暗黒武術会編
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決勝当日
身支度をしていると大きな音を立てて幽助が部屋に入ってきた
顔を合わせるのは、ばぁちゃんを看取った時以来だ
「翼!オメー今までどこに…!!
いねーから心配してたんだぞ!!」
『ごめん…』
「無事ならいーよ」
一息つき、まだセットしていない髪をかきあげた
そして目があった瞬間に抱き締められた
「戸愚呂は、オレが倒す!!」
『!』
「だからオメーは黙ってみてろ!
分かったな」
『うん…』
私の背中をバシバシ叩く幽助
背中、痛い…
「よーし行くぜ!」
幽助は太陽みたいに明るい
幽助を信じて私は前を向ける
▽
決勝戦は一対一で戦い、5戦行って先に3勝したチームの勝利となる
でもどちらのチームも4人ずつしかいない
戸愚呂チームはオーナーが出てきた
浦飯チームは補欠の私が出ることに…
「ちょっと待ったー!
幻海選手がいる以上補欠との交代は認められませんよ」
『…』
「…幻海は…」
「かまわんさ」
「補欠を入れてもいいが
今彼女は力が使えない…そうだろう?」
『!』
「なに?!」
「本当か、翼!!」
体の中に力は感じる
掌に集中するが、力が外に出てこない…
「オレと戦ったとき、力を放出する役割のツボをついた
妖力も霊力も使えないだろう」
戸愚呂と戦ったあの時、
たしか体の中で変な音がした…
『ごめん、私は役に立たない…誰か他の…!』
「気にすんな!浦飯チームのメンバーはオメーだ!」
「翼に回ってくるまでにカタをつけてやるからよ!」
「大人しく見ておけ」
「戸愚呂と戦った…?
翼、他に体の不調は…?!」
『大丈夫…』
心配性な蔵馬が勢いよく私の両肩を掴んだ
その時衣服がずれ首筋があらわになった
「翼…これは…?」
『それは鴉に……噛まれた…』
「はぁ!?」
「なんだと!?」
「!!」
「いつの話ですか?!」
『あの、後…』
ばつが悪くなり困っていると
タイミングよくアナウンスが聞こえた
衣服のずれを直し、蔵馬は真剣な目で私を見た
「必ず、あいつを倒す…
オレが行く」
▽
第一試合 蔵馬vs鴉
「そのままでいいのか?
むざむざ殺されにきたわけじゃないだろ?
お前が死んだときの翼の表情も楽しみだが」
「じきにかわるさ
貴様を倒すためならなんにでもなってやる」
蔵馬は刃のように研ぎ澄まされた花びらを舞わせる
鴉は触れることなく花びらや蔵馬の肩を爆発させた
その正体は妖力の低いものには見えない爆弾
爆発されそうになった瞬間
蔵馬は昔の妖狐の姿になった
鴉はイメージを物質化し、追跡爆弾を放った
それに対抗して蔵馬は動くものや火気をはらむものに襲いかかる魔界のオジギソウ出した
オジギソウは鴉を捕らえ、蔵馬が勝利したかと思いきや
オジギソウは跡形もなく爆発した
口から体内に火気物質を集めパワーアップして金髪に変身した鴉は
両手を起爆装置にしてリングを粉々に吹き飛ばした
煙の中から現れたのは元の姿に戻った蔵馬
植物を武器化する妖力の残っていない蔵馬は
肉弾戦と見せかけ鴉の胸元にシマネキ草の種を仕込むもすぐに気付かれてしまった
爆弾に取り囲まれ少しずつ爆破されて倒れる蔵馬
力をふりしぼり魔界の吸血植物を呼びだし鴉に勝利した
かに思えたが
「試合終了ー!!鴉選手の勝利です!!」
蔵馬は10カウントダウンを取られたのちに反撃をしたため
攻撃前にすでに鴉が勝利していたという判定だった
『蔵馬…!』
「首の傷のカリは返せたかな」
『そんなこといい…
治療…できないからせめて、止血だけでも…』
「ありがとう」
『力があれば…』
「君がいるだけでオレ達は力が出せるんだ
みんなの力になってるよ」
▽
第二試合 飛影vs武威
鎧を身に纏った武威は大きな斧を操るが
飛影はその斧を軽く溶かしてしまった
武威は自分の力を抑えるための鎧を脱ぎ捨て本気になった
飛影は忌呪帯法を取り払った
「見せてやる 極めた黒龍波をな
炎殺黒龍波!!」
黒龍に襲われた武威だったが、それを跳ね返し
飛影が黒龍に飲み込まれた
しかし武威の背後から現れた飛影は
黒龍を喰いエネルギーを吸収していた
その圧倒的な力により武威を倒した
「よっしゃこれで一勝一敗だ!!すげーな飛影!!」
「無敵じゃねーか オメー
残り全部戦っちまえよ」
「できんな
この技にも致命的な欠陥がある」
「欠陥!?」
「極度に酷使した妖力と肉体の回復のため…
数時間完全に"冬眠"する
これだけはいかに技を極めてもどうしようもない…
いいか、たよりない貴様らをあえて信用してこの技を使ってやったんだ
もし起きたとき…負けて…たら…承知…せ…ん…ぞ」
『飛影!』
眠りに入った飛影をなんとか抱き抱えることができた
数分前の闘いがが想像できないほどの無防備な寝顔だ
このまましばらく膝に乗せて寝かせることにした
▽
膝の上で寝ていた飛影が起きたようで、目が合った
寝ぼけてる…?それともどこか痛みが…?
顔を近付けようとするとおでこに痛みが走った
ごんっ
『ぃっ…』
どうやら勢いよく顔をあげた飛影とぶつかったらしい
「貴様っ、がなぜ…」
「起きたか…
ふたりとも大丈夫ですか?」
『飛影のおでこの目、つぶれてない?』
「…オレは何時間寝てた!?」
『(無視された…)結構たったね』
「ええ、6時間ほど」
「大会は!?桑原と幽助は!?」
「まだ終わってませんよ」
「なに?どういうことだ」
「貴方の後始末に手間どっていたんですよ」
隣に座っていた蔵馬が寝ていた間のことを解説していると桑原の声が聞こえた
「ばーさんさえきてくれりゃオレの相手はあの長髪オヤジでもよかったんだ」
『!』
「まさかあいつはまだ幻海の死をしらんのか」
「…らしいね」
「幽助、なぜ奴に教えてやらんのだ」
飛影の言葉に心がざわつく
幽助は何も答えなかった
▽
第三試合 桑原vs戸愚呂兄
桑原は持っていた柄に力を込め霊剣を出し戸愚呂兄に向かっていった
そのまま真っ二つに斬った直後、後ろから刺された
戸愚呂兄は擬態を作り、本体は地面の下から桑原の背後へ潜り込んでいた
姿形や、内蔵の位置まで自在に移動することができるらしい
「しかし遺った弟子がこのマヌケじゃ死んだあいつもうかばれないな…」
「なに?い、今なんて言った!?」
「なにを驚いている?
まさか、お前知らなかったのか
幻海は死んだ 殺されたのさ」
「そ…そんな」
戸愚呂兄は擬態で作った人形劇でばぁちゃんの最後を桑原に伝えた
ばぁちゃん…
助けられなかった…
「翼!」
『!!』
蔵馬が私の手を握ったお陰で現実に戻ってきた
「大丈夫ですか?」
『だい、じょうぶ…』
蔵馬がより強く私の手を握った
その直後に桑原の声が響き渡った
「てめェは許さねェーーー!!
くたばりやがれァーーー!!」
剣から発する霊気を手裏剣のように飛ばし戸愚呂兄をバラバラにした
だが、戸愚呂兄は体をくっ付けて桑原を串刺しにした
うつ伏せになった桑原は剣を伸ばして柄に繋げ再び戸愚呂兄をバラバラに切り刻んだ
元に戻ろうとする前に霊剣を円形に広げ
戸愚呂兄を倒した
勝利を祝い駆け寄る幽助を、桑原は殴った
「なんでばーさんが死んだこと黙ってた
オレだけかやの外か
ばーさんが殺されたことをオレに言ったら
ビビって逃げ出すとでも思ったのか ああ!?」
「桑原くん」
「だまってろ」
「オレ達も幽助から聞いたわけじゃない
なんとなく気づいたが…聞かなかった」
「オレと翼の前でばーさんは死んだ
もうオレ達だけで闘うしかねーってハラくくった
…それでも
まだ…信じられねーんだ ウソみてーでよ
もしかしたら突然ここに来んじゃねーかって今でも思えてよ…
なんか…"死んだ"って言っちまったらーーー
認めちまったらこねーような気がして
オレも翼も…言えなかった ワリィ」
『幽、助…』
「ちっ そんならそうと早く言えってんだ」
「だから言ったらこないような気がしたんだってば」
「浦飯!!!勝てよ」
「まかしとけ」
『桑原…ごめん…』
「気にすんな…応援するぞ」
_