紅の王編
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45【約束】
≪狂…一つ約束をしてください
二人だけの秘密の約束…
私はいずれこの世界を滅ぼそうとするだろう
その時、君に決めてほしいんだ
私と共に生きるか
闘い、どちらかが死ぬか
そのケリのつけ方を
…すべての生きる者が
倖せを望み、満たされ
生きることにたいくつを…
…生きる意味を忘れてしまう前に…
…真の壬生一族のように…ね
…わかるかい?
だから狂、君は壬生の外へ出て見ておいで
たくさんの生きる者の
生き様、死に様を
命の焔を
そして己自身の進む道を見つけるんだ
…約束だ…いつか
いつか聞かせてほしい
君の答えをーー…≫
狂と先代がぶつかり合おうとしたその時
京四郎と翼が先代の中から出てきた
うろたえた先代に狂は刀を降り下ろす
しかし先代は狂の刀を弾き飛ばした
「終わりだ…狂ォォーー!!」
その時、先代から出てきた京四郎が
狂の刀を掴み、狂へ投げた
「狂…後はたのむっ…」
「おそいわ!!」
隙を見て刀を動かす先代
狂の体を切り裂こうとしたその時
ぎゅっ
先代の背中を翼は抱き締めた
『先代様…』
一瞬先代が止まった隙に
狂は先代を斬り伏せた
「…これがお前の…答え…か…狂…」
先代はその場に倒れた
「…ま…だだ…まだ…終わらぬぞ…
血よ!滾れ!!燃えよ!!
…力を…私に"鬼神"となる力を与えよーー!!」
その言葉に反応することはなかった
『せ、先代、様…』
「…あんさんは"鬼神"になんかなれへんで…」
「なぜなら…アンタは
真の壬生一族じゃないからだ…それは
「扉」のむこうにあったあんたの心の臓に刻まれた
この「紅十字」が証明しているよ」
紅虎とサスケは先代"紅の王"の心の臓を持っていた
「それは…その「紅十字」は…
京四郎さんやチンメイの体に刻まれていたものと同じーー?」
「せ…先代…やはりあなたは…
真の壬生一族によって創られた
一番真の壬生一族に近く
一番強いボク達の最初の兄
一番目の「紅十字」の四守護士
壬生京一郎…」
「死んだんではなかったんですね
…あなた自身も創られた存在…
それが…あなたが護りたかった秘密」
「くだらぬわ…
私はすでに真の壬生一族など超越した"神"…!!
あんな醜き一族など滅んで当然!!
お前達も同じ…
満たされても満たされても
すべてを忘れ破壊に走る…
醜き者!!汚れた世界!!
すべてを一度無に帰すべきなのだ…!!
そしてすべての者が倖せになれる未来を新たに創るのだ…!!
汚れなき倖せの尽きぬ新たな未来を…
そのためにすべてを滅するべきなのだー!!」
「先代…あなたは…」
「フ…くだらねえ…何が未来だ
そんなコトも忘れちまったのか
とんだ大バカ野郎だぜ
未来がどうかなんてどうだっていいんだよ
…汚れた世界?醜い生き者!?
…大いに結構だ
生きることはキレイごとじゃすまされねえ…
だから面白ェんじゃねーか」
「な…何をバカな…」
壊れた壁のすきまから飛び出してきたのは
ほたるのゲタ
そして壁を壊して次々にみんながやってきた
「…先代さんよ
あんたの言いてえこともわかるぜ…
ほーんとクソだよなあ、この世界はよお!!
オレ様のスバラシさを
親さえ理解してねーなんてコトもあらあ…」
「そうそう!!貧乏は底無しだしよっ」
「努力したって…した分報われるワケじゃない」
「病は誰彼かまわず理不尽なくらい降り懸かる」
「生まれ出る場所だって選べねえしな」
「勝った奴がいれば負けた奴がいるし」
「護りたいモンが違えば…
刀を交えなアカンこともある…」
「そして善き"信念"が時には悪を生むことも」
「だからこそ試すんだ…
何一つままならない世界だからこそ
どこまで己の道を貫き通せるか
…どこまで己を信じ前に進んでいけるか…
生と死の間のギリギリのギリギリのギリギリで
いつも「生きてる」って実感するために
オレ達はどんな未来が待っていようとも
現在この瞬間をあがき続け
己の生き様を貫き通す…
ただそれだけだー!!」
▽
私は何に絶望し
何に悲観した!?
何を愛し
何を護ろうとした!?
私はあの娘の何に
未来を感じた…!?
…そうか、生きるとはこんなにも強く…
雄々しいものだったのか…
『先代、様…』
「…翼…」
『もう、大丈夫です』
「え?」
『もう、お一人で背負わないでください』
隣に座った翼は
私の腕をとり、伏せていた私を座らせ
私の手を握った
『ずっとみんなのこと考えてくれてたんですよね』
「そんな…」
『私のこともずっと護ってくれてましたよね
真の壬生一族である、憎むべき私を…』
「!?」
『幼い私を太白に預けてくれたこと
実験から救い出してくれたこと
壬生の外へ世界を見に行かせてくれたこと
傷痕の残る私を見て外に出さず護ろうとしてくれたこと
村正様の所へ行くのを見逃してくれたこと
無理に連れ戻さないでくれたこと
…闘いに巻き込まれないように私をあなたの体の中へ避難させたこと…』
「…」
『あなたの優しさ…今なら分かります
それでも…』
「…?」
『できることなら
護られるだけじゃなく
一緒に壬生を護らせて欲しかったです』
「翼…」
『少し、休んでください』
翼は私を抱き締めた
幼かった少女は
こんなにも大きく、温かく…
そうか、
よい仲間に出逢えたのか…
「我が心の臓よ…!!
我が体内に戻れー!!」
紅の塔は地響きをたてて崩れていく
最期にふさわしい
「…もはや限界の私の体に心の臓を戻せば
心の臓も、心の臓の力が支えていた
"紅の塔"も滅びるのだよ」
「先代…!!」
「狂…一番大切なものを忘れていたのはこの私だった…
君は…そのことを教えるために
私の前に現れたのかもしれない…
滅んだはずの…
真の壬生一族の最後の子が…
刻さえも超える真の"神"の力でーー…
これで私の…そして壬生一族の時代の
幕を閉じよう…」
塔が崩れる最中
私と狂と翼だけが中央に取り残され
周りは奈落のそこへと落ちていった
狂は出血がひどく動ける状態ではない
翼は狂に手をかざし
仲間に叫んだ
『みんな!狂を受け止めてね!』
風の力で仲間のもとへと狂を送り届けた
「翼も早く…」
『先に行ってて!』
「ふ、ふざけんじゃねぇ!
オレ様だけ飛ばしやがって!!」
『狂、ゆやさんを倖せにしてね』
「翼も一緒に…」
『私は、この"血"に懸けて
先代様の最期を見送る
それが私の役目なんだ』
「翼…」
『また、後でね』
「必ず、戻ってこい!!」
限界を迎えた紅の塔
仲間達はなんとか脱出していった
「必要ないよ…翼」
『私がそうしたいと思ったの
最期のわがままだから…お願い』
わずかな時間で私の汚れた服や傷口の表面を治していった
『真の壬生一族のせいで、本当にすみませんでした
長い間、本当にありがとうございました』
そういって翼は再び私を抱き締めた
「ありがとう…私も翼もこれで自由だ…」
私も翼を抱き締めた
ああ…穏やかに逝ける
『おやすみなさい、先代様』
私は温かなぬくもりと
不器用だけど優しい花に包まれた
_
≪狂…一つ約束をしてください
二人だけの秘密の約束…
私はいずれこの世界を滅ぼそうとするだろう
その時、君に決めてほしいんだ
私と共に生きるか
闘い、どちらかが死ぬか
そのケリのつけ方を
…すべての生きる者が
倖せを望み、満たされ
生きることにたいくつを…
…生きる意味を忘れてしまう前に…
…真の壬生一族のように…ね
…わかるかい?
だから狂、君は壬生の外へ出て見ておいで
たくさんの生きる者の
生き様、死に様を
命の焔を
そして己自身の進む道を見つけるんだ
…約束だ…いつか
いつか聞かせてほしい
君の答えをーー…≫
狂と先代がぶつかり合おうとしたその時
京四郎と翼が先代の中から出てきた
うろたえた先代に狂は刀を降り下ろす
しかし先代は狂の刀を弾き飛ばした
「終わりだ…狂ォォーー!!」
その時、先代から出てきた京四郎が
狂の刀を掴み、狂へ投げた
「狂…後はたのむっ…」
「おそいわ!!」
隙を見て刀を動かす先代
狂の体を切り裂こうとしたその時
ぎゅっ
先代の背中を翼は抱き締めた
『先代様…』
一瞬先代が止まった隙に
狂は先代を斬り伏せた
「…これがお前の…答え…か…狂…」
先代はその場に倒れた
「…ま…だだ…まだ…終わらぬぞ…
血よ!滾れ!!燃えよ!!
…力を…私に"鬼神"となる力を与えよーー!!」
その言葉に反応することはなかった
『せ、先代、様…』
「…あんさんは"鬼神"になんかなれへんで…」
「なぜなら…アンタは
真の壬生一族じゃないからだ…それは
「扉」のむこうにあったあんたの心の臓に刻まれた
この「紅十字」が証明しているよ」
紅虎とサスケは先代"紅の王"の心の臓を持っていた
「それは…その「紅十字」は…
京四郎さんやチンメイの体に刻まれていたものと同じーー?」
「せ…先代…やはりあなたは…
真の壬生一族によって創られた
一番真の壬生一族に近く
一番強いボク達の最初の兄
一番目の「紅十字」の四守護士
壬生京一郎…」
「死んだんではなかったんですね
…あなた自身も創られた存在…
それが…あなたが護りたかった秘密」
「くだらぬわ…
私はすでに真の壬生一族など超越した"神"…!!
あんな醜き一族など滅んで当然!!
お前達も同じ…
満たされても満たされても
すべてを忘れ破壊に走る…
醜き者!!汚れた世界!!
すべてを一度無に帰すべきなのだ…!!
そしてすべての者が倖せになれる未来を新たに創るのだ…!!
汚れなき倖せの尽きぬ新たな未来を…
そのためにすべてを滅するべきなのだー!!」
「先代…あなたは…」
「フ…くだらねえ…何が未来だ
そんなコトも忘れちまったのか
とんだ大バカ野郎だぜ
未来がどうかなんてどうだっていいんだよ
…汚れた世界?醜い生き者!?
…大いに結構だ
生きることはキレイごとじゃすまされねえ…
だから面白ェんじゃねーか」
「な…何をバカな…」
壊れた壁のすきまから飛び出してきたのは
ほたるのゲタ
そして壁を壊して次々にみんながやってきた
「…先代さんよ
あんたの言いてえこともわかるぜ…
ほーんとクソだよなあ、この世界はよお!!
オレ様のスバラシさを
親さえ理解してねーなんてコトもあらあ…」
「そうそう!!貧乏は底無しだしよっ」
「努力したって…した分報われるワケじゃない」
「病は誰彼かまわず理不尽なくらい降り懸かる」
「生まれ出る場所だって選べねえしな」
「勝った奴がいれば負けた奴がいるし」
「護りたいモンが違えば…
刀を交えなアカンこともある…」
「そして善き"信念"が時には悪を生むことも」
「だからこそ試すんだ…
何一つままならない世界だからこそ
どこまで己の道を貫き通せるか
…どこまで己を信じ前に進んでいけるか…
生と死の間のギリギリのギリギリのギリギリで
いつも「生きてる」って実感するために
オレ達はどんな未来が待っていようとも
現在この瞬間をあがき続け
己の生き様を貫き通す…
ただそれだけだー!!」
▽
私は何に絶望し
何に悲観した!?
何を愛し
何を護ろうとした!?
私はあの娘の何に
未来を感じた…!?
…そうか、生きるとはこんなにも強く…
雄々しいものだったのか…
『先代、様…』
「…翼…」
『もう、大丈夫です』
「え?」
『もう、お一人で背負わないでください』
隣に座った翼は
私の腕をとり、伏せていた私を座らせ
私の手を握った
『ずっとみんなのこと考えてくれてたんですよね』
「そんな…」
『私のこともずっと護ってくれてましたよね
真の壬生一族である、憎むべき私を…』
「!?」
『幼い私を太白に預けてくれたこと
実験から救い出してくれたこと
壬生の外へ世界を見に行かせてくれたこと
傷痕の残る私を見て外に出さず護ろうとしてくれたこと
村正様の所へ行くのを見逃してくれたこと
無理に連れ戻さないでくれたこと
…闘いに巻き込まれないように私をあなたの体の中へ避難させたこと…』
「…」
『あなたの優しさ…今なら分かります
それでも…』
「…?」
『できることなら
護られるだけじゃなく
一緒に壬生を護らせて欲しかったです』
「翼…」
『少し、休んでください』
翼は私を抱き締めた
幼かった少女は
こんなにも大きく、温かく…
そうか、
よい仲間に出逢えたのか…
「我が心の臓よ…!!
我が体内に戻れー!!」
紅の塔は地響きをたてて崩れていく
最期にふさわしい
「…もはや限界の私の体に心の臓を戻せば
心の臓も、心の臓の力が支えていた
"紅の塔"も滅びるのだよ」
「先代…!!」
「狂…一番大切なものを忘れていたのはこの私だった…
君は…そのことを教えるために
私の前に現れたのかもしれない…
滅んだはずの…
真の壬生一族の最後の子が…
刻さえも超える真の"神"の力でーー…
これで私の…そして壬生一族の時代の
幕を閉じよう…」
塔が崩れる最中
私と狂と翼だけが中央に取り残され
周りは奈落のそこへと落ちていった
狂は出血がひどく動ける状態ではない
翼は狂に手をかざし
仲間に叫んだ
『みんな!狂を受け止めてね!』
風の力で仲間のもとへと狂を送り届けた
「翼も早く…」
『先に行ってて!』
「ふ、ふざけんじゃねぇ!
オレ様だけ飛ばしやがって!!」
『狂、ゆやさんを倖せにしてね』
「翼も一緒に…」
『私は、この"血"に懸けて
先代様の最期を見送る
それが私の役目なんだ』
「翼…」
『また、後でね』
「必ず、戻ってこい!!」
限界を迎えた紅の塔
仲間達はなんとか脱出していった
「必要ないよ…翼」
『私がそうしたいと思ったの
最期のわがままだから…お願い』
わずかな時間で私の汚れた服や傷口の表面を治していった
『真の壬生一族のせいで、本当にすみませんでした
長い間、本当にありがとうございました』
そういって翼は再び私を抱き締めた
「ありがとう…私も翼もこれで自由だ…」
私も翼を抱き締めた
ああ…穏やかに逝ける
『おやすみなさい、先代様』
私は温かなぬくもりと
不器用だけど優しい花に包まれた
_