲れを癒そうとしている
これなら大会までに自然に回復できそう)』
「ちっそれにしても殺風景な船だぜ」
周囲では妖怪たちが騒ぎ立てたり幽助たちの様子を伺ったりしている
特に人間である幽助たちは好奇の目に晒されていた
妖怪たちが騒ぎ出す前に船長が予選会をすることを告げた
船が変形し闘技場が出現した
チームの中で最強の1名をそれぞれ出して闘技場で戦い
残ったチームが本戦に出場する権利を与えられる
周りの妖怪たちは殺気がみなぎっていた
「バトルロワイヤルかァ!?
集中的にねらわれたらどんなに強くてもイチコロじゃねーか
よーし浦飯、まかせた
特訓の成果を見せてやれ」
桑原が振り向いた先にいた幽助はすでに眠っていた
「う…浦飯!!」
「くかー」
「おい、なに寝てやがるんだオメーは
大将がそんなのん気でどーする…
起きろ!出番だってーの」
『幽助は1度眠るとちょっとやそっとじゃ起きない…』
「…よほどすさまじい特訓をしたんだろう
体力と霊力を回復するためにひどく深い眠りに入っている」
「なにィー!?
じゃ一体だれが行くんだ!?」
「……」
何も告げることなく覆面が闘技場へと足を進めた
大きな妖怪たちがうじゃうじゃいる中
小柄な覆面が闘技場にのぼるとさらに小さく見えた
「…おもしろい、奴がいく気だぞ
どれほどの実力があるか見物させてもらおう」
「あいつが負けちまったらどうするんだよ
オレ達出番なしでとんぼ帰りかよ」
「そのときはオレ達でこの船のやつら皆殺しにすればいいだけの話だ
そうすればだれも文句をいう奴がいなくなるだろ?」
『心配ない…が考えることは皆同じだろう…』
「な…?」
予選会が始まると妖怪たちはすぐさま覆面に集中した
覆面は一瞬で全ての妖怪を吹き飛ばした
「決勝トーナメント16チーム目はァ
ウラメシチームに決定!!」
「あ…あれは浦飯のショットガン
あ…あいつは一体…?」
「幽助が何の心配もなくぐっすり眠れる理由がわかるね」
「すげーじゃねーかよ圧倒的に強いぜ!!
おめーは一体だれなんだ!?」
覆面は桑原に返事することなく上を指差した
ルールを無視し乱闘騒ぎを起こす妖怪たちが飛びかかってきた
「予想通りの行動だ
準備運動にもならんがジッとしてるよりはマシか」
「同感…」
飛影、蔵馬、桑原、覆面は次々と妖怪たちを返り討ちにしていった
次に妖怪たちは眠っている幽助に狙いを定めた
「寝込みを襲えるなんてオレ達ラッキィィ」
「隣にいるのは弱そうな女だ
後でゆっくり楽しんでやるぜ」
「死にくされウラメシィィー!!」
妖怪たちが幽助に襲いかかろうとしたとき
隣にいた翼が殺気を込めた
ビクッ!!
「な…なんだてめぇ…」
『近付くな』
殺気に怯んだ妖怪たちに翼は座ったままショットガンをくり出して吹き飛ばした
「ちっ…相変わらずふざけたヤローだ」
『別にふざけてない』
「言っておくがまだ勝負はついてないからな」
『お好きに…』
「おや、いつの間に仲良くなったんです?」
『こないだ約束したから手合わせはしたけど…
仲良いの?』
「オレに聞くな!」
「約束、ね…」
会話しながら気付けば敵は全て倒しきり
後は首縊島到着を待つばかりとなった
▽
暗黒武術会の会場である首縊島へ到着すると
豪勢なホテルへと案内された
眠ったままの幽助をベッドへ寝かせ
くつろいでいる所にルームサービスのコーヒーが運ばれてきた
「…待てよ
まさかこん中に毒がもってあるんじゃ」
「そんなセコイ大会じゃないよ
目的はあくまで純粋な闘いさ」
「開催者の意図は実力の戦闘でオレ達を八つ裂きにすることだ…」
「ま!用心にこしたことはねー
オレは持参した飲み物をいただく」
「…!?
おかしいぞ…カップがひとつ足りない」
「ん?いや、ちゃんと6つあったぜ
で、オレが飲まずにおいてるから計算は…」
「だから不自然なんだ
幽助はまだ寝てるんだよ
彼の分がいつの間にかない!」
異変に気付き緊張感が溢れだす
気付けば棚の上にコーヒーカップを持った子どもが座っていた
「なにー!!いつのまに部屋の中に!!」
「はじめっから部屋にかくれていやがったにちがいねェ」
「…仮にそうだとしてもオレ達に気づかれずに
コーヒーをもっていたことは事実だ…」
「かくれてたなんてひとぎき悪いなァ
オイラちゃんとドアから入ったぜ!
おっとノックは忘れたかな
あ、でも…そこのキレーなねーちゃんは気づいてたみたいだけどね」
「なにィ!?
なんで言わねーんだよ翼!」
『…殺気がなかったし
大会の説明でもしに来たのかと…』
「大会の運営の人は勝手にコーヒーを飲まないだろう…」
『そうか…』
「自己紹介が遅れたね、オイラ鈴駒
明日の一回戦でキミ達と戦う六遊怪チームの特攻隊長さ」
「ロク…六ユーカイ!?
チームは5人で1組じゃねーのか!?」
「なんだ知らないのかい
ルールでは仲間が戦いで死んだ場合ひとりだけ補充できるんだよ
オイラ達はジャンケンで補欠を決めちゃったけどね
どーせみんな強いから
前大会の優勝チームの大将がゲストに推薦したらしいから期待してたのにガッカリだなァ
もしも明日の対戦方式が勝ち抜き戦なら
オイラひとりで勝っちゃうぜ」
「しゃべりすぎだ…鈴駒」
鈴駒の話に口出ししたのは
鈴駒と逆側の壁にもたれかかっていた金髪の男
「部屋の逆スミにもうひとり…!!いなかった!!
今度はまちがいなくいなかったぜ!!」
「あははは、おっとゴメンよ是流!
また調子にのる悪いくせが出ちゃった」
「せいぜい最後の夜を楽しむことだ
明日お前達はそのカップと同じ運命なのだからな」
テーブルの上にあったカップは
綺麗に真っ二つに割られていた
桑原達が息を飲む中
能天気な声が静寂を切り裂いた
『キミ、忘れ物…』
部屋にいた全員が声のする方へ向くと
そこには鈴駒の帽子を被った翼がいた
「えっ!?それ、オイラの…いつの間に…」
翼はそのまま鈴駒の前まで歩いていき
鈴駒の頭に帽子をのせた
『私には似合わない』
「お前、名前は?」
『翼…』
「明日の試合に出るのか」
『私はメンバーじゃない』
「ほう…」
是流は翼の前に立ち
そっとあごをすくいとった
「見目もいいし腕も悪くなさそうだ
明日の試合に勝ってお前を頂く」
「なっなんだと!?」
しばらく是流の顔を見ていた翼だったが
手の甲で是流の手を軽く払った
『浦飯チームは負けない…おやすみなさい』
「是流ふられちゃったじゃん」
「明日皆殺しにして奪うまでだ」
鈴駒と是流が部屋から出ていくと
はりつめていた雰囲気は収まるかと思いきや
殺気にみなぎっていた
「(翼ちゃんのためにも震えてる場合じゃねぇ!)」
「(あんなやつに翼は渡せない)」
「(あのふざけたヤローはオレが倒す)」
そんなことには気にも止めず
翼は残ったコーヒーを飲んでいた
_