約束と課題
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
投手と捕手が組んで練習をするようになって数日…
暁くんは関東大会で2回を連続三振に決めた
そのおかげで他校からの偵察も増えたくらい
栄純くんはというと
クリス先輩と組んでから、どうもうまくいってないらしい
春乃ちゃんに聞いても春市くんに聞いても
“巻物”がねって…
どういう意味なのかわかんない…
おまけになんだか栄純くんすごく怒ってるみたい
クリス先輩が練習を終えるとさっさと帰ることとか
でもそれは私から言うべきじゃない気がする…
とりあえず練習が終わったらクリス先輩の話を聞いてみようかな?
ジョージさんにも用があるし…
▽
練習が終わると私はクリス先輩の所に行った
『クリス先輩!お疲れ様です
今日ついて行ってもいいですか?』
「かまわないが…どうした?」
『ちょっと聞きたい事がありまして…
それとジョージさんにも用があるんです』
こうしてクリス先輩についていくことになり
移動中に話を聞いた
「で、翼が聞きたいのは沢村の事か?」
『えぇ!なんで分かったんですか?』
「ずいぶんと気にかけてるだろう、あいつのこと」
『そうですね…アレだけ真っ直ぐな子は珍しいし好きですよー
投手があんなに心のうちが見えるのもアレですけど…』
「フッ…たしかに致命的だな」
『あはは……笑えない、ですよね』
「素直に言うとあいつは確かにいい素質を持っている、だが・・・・
『やる前からあきらめるなんてクリス先輩らしくないですよ!
中学の時のクリス先輩ならあきらめるなんて言わなかったはずです…』
「・・・・・」
『でも、クリス先輩は栄純くんに今一番良い練習法を教えてるじゃないですか?
今は走って土台を作らせる…
怪我しないために体幹とインナーマッスルを鍛えるメニューを取り入れてる
実は私、クリス先輩と栄純くんの組み合わせ悪くないと思ってます!
ふたりの組み合わせに賛成したのは栄純くんのためになるのはもちろん
クリス先輩にも良いかなって思ったんです』
「…俺に?」
『栄純くんには人を動かすところがあるんです!
だからクリス先輩の気分転換になればと思ったんですけど…』
「…」
『それが先輩の負担になってしまっているんでしょうか…
先輩の時間も減ってしまうし
それなら解消するように私から言っておきます…』
「…では、沢村の限界がきたらということにしよう」
『え!?いいんですか?』
「あぁ、どうせ長くは続かんだろうし
それならそれまでのヤツだったという事だろう」
『そう…ですね…わかりました!』
「翼、親父と会って用が済んでも時間があるなら残っていろ
もう暗いから一緒に帰るぞ」
『はい!』
クリス先輩は栄純くんのこと嫌いって訳ではなさそう…
どうかふたりがうまくいくきっかけのようなものがあれば…
▽
「OH~!!翼じゃないカ!
また一段と美しくなったナ!」
『わ、ありがとうございます!
お久しぶりですジョージさん…
今日は父に頼まれた物を持ってきました』
「大輝か!元気にしてるのか?」
『はい!元気でやってるそうです!
これがアメリカで良いといわれている最新のリハビリ資料です
よければ参考にしてください』
「ありがたい…」
「翼いつもすまない、
いろいろな情報を」
『いえ、私と大輝が勝手にしたことですし
これがお役に立てれるなら嬉しいです!』
「顔を見れて嬉しいガ
優に預けてくれればよかったんではないカ?
学校から遠いだろう…手間をかけたナ」
『クリス先輩の状態どんな感じか知りたかったし
ジョージさんの顔も見たかったですし
何より大輝から伝言預かってるんです』
「OH!なんだ!?」
『〈またジョージと勝負がしたい、いつか会って話そう。
クリス君リハビリ頑張って負けないでな。
あとメールは返せよ?〉
だそうです』
「そうか、また会いたいナ!」
「親父、またメール返してないのか?」
「ウルサイ!早くトレーニングを始めるぞ」
あいかわらずジョージさんは楽しい人だなぁ…
クリス先輩がトレーニングを始めたので
私は部屋の隅で見学することにした
肩はだいぶよくなってきてるみたい…よかった…
ガラッ!
「なんでだよ!なんで…
こんな1年にいいように言われて何も言い返さねぇんだよ!!」
『!!栄純くん…?!』
リハビリ中のクリス先輩のもとに突然栄純くんが現れた
なにか、きいてきたのかな…
栄純くんは明らかに以前と顔付きが違って見えた
「俺に“野球”を教えて下さい」
「あら?翼、なんでここに?」
『大輝からジョージさんへの預かりもの届けに…
礼ちゃんこそどうして…?』
「あの子ね、クリス君のこと
<なんであんな人がここにいるんだ、
やる気がないなら辞めればいいのに>
って言って御幸くんを怒らせてね
放心状態だったのよ」
『うわぁ…』
「それでこの際見せてあげようと思ってね」
『なるほど…』
「あっ!翼がなんでここにいるんだ?!」
『栄純くん…ちょっと用事でね』
「翼、喋らないほうがいい、バカがうつる」
『あはは…そんなことないよ栄純くん!
バカはうつんないし』
「!!??」ガーン…
「(あら、トドメさしたわね)」
事情を知らなかったとはいえ栄純くんの言葉に胸が傷んだ
それはきっと一也も同じだったんだと思う
クリス先輩を見てきたからこそ
背中を追いかけてきたからこそ
分かるクリス先輩の努力のあと
怪我で離れざるを得なかった無念は
私達にははかりしれない
それでも野球部として、青道の一員として
過酷なリハビリにも耐え、選手復帰を目指すクリス先輩…
それを知った栄純くんの歩み寄りに
クリス先輩はどう答えるかな…
_