魔界編
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幽助と仙水は目にも止まらぬ攻防を繰り広げた
幽助の放った霊丸ははずれたが気綱闘衣を貫いた
攻撃主体に切り換えた仙水の一撃は斬首台の丘をいとも簡単に砕いた
S級の二人の戦いに周りが圧倒されている最中
幽助に変化が起こった
髪は伸び身体には魔族の紋章が浮かび完全に覚醒した
仙水を圧倒した幽助は特大の妖丸を放った
「仙水よけろォオオーーー!!!」
「!!?」
まともに攻撃をくらった仙水は彼方へ吹き飛んだ
なぜか悔しがる幽助と一行はそれを追いかけた
「仙水起きろ、目ェ覚ませコラァ!!
今のなしだもっぺんやり直すぞ、起きろ」
幽助は仙水を倒したのは自分ではないかと
治療をするよう蔵馬に懇願するが
それを制したのは亜空間から出てきた樹だった
「そのまま死なせてやれ」
「ふざけんなてめェ…すっこんでやがれ
なんとしてもリターンマッチだ
このままじゃ納得いかねェ!!」
「どうせあと半月足らずの命なんだ」
「何…仙水があと半月の命!?」
「忍の体内は悪性の病巣でボロボロなんだ
ドクター神谷のお墨付きだよ
普通の人間ならとっくに墓の中だそうだ」
「本当か」
「負けた言い訳にはしないよ
最後の力、あれは数段君が上だった」
「違う!あれはオレの力じゃねェ
オレはあのとき意識がなかったんだ」
「使いこなせなかった力を無意識の中で
マスターして戦ったってことだろう
明らかに君が放った力だ」
「ダメだ!!オレはそんでも納得できねー!!
半月あれば十分だ!!
痛み止め打ってでもオレと戦え!!」
コエンマにどうにかするように言うものの
仙水の思惑通り霊力を使わされており、なす術がなかった
最後に魔界にこだわる理由を仙水は話し始めた
「魔界へ来てみたかったんだ
本当にそれだけだったんだよ
本当の目的は魔界で死ぬこと
浦飯…」
「!」
「戦ってるときの君は…すごく楽しそうだ
オレもほんの一瞬だが初めて楽しく戦えた
ありがとう
次こそ魔族に生まれますように…」
そういって仙水は息を引き取った
樹は仙水を担いだ
「もう十分だろう
いい加減忍を休ませてやれ
「死んでも霊界には行きたくない」忍の遺言だ
お前らの物差しで忍を裁かせはしない
忍の魂は渡さないこれからは二人で静かに時を過ごす
オレ達はもう飽きたんだ
お前らはまた別の敵を見つけ闘い続けるがいい」
樹と仙水は亜空間へ消えていった
▽
「…くそ、何だか勝ち逃げされたみてーな気分だぜ」
「結果そうだな
最終的に奴は目的を遂げたんだ」
「おいそれよりも浦飯よ
オメー体は何ともねーのか?」
「あ?別に…ちっと頭が重いような…
んっあ!!
なんだこの頭は!?このモヨウは…
くわ~何だかしんねーが
本格的に魔族の仲間入りしちまったみてーだな」
「お前の先祖はS級妖怪のようだ
先祖といってもまだ魔界のどこかで生きているだろうがな」
「…そうか!!
きっとそいつが戦いの最中オレの意識を奪いやがったんだ」
「何のことだ?」
「いや実はよ」
「妙な声?」
「頭ん中でそいつがしゃべったかと思ったら気ィ失って
気付いたときにゃ霊丸ぶっ放してたんだよ
打った瞬間にわかったぜ
とてつもねぇケタはずれのパワーだった
とても今のオレにゃ出せねぇ他の奴の力だってな」
幽助を操ったのは魔界のどこかにいる
S級以上の妖怪
「よし!!
オレはオレを操った奴を探しに行く!!」
「な、何を言ってんだオメーはよ
もうここらで一件落着にしよーぜ」
「このままじゃオレの気がすまねーんだよ
真剣勝負に横ヤリ入れやがったんだぜ
タダじゃおけねーな」
「幽助」
「?」
「時間がそんなにあるわけじゃないが
よく考えて決めるんだ」
「人間界では特防隊が全員で穴をふさぎにかかっているだろう
多分2日くらいで終わる
それがふさがれば二度と人間界には戻れん
人間界に戻るか魔界に戻るか2つに1つ
どっちを選んでもきっと何かと戦い続ける生活になる
…お前に40時間やる、それで決めるんだ」
「そんなに時間いらねーよ」
「!?」
「んなこと考えるまでもねーじゃねーか
帰ろうぜ、人間界に」
▽
人間界に帰ってくると
セイレーンの姿の私を見てもばぁちゃんは変わらず
「力が戻ったようだね
さっさと帰って飯にするよ」
と言ってなぜかコエンマを殴り、先に帰っていった
殴られた頬をさすりながらコエンマが私のもとへ近付いた
「翼話がある…」
その声に、顔に、怯んで1歩下がった私の前に
蔵馬が立ちはだかった
顔は見えないけれど殺気を感じる…
「蔵馬…そこをどいてくれ」
「嫌だと、言ったら?」
「頼む…」
「…」
「翼、話がしたい…」
『………分かった』
「翼!?」
『大丈夫、蔵馬…ありがとう』
みんなの側から離れるコエンマについていき
距離をとりつつ改めて顔を見合わせた
「翼…久しぶりじゃな」
『…』
「あの時のこと、母親のこと…
許してもらえるとは思っておらん
だがずっと謝りたかった
本当にすまん!!ワシを殴ってくれ…!」
『…あなたは嫌い、2度と会いたくなかった…
だけどばぁちゃんや幽助やみんなに会えたことは良かったと思ってる
ばぁちゃんを、幽助を生き返らしてくれてありがとう』
「翼…」
『あなたを殴ることはしない
怒ってはいないから
でも許すつもりはない』
「本当に、すまない…
こんなことを言う資格はワシにはない…だがっ…
順番を誤ったが…ワシは翼を、愛している」
コエンマが私に向かって伸ばしたその手は
触れることはなかった
『っ……さようなら』
「翼…」
コエンマに背を向けてその場を離れ
洞窟の前まで行くとみんな帰ったはずのその場所に
人間の姿に戻った蔵馬とまだ寝ている飛影が木にもたれかかっていた
「翼…」
『待っててくれたの?』
「さっきまで幽助の髪を切ってたんだ
あれじゃ目立ってしょうがないからね」
『蔵馬…』
「大丈夫…?」
『ありがとう…なんか安心、した……』
「翼?!」
焦ったような蔵馬の声と温もりを感じて意識を飛ばした
そして人間の姿に戻った私をぎゅっと抱き締めた蔵馬は
飛影に声をかけた
「起きているんだろ?
悪いが翼をうちまで届けてくれないか」
「貴様は…」
「野暮用があってね…」
「…殺すなよ」
「まさか……、あなたは」
「こいつの問題だ、口出しはせん」
「あなたらしい…」
姿を消した蔵馬に小さく悪態をつき
飛影は翼を抱え家へと向かった
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