魔界編
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仙水に捕らわれた翼は洞窟まで連れてこられ
霊力と妖力を奪われて
樹の操る裏男の中に閉じ込められていた
洞窟の中で待っていた天沼を倒し
幽助と蔵馬と飛影と御手洗は
洞窟の中の仙水の元へたどり着いた
境界トンネルが完成されるまであと30分
4人の前に立ちはだかったのは牧原
室田を喰い盗聴の能力を得ていた
その正体は戸愚呂兄
牧原に食べられたが逆に取り込み主導権を得ていた
対峙した蔵馬は邪念樹を戸愚呂兄に寄生させ
蔵馬と永遠に戦い続ける幻覚を見せた
戸愚呂兄との決着がついたところで
地面に顔が現れ幽助以外が飲み込まれた
▽
「こ、ここは一体どこなんだ」
「んがーーその前にこれ、解いてくれ!!」
「ここは亜空間だ
どうやらオレ達は裏男にくわれたらしい」
「裏男…次元の狭間で生きる平面妖怪か」
「偶然とは思えない
誰かに飼いならされているな」
「その通り、裏男はオレのペットだ」
「お前も妖怪か」
「"闇撫"の樹」
「なるほど」
「オレにやらせろ、気がおさまらねー」
「はやるな、お前達とやる気はない
二人の闘いを見守ってほしい」
「?」
「それに、こいつを返そう」
樹の背後からじわじわと手が現れ
その手に抱えられた翼も姿を現した
「翼!!」
「!!」
「翼!ここにいたのか!」
翼を抱えた手は仲間の元で止まり
翼の身体を置くと消えた
蔵馬は翼を抱き抱えた
「よかった…生きている、気を失ってるだけみたいだ」
「心配させんなよ…ったく…」
翼の白い腕にくっきり浮かぶ赤黒い縄の痕と
シャツの代わりに大きなTシャツを着せられていることに気付き蔵馬は樹を睨み付けた
「着れる状態ではなくなっていたのでな
それは忍のものだ…感謝しろよ」
「貴様っ…」
蔵馬は樹に向けて殺気を放ったが
飛影は蔵馬を手で制したことで冷静さを取り戻した
「…できるならこの場でお前を殺してやりたいよ」
「賢明な君ならそれができないこともわかっているだろう
オレを殺せば永遠に裏男の腹から出られない
我々はただ見守るだけ…」
▽
仙水と幽助の闘いは明らかな差があった
幽助は機転を利かせ殴り合いに持ち込むことで仙水を追い詰めた
すると仙水は"カズヤ"という人格に入れ替わった
仙水は多重人格で、7人の人格を創りあげていた
腕に仕込んだ銃が幽助を貫きとどめをさそうとしたとき
コエンマがそれを制した
仙水を止めようと説得をするも応じることはなかった
そして出てきたのが"忍"
聖光気という究極の闘気を操り幽助を圧倒した
コエンマの力を凝縮したおしゃぶりを奪った仙水に
コエンマは魔封環を放つが仙水を止めること叶わなかった
大地を揺する震動、大気を歪めるほどの力によって
翼が目覚めた
『うっ…』
「翼!大丈夫か!?」
『蔵馬?どうしてここに…この気は…』
「無茶をしては…」
『!…幽助!!一体何が…?』
「浦飯と仙水のヤローが闘ってるんだよ」
「貴様は寝ていろ…霊力も妖力も感じない貴様がいても邪魔なだけだ」
『っ…!』
圧倒的な力を持つ仙水の前に幽助は立ち向かったことで
桑原は安堵の声をあげた
「へっ見ろよあいつの自信を!!
浦飯はきっと考えがあるんだ!!
ただでくたばる奴じゃネェ!!」
「ま…まさか
桑原くん、君が戸愚呂の時にやったことを
それを今度は幽助が…」
「ま、まさか…浦飯ィィ!!
浦飯よせェ!!
コエンマとめろ!!とめやがれ」
飛影はマントを脱ぎ捨てて樹に話しかけた
「おいキサマ、今すぐオレ達をここから出せ
どうせ死ぬなら戦って死ぬ…あいつとな」
「飛影」
「四対一…幽助は怒るかもしれないが」
『五対一でしょ』
「翼…君は…」
『力がなくても戦いたい、幽助と、みんなと』
「そうだな…オレは五人のうち誰が欠けてもいやだ
そんなとこまできてしまったからな」
「蔵馬」
『もう見てるだけなんていやだ
この命がつきるまで一緒に、戦う』
「翼」
「幽助のそばにいかせてくれ」
参戦したとしても勝てる見込みはまずない
それでも幽助と共に戦う道を選んだが樹はそれを拒否した
「だめだね
君達五人が力を合わせても忍は倒せまい
…だが力を合わせて逃げることはできるかもしれない」
「てめェはどこまで…」
「オレは君達の力を過小評価はしない
飛影、蔵馬、翼…お前達はもともとA級クラスの妖怪だろう?
それぞれ事情で今は違うみたいだが
ここで逃がしたら君達は必ず前以上に強くなる
出そうなクイもうつ
君達には一人ずつ死んでもらう…」
「(…読んでやがった)
たいしたもんだよ、キサマもな…」
その時、
桑原が次元を切り裂く能力を発動した
「どこまで腐ってやがるんだァーーー!!」
桑原が次元を切ったことで裏男の中から出ることができた
一同が目にしたのは
心臓を貫かれた幽助の姿だった
『ゆ、』
今まで膨れ上がっていた霊力と妖力を奪われたことで
空っぽになっていた体に濃い魔界の瘴気を浴び
それを自身の妖力として勢いよく吸収した翼は
頭部から魚のヒレのような耳と背中には翼が生え一気に妖怪化した
蔵馬と飛影も妖力を解放し
飛影の黒龍波で顔を覗かせていた妖怪ごと
仙水を魔界の穴へと押し込んだ
人間界と魔界の狭間の亜空間に霊界がはった結界があり
仙水はすでにそこを通り抜けていた
飛影の黒龍波は結界にかき消され
蔵馬も結界に阻まれた
そして仙水を追いかけるため、
桑原は次元刀で結界を切り裂いた
▽
出てきた先は魔界の愚者の森
斬首台の丘での最後の戦いの幕が開いた
仙水は高めた気を物質化し気鋼闘衣を纏った
飛影は黒龍を飲みこみ仙水と殴りあう
蔵馬と桑原が加勢するも軽く吹き飛ばされた
「な…んて野郎だ」
「なまじハンパに強いと無惨だな
無意識でも防ごうとする
お前達…気の毒だが楽に死ねないよ」
にやりと笑う仙水に翼が蹴りかかった
それも想定内だと言わんばかりに仙水は腕で受け止めた
「翼、随分と姿が変わったな
これがセイレーンという種族か、美しい…」
『黙れ』
「面白い…妖怪化したことで好戦的になったか…
あるいは浦飯の死が原因か…」
『死ね』
至近距離で仙水に向かって口から衝撃波を放った
「ぐっ…」
脳に直接攻撃を行い動きの鈍ったところへ再び蹴りを入れた
翼は脚に妖気を集中させ切れ味の鋭いナイフのようにし
ガードした仙水の気綱闘衣を纏った腕をじわじわと切り進めていった
仙水は腕を振り払って距離をとった
「はっはっは…面白い!これこそオレが望んでいた戦いだ!!」
仙水と互角のスピードで動き
鎧をも切り裂く妖気の高さを見せる翼
「だが、妖力の扱いにまだ慣れきっていないようだな…
数ヶ月…いや、数日あればいい戦いができただろう」
動きを見切った仙水は翼を蹴り飛ばした
『くっ…!』
「翼!!」
「一時的に復活した妖力でよく戦ったものだ
オレと戦うには今は妖力不足だな」
翼のもとへ仙水は近付いた
その隙を狙って飛影が殴りかかるも逆に吹き飛ばされた
『飛影…っ』
「苦しめてすまなかったな」
その言葉は、その場にいた者の最期を表していた
『みんなを、死なせたくない』
翼は尽きかけていた妖力を、命を燃やして高めた
「やめるんだ!翼!」
その時、
魔界の穴からすさまじい妖力を感じた
『ゆ、すけ……?』
そこに降り立ったのは
青い霊界獣に乗った幽助とコエンマだった
「幽…助?」
「一体……」
「ワリィワリィ、遅れちまってよ!!
いや~間に合ってよかったぜ」
『幽助…』
「翼!?だいぶ感じ変わったな!驚いたぜー!」
『それ、こっちのセリフ…』
「お前らなんかかん違いしてただろ
オレがテメェ自身のケンカ人に任せて
尻まくると思ってたのかよ」
「オメェ…確かに心臓止まってたぞ
それに、オマ…それ!!妖気じゃねーか」
「そうらしいな
実は今もまだ心臓は止まってんだけどよ
オレの先祖ってゾンビかな」
「くくくははは」
「はっはっはっは」
「へへへ」
「心配ない、心臓の代わりに"核"が働いているはずだ」
「まさか魔族だったとはな
つくづくわけのわからんヤツだ」
「ホントだよな、あんま実感ねーけどよ
見たところあんま変わってねーし」
『ホントに殺しても死なないなんて…』
「ははっ…やっぱオレはすげーだろ!
…心配かけたな」
幽助は翼の頭に手を乗せ笑いかけると
つられるように翼も笑顔を見せた
『幽助なら、勝てるよ』
「まかしとけ!
仙水!!待たせたな
さあ続きやろうぜ」
「…」
「…」
幽助が仙水に向き直ったとき
飛影と蔵馬が立ち上がった
「ちょっと待て、気が変わった
奴と一対一でやりたくなった」
「いやオレがやる」
「おいおいオレが死んでる間に何があったんだ!?
まるで何年か特訓した後みてーだぜ」
「へへへへ
待て!!オレが先だ、今なら勝てそうな気がするぜ」
「錯覚だ、バカめ」
「な…なんだとコラァ」
「事実だ」
『ふふっ、あはは…』
声を出して笑う翼の姿にその場にいた誰もが驚いた
「オメーなんか変わったな」
『そう?』
「あぁ、雰囲気が柔らかくなった」
「無愛想なのは変わらんがな」
「オメーが言うなよ」
「翼、オメーは笑っとけ
その方がいいぜ」
『…』
幽助達が和やかな雰囲気になったのも束の間
仙水からの殺気を感じた
「オメーらの気持ちもわかるがよ
あいつらはオレが倒してーんだ
たのむ」
「すぐに追いついてやるぜ…
奴にもお前にもな」
_