暗黒武術会編
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幽助がリングに向かうと
戸愚呂チームの左京が出てきた
「第4試合を始める前にかけをしたい
私は戸愚呂が勝つ方にかける
かけるものは私の命だ」
「この試合を事実上の優勝決定戦にするわけか」
「その通り、この試合で勝った方に5試合目の分も含めて2勝を与える
それだけの価値がこの戸愚呂と浦飯幽助の戦いにはある
私は大将の位置にいるが観客を満足させるだけの武力を持ちあわせていない
そのかわりこの生命を戸愚呂の勝利にかけることをこの場で断言する
もちろんそちらの大将と大会本部がイエスといえばの話だが…」
リングにいる幽助と目があった
考える時間なんて要らない
『私の命を幽助にかける』
「翼…」
『幽助になら全部あげる』
「…必ず、勝つぜ」
大会本部も認め、この試合で勝ったチームの優勝となることになった
そして
最終試合が始まる直前
リングの下から戸愚呂兄が出てきた
それを戸愚呂が殴り飛ばした
戸愚呂は妖怪になりはしたがあくまで純粋に力を求めている
ばぁちゃんはそれが分かっていたから
きっと戸愚呂に目を覚まして欲しくて戦ったんだと感じた
▽
優勝決定戦 幽助vs戸愚呂
早速戸愚呂は80%の力を込めた
「ヤツが放出する攻撃的な妖気だけで弱い妖怪はやられちまうんだ」
「奴の妖気、このケガにはこたえる…
くそ…この場で見ていることさえできないのか」
『普段から力を溜めていたから
防御壁ならつくりだせるかも』
腕輪をかざすと壁を作り妖気を逃がすことができた
試合終了まで保ってくれることを願う
幽助と戸愚呂の闘いは互いの力を確かめるように余裕すら感じる
リングを破壊した戸愚呂にできた隙を狙って霊丸を放った
しかし戸愚呂にはかすり傷すらついていなかった
その様子を見て笑った幽助はパワーを抑えていた呪霊錠を外した
格段にスピードとパワーが上がったがただならぬ気配を感じ間合いを取った
姿を現した戸愚呂の体は細くなっていた
そこから力を込め、ついに100%になった
指で弾いた空気すら弾丸のように幽助に襲いかかった
全力で撃った霊丸すら気合いだけで吹き飛ばされてしまった
「今のおまえに足りないものがある、危機感だ
お前もしかしてまだ
自分が死なないと思ってるんじゃないかね?
お前には義務がある
今持てる力を最大限に使い尽くしオレと戦う義務がな」
戸愚呂は会場の者達の気を吸いとり幽助の身内を人質に取った
幽助のその憤怒の力でも敵わなかった
そんな闘いに横槍を入れたのは幽助の霊界獣だった
「盛り上がってるとこジャマするよ」
「そ…の声は…ばーさん?」
「幻海…」
『ばぁちゃん…?』
霊界獣に乗り移ったばぁちゃんは非情なことを話し始めた
「戸愚呂…幽助の本当の底力を見たいんだろ
てっとり早い方法を教えてやるよ
幽助の仲間を殺すことだな」
「ば、ばーさんいきなり何言い出すんだよ!?」
「今のこいつだけで真の力を引き出すことはできない
誰か一人くらい目の前で死ななきゃ目が覚めないのさ
どのみちこのままじゃ全員死んじまうんだ
一人が犠牲になることでお前の実力が
引き出されるんなら願ったりだろ」
「ふざけんじゃねェ!!
見損なったぜくそばばぁ
他のもんのために誰か一人見殺しにしてめでたしってか
できるかくそったれ」
「これがお前の首つっこんだ世界なんだよ、幽助
力のないもんは何をされてもしかたがないのさ
それがいやならとめるこったな」
「話はまとまったようだな
オレもそれは考えていた…最後の手段としてな
お前が自分自身の力すらコントロールできないほど未熟ならそれしかあるまいな」
戸愚呂は私達の方に歩みを進めた
「お前がいいな
浦飯の力を引き出すため
つまりはオレのために死んでもらう」
戸愚呂は桑原を指差した
「やめろ戸愚呂ォーー!!」
戸愚呂を止めるために幽助が攻撃するも呆気なく吹き飛ばされた
人が死ぬのは、もう嫌だ
『私にして、私を、殺して…』
「翼何を!」
『桑原じゃなくて、私でもいいでしょ…』
「幻海の弟子か…お前はダメだ」
『どうして…!』
「お前の命は浦飯にかけたんだろう
お前を殺すのは今じゃない、浦飯が負けた後だ」
『!!』
「翼下がってな」
『桑原…』
「オレ一人でいい」
「く、桑原くん何を…!?みすみす殺される気か」
「翼…浦飯に命かけたな、今もだ…
オレもかけるぜ…しけた命だが…根が負けず嫌いでな
浦飯ィーーー!!!」
『待って…』
戸愚呂の手は桑原の胸に突き刺さった
「てめェ…こんなモンじゃねェ…はずだろ?オレを幻滅…させるな…よ」
倒れた桑原を見て幽助から今までに感じたことのない気が溢れていた
「なさけねェ…仲間一人助けられねェよ…
許せねー…誰より自分自身を許せねーよ…」
殴られた幽助は以前よりダメージを受けていない
なにもかも捨てて強くなった戸愚呂
幽助は何も捨てないと言った
「あんたの捨てたものの重みが…
ようやく…わかりやがった
オレは捨てねー!!しがみついてでも守る!!」
「…やはりお前は幻海の弟子だ
所詮そのレヴェルなのだな」
「もう誰もお前に殺させねー
そのためにてめーを倒す!!」
幽助は戸愚呂を殴り飛ばして霊丸を放った
「次が最後の一発だ
オレの全ての力をこの一発に込める
あんたが魂を捨てた代わりに得た力全部…
全部まとめて使ってかかってこい
あんたの全てを壊してオレが勝つ」
戸愚呂はさらに変形し"フルパワー100%中の100%"になった
幽助は全霊力を、全生命力を注ぎ込んだ霊丸を撃った
戸愚呂は真正面から受け止め、潰した
「礼を言うぞ浦飯…
こんな力を出せたのは初めてだ…」
戸愚呂は100%を越えたひずみにより体が砕け
幽助が勝利した
▽
私達の元に戻ってきた幽助は桑原のことを嘆いていた
それをからかうような動きをする桑原…
「幽助…すまん
彼はもともと死んじゃいなかったんだ」
胸を刺された桑原は死んだふりをしていた
恐らく戸愚呂はわざと急所を外し殺す気がなかったんだろう
幽助の本気の力を引き出すために
戸愚呂は、本当に強い者が自分を倒してくれることを待っていたようだった
▽
大会も終わり島を出る時が来た
まだ完全に前を向くことができないでいた
そんな中、船を待っているときに現れたのは…
「おいおいなんて冷たいんだろーね」
「その…声は」
「年寄り置いて帰る気かい?」
『ばぁ、ちゃん…?』
「ばーさん!!」
みんな駆け寄り、ばぁちゃんの帰還を喜んだ
ばぁちゃんの姿に私は力が抜けて膝から崩れ落ちた
「やれやれ…」
ばぁちゃんが私の前に来て目線を合わせた
「あんたに感情を取り戻して欲しかったが…
それはあまり見れたもんじゃないね」
そう言って私の頭を撫でた
「こういうときは笑うんだよ、しょうがないね…
まだまだ世話の焼ける娘だよ、お前は」
その時の私の表情はきっと、
涙のにじんだぎこちない笑顔だったに違いない
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