暗黒武術会編
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試合終了後、ばぁちゃんと桑原達は幽助を連れてホテルに帰ってしまった
残って試合を最後まで見ていろと言われた私は
戸愚呂チームの戦いを蔵馬と観戦した
戸愚呂弟がいなくても圧倒的な強さだった
出口までの道のりを歩いていると
戸愚呂チームの鴉と武威が立ちふさがった
「観戦者はお前達だけか、自信たっぷりだな」
「そうでもないさ」
「そう緊張するな、なにもしない
お前達4人が死ぬのは2日後だ」
「4人?」
「ひとりは今日死ぬ
だれかはじきにわかる」
ぞくっ
どうして戸愚呂は今日参加していない…?
どうしてばぁちゃんは私にこの試合を最後まで見るように言ったの…?
自分の体内で鳴っている鼓動がうるさい
「少々髪がいたんでいる
トリートメントはしているか?
手入れは十分にした方がいい
人間はいたみやすいからな」
「キサマ!!」
はっ!!
蔵馬の声で現実に戻った私は
蔵馬の声も鴉の声も耳に入らずその場から駆け出した
ばぁちゃんはどこに…
戸愚呂とばぁちゃんの強い気を感じる
早く、行かなきゃ
うまく、前にすすめない
「どうした?足が震えているぞ?」
『!!』
「悪いがまだお前を行かせるわけにはいかない」
声のする方へ振り向くとさっき話していた鴉が目の前にいた
『なに…?』
「今大事な所だ…もう少し待て」
あっさりと両腕を掴まれ身動きがとれなくなる
焦りからかいつものような力がうまく出せない
両腕を腰の辺りでひとまとめにされ
鴉は私のフードと口布を取り顎をつかまれた
「なかなか美しい…気に入ったぞ
私は好きなものを殺すときも好きだが
好きなものが大事なものを失う瞬間を見ることも好きなんだ」
『失、う…?』
「お前の髪は美しいな」
引き寄せられたことで鴉が目と鼻の先にいる
思わず顔を背けると、鴉は首筋に顔をうずめた
『な、なにを…』
「あぁ、うまそうだ」
鴉は仮面を取りそのまま首筋に噛みついた
『ぅっ…!』
にじみ出した血を舐めとりながらくつくつと笑っている
嫌な記憶がよみがえりそうになる
いやだ…さわるな…
「2日後、浦飯チームの敗北を見てから私のものにしてやろう
今頃くたばっている幻海を失ったお前の表情が楽しみだ」
!!
『はなせっっ!!』
渾身の力を込めたつもりだったが鴉の手に少し傷がついた程度だった
楽しそうに笑い、その傷を舐める鴉を睨み付け
ばぁちゃんの元へ走った
▽
重い足をなんとか動かしたどりつくとそこには
戸愚呂と、立ちすくむ幽助と、血を流して倒れているばぁちゃんの姿があった
『ばぁちゃん…!!』
幽助とばぁちゃんの元に駆け寄り呼び掛ける
ひどい傷口だ
急いで手をかざし霊力を注ぎ込む
「ばあさんしっかりしろ!!」
『ばぁちゃん…』
「幽…助…、翼…」
「ばあさん!!今翼が治療してる!大丈夫だ!」
「ムリだ…あたしは死ぬさ…
あの時から…わかっていた」
ばぁちゃんは暗黒武術会のゲストに招待されたときの話をした
あの頃から、こうなることを予測していたの?
「幽助…人は…みな…時間と闘わなきゃならない…
奴は…その闘いから逃げたのさ…
誇りも…魂も…仲間も全て捨てて…
お前は…間違えるな…幽…助…
翼…大切なものを…増やしな…
お前達は…一人じゃない…
忘れるな…誰のために…強く…」
「ば…ばあ…さん!!」
『ばぁ、ちゃん…』
ばぁちゃんの手が重力に従い地面についた
「霊光波動拳継承者のお前がもっと早く生まれていれば
こんな醜い幻海を見ずにすんだ…」
「てめェ」
いくら霊力を流しこんでもばぁちゃんは受け取ってくれない
『ばぁちゃん…いやだ…』
戸愚呂に向かっていった幽助は
戸愚呂のパンチをまともにくらい私の真横を通りすぎていった
『お前…っ!!』
霊力と妖力を混ぜ合わせ両腕に集中させた
戸愚呂の死角へ動き攻撃を繰り出すも避けられた
それを想定した上で素早く動き
両腕で戸愚呂の腹を貫いた
「いい攻撃だ…だが怒りで強くなる浦飯と違い
お前は精神的支柱を失うとダメなタイプだ
冷静さが欠け本来のパワーが全く出せていない
実に、もろい」
『なっ…』
戸愚呂のパンチをガードしたが突きは避けられず
体の奥で何かが音を立てて割れたような感覚がした
そう思ったのも束の間で勢いよく吹き飛ばされ、木に激突した
『うっ…!!』
「本気のお前なら戦ってみたかったが、残念だ」
ばぁちゃんの敵をうつことができなかった
砕けそうな体の痛みに耐え
再びばぁちゃんの所へ向かう
ばぁちゃんに出会ったあの日から
感情が欠落していると言われた私
ばぁちゃん、これが悲しいってことなんでしょ
ばぁちゃんの顔に私の目から出てきたものがぽたりと落ちる
もっと、教えてほしかったよ
▽
ばぁちゃんの外傷をなんとか治し終えた私は
さよならを言ってその場を離れた
今は誰とも話したくはなかったから
一人でいると思い出すのはばぁちゃんのことばかり…
悲しみに襲われそうになった時、幽助の気を感じた
天高くに飛んでいった霊丸を見て幽助は大丈夫だと安心した
あれから丸1日以上こうして崖から星空や水平線を眺めていた
すると背後に気配を感じた
「なにをふぬけている」
振り向くとそこには飛影がいた
彼の右腕には黒龍の紋様が巻き付いていた
『飛影、まさか…』
「やることがないなら手を貸せ」
包帯や札、鎖やベルトなどを私の目の前に投げた
『これは忌呪帯法?』
「知っているなら話が早い」
『詳しくは知らないけど』
「適当でかまわん…どうせ明日外すんだ」
忌呪帯法を思い出しながら包帯を巻く
ひとりで思い詰めているよりも気が紛れた
「ここでの戦いが終わったらまたオレと手合わせしろ」
『うん』
「今度こそオレが勝つ」
『あれ、私勝ったの?』
「オレは負けていない!引き分けだ!!」
『そう?』
「…オレが勝ったら………もんじゃ焼きを作れ」
『勝たなくても作るよ、うちに来たらいつでも…』
いつにも増してよく話す気がする
気を、使ってくれてるのかな
今まで張り詰めていた気持ちが一気にほぐれた
"大切なもの"ってこのことなのかな…
飛影の肩にもたれかかりそのまま意識を飛ばした
ひとり焦った飛影はしばらくしてから
私を部屋まで連れていってくれたようで
次の日の朝まで気付きもしなかった
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