2つの1軍枠
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寝ている先輩達を起こさないように静かに着替えていると
雨音とともに控えめにドアをノックする音がかすかに聞こえた
そっとドアを開いてみた
そこにいたのは
『翼…?』
「あ、おはよ、暁くん」
僕の表情は変わらないけどこれでもかなりビックリした方だ…
『あのね、お話したいことがあって…』
「うん、なに?」
そういいながら部屋を出て後ろ手にドアをしめる
『えっと、
付き合ってほしいんだけど…』
え
翼が、
付き合う??
「(心の)準備できてないんだけど…」
『そうだよね、急だもんね…』
「あの、
『でも準備いらないよ、大丈夫!』
「うん?」
『こっちきて!』
そういって腕を掴んだ翼はどんどん歩きだした
働かない頭を無理に動かそうとするけどやっぱりだめだ、
でも翼に答えないと、
「翼、あの…翼のこと気に…
『ついたよー、おまたせ!』
「ん?」
ついたところは室内練習場で、御幸先輩にクリス先輩たちがいた
あれ?
『暁くんも練習付き合ってくれるって!』
「練、習…?」
ぱちっと、目が合った御幸先輩はいつもよりにやけてみえた、気がした…
はめられた…
大方御幸先輩が翼に呼びにこさせてって感じかな
なんか悔しくて、もう遠慮しなくていいかと思った
翼の肩に手を置いて
「翼、付き合うよ」
『ほんと!ありがとう!』
今はこんな言葉遊びでもいいや
優越感に浸った顔をして見せた
「(あいつ分かった上であの表情か…(-""-;))」
御幸先輩の笑顔は心なしかひきつって見えた
▽
一也はそれから栄純くんを呼び出した
栄純くんはクリス先輩を見るなり
姿勢をただして挨拶をしていた
忠犬って感じだ
クリス先輩は栄純くんと暁くんに投手としての役割や
チームの中で誰よりも野球に詳しくなければならないことを伝えた
こまかなルールも少し怪しい2人は目に見えて慌てている
「はっはっはっ心配すんな
そのために俺達がいる
チームプレーは一人じゃ練習できねーからな」
『最初は分からなくても当然だよ
体が覚えるくらい繰り返し練習しよう
…一緒に頑張ろうね』
今までチームプレーをしてきていないから
戸惑う2人…
「沢村、お前には言っておいたよな
ガムシャラにやるだけが練習じゃない
体を休めることも覚えろと…」
「え?」
「…お前
俺のようになりたいのか?」
『!!』
「…え、いや…」
「一軍メンバーとして責任を持つのは悪いことじゃない
だがすべてを一人で背負い込む必要なんてないんだ…
だから今日は軽めの練習にしとけ
いいな?」
クリス先輩の言葉に栄純くんは涙が溢れていた
クリス先輩から伝えられる言葉には重みと愛が溢れていた
「まったく世話がやける」
『栄純くんが頑張ってるのみんな知ってるよ
だから頑張りすぎないでね』
持っていたタオルを栄純くんの顔に押し付けた
できることなら
俺のようになりたいのか
なんてクリス先輩の口から言わせたくなかった
ふがいなさに胸がいたんだ…
そんな気持ちを払拭するように現れたのは倉持先輩と増子先輩
駆けつけてくれた2人
良い先輩に囲まれてよかったね
「沢村、勘違いするなよ
お前ら二人を一投手として育て上げる…
これはチームのためにやっていることだからな…
俺はまだ
プレーヤーとしての道を諦めちゃいない」
その言葉に私も涙腺が緩みそうになった
無意識のうちに私はクリス先輩の腕に抱きついていた
「っ!」
『クリス先輩!!』
「翼…?」
『私、初めて一也の出てるシニアの試合で先輩を見て、一目で憧れました…
きっと一也も同じです
でも、いろいろ、あったけど…
私にも選手としてのクリス先輩を応援…させてください!!』
まるで告白のようになってしまった…
ドキドキしながらクリス先輩を見上げると
あの大きくて温かい手が私の頭に乗った
先輩の顔は見えないけど
優しい声が耳に響いた
「あぁ、そのときは一緒にプレーしよう」
『ありがとうございます!!
1番受けてほしいキャッチャーはクリス先輩なので夢が叶います♡』
「御幸が妬くぞ」
『?』
そこで一也が出てくる意味はわからないけど
みんなの練習の邪魔をしてはいけないので
名残惜しいけど離れることにした
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