五曜星編
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25【異母兄弟】
ほたると辰伶の戦いは激しさを増していっている
「どうして…
異母兄弟なのに戦わなければならないの?
血の繋がってる兄弟ならわかりあえないことなんてないはずなのにーー…」
『!ゆやさん…』
「兄弟…だからじゃねえのかな」
「…え!?」
「もともと漢の兄弟ってヤツは
生まれた時からライバルなんだ
認めあいながら競い合いながら
成長していく…
たとえ辰伶がほたると異母兄弟だってことを知らなくても
ほたる自身が辰伶を“兄”として
強く意識してるようだしな」
「…そうか、逆に言えば辰伶に負けないことこそが
壬生におけるほたるの存在理由だったのかもしれませんね」
「存在理由か…
そうかもしれねえ…
この世にたった一人しかいねぇ兄弟だからこそ
ぜってーに負けられねぇのかも…な」
『もしかしたら、その逆も…あるかもしれない…』
「えっ!?それってどういう…」
「狂はオレの“戦友”だから
だから守る、それだけ…」
その言葉に私は息を飲んだ
こんなにもほたるの心を動かしてくれてたんだ
ほたるの居場所を作ってくれたんだ
『み、みんな…ありがとう、、』
「翼…」
『ほたるの居場所になってくれて…』
「お前は誰のために戦いたいの?」
ほたるは辰伶を救おうとしてる
真っ正面から向き合って
捕らわれている辰伶の鎖をほどこうと…
辰伶に伝われば…
でもそう甘くはないみたい
「キサマに何がわかる!!
いつも自分の思うがまま気のむくまま
雲のようにフワフワと自由にただよっている
お前にオレの何がわかるというのだ!!
オレには…オレには生まれた時からまっとうせねばならぬ
誇るべき使命がある!!
壬生を…“紅の王”をお守りすると言う使命がな!!
その重さがキサマにわかるかー!!」
「辰伶…
いったいなんの“鎖”にそんなに
がんじがらめになっているの…?」
「何をわけのわからんことを…
やはりキサマとは相容れんのだ…
あの時からずっとそう思っていた
そう…
お前がオレの異母兄弟であると知ってから
お前とオレは相容れぬ道を生きていると…
分かりあえることはないとー!!」
「し…知ってやがったのか!?」
「…辰伶お前…
知ってたのか…」
『やっぱり、知ってたんだ』
「どういうことなの?」
『ある日突然、ほたるのお父様からの刺客がこなくなったの
それに壬生にも血筋があって名門の者しか九曜にはなれない…
それに…』
「それに…?」
≪たとえ生きる道が違っていようとも
お前を見ている者はあんがい近くにいるはずだよ?≫
『辰伶は厳しいけど
いつもほたるを目で追ってた
二人は気付いてなかったみたいだけど』
どうか、ほたるの想いが辰伶に届いてほしい
二人が手を取り合わなくてもいいから
認めあうことができれば…
「弟であろうとなかろうと
オレはお前には負けぬ…!!」
負けられないたった一人の兄弟だからこそ
「辰伶…
ありがと」
「な…!?」
「最初で最後
もう二度と言わない…
そのかわり…
辰伶…オレがお前を解放してあげる」
「…何!?」
「そう…
たった一人の兄弟として…
お前を縛るその“鎖”…オレが断ち切る
本当に大切なモノがなんなのか…
思い出せるように…」
そしてほたるは血化粧を施した
▽
辰伶を上回るパワーで押していくほたる
焦っているような…
いつものほたるじゃないみたい
何かおかしい…
その正体は“焰血化粧”だった
ほたるの禁忌技で血化粧よりも
さらにパワーとスピードを生み出す
でも寿命すら縮めてしまう命懸けの技
そこまでして辰伶を救おうとしていたんだ
「…なぜだ螢惑…
キサマは自分の命を削ってまで…
このオレに何を教えようというのだ?」
「オレは…
オレは狂から縛られない自分の意志と
“孤独” じゃ得られない“強さ”“楽しさ”を
教えてもらった…
今のお前の…その壬生の“鎖”を外し
そのことを教えてやれるのはオレだけだから…
目を…さませ
辰伶…」
「…たしかに
雲にあこがれた時もあった…
形にとらわれず
色にとらわれず
空を自由にただよう雲のように
何者にも縛られず生きることに…」
「辰…」
「だが…それは
オレが未熟だったからだと
今ならわかる!!」
辰伶…やめて…
「狂や螢惑…お前達が斃れ
オレ一人が立っているという事実が…
オレが進んできた道が
すべて正しかったのだと証明している!!
せめてもの情けだ…
最期は兄としてキサマを送ってやろう!!」
いやだ
『辰伶…お願い…やめて…』
「さらばだ弟よーーー!!」
ドゴォ
「…例外はない
壬生一族に逆らいし者には“死”を…!!」
「ほ…ほたるーーーー!!」
『ほた…る…』
うそだ
いやだ
ドクンッ
≪ じているん よ、君を…≫
ザンッ
≪先 に逆らいし には“死”をー…≫
≪…さ ならだ 四郎…
強く…生き…ろ…
ど か…しあわせに……いき ……≫
≪いや…いか いで…≫
≪ は紅の王の になる者…
紅の王の であるボ が≫
≪いや、さわ ないで…助 …≫
≪ボクのモ だ≫
≪いや ぁぁ ぁぁ!!≫
ドクンッ
『いやあぁぁぁぁぁぁ!!!』
▽
叫び声をあげて翼は気を失った
アキラもトラもサスケも限界だ
翼の抑えがなくなったゆやちゃんの中の水龍はますます膨れ上がった
ゆやちゃんはもう虫の息だ
「うおおあああ」
狂がボロボロの体で立ち上がった
「辰伶…てめえ…
殺してやる…!!」
辰伶の「水魔爆龍旋」が放たれた瞬間
狂の纏う雰囲気が変わり
技を一瞬で相殺した
壬生京四郎が出てきたのかとも思われた…
ゆやちゃんのピンチを感じとった壬生京四郎が
狂が本来の力を出すのに最大のネックであった
自分の身体を狂と同調することで
今まで以上に狂が自由に使えるようにし
本当の軀だった頃の狂に近い力が
出せるように手を貸してんじゃねーのか…!?
…ってことはかつての狂の強さをまた見れるってことかよ
あの鬼(バケモン)をよ…!!
▽
「な…なぜだ…なぜこんなに…
たしかに昔はキサマとオレは互角といわれていた…
だがオレは今や五曜星にまで登りつめた壬生の戦士…!!
キサマのような反逆者などとは格がちがうはず…
それなのに…なぜ…!?」
「…知りてえか?」
「!?」
「なら教えてやる
キサマがこのチンケな壬生の檻の中で
ウダウダやってる間にオレ様はーーー
百度命を捨て千度死線を越え…
その度に本当の強さを手に入れてきた
キサマの強さなんざ足元にもおよばねえほどの…な」
「…なに!?」
「壬生が最強だと思っているキサマには
わからねえだろうな
だからキサマはオレには一生勝てねーよ」
「何をバカな…!!」
「だが今となっては
そんなこたあどうでもいい
…なあ辰伶…
てめえはやりすぎた…
許さねえ…
ぜってえ…殺すーーー!!」
壬生の使命のために、と
辰伶は自らの血を触媒として濃硫酸を作り出した
「壬生に逆らいし者には“死”をーーー!!
」
赤い龍達が天に昇り弾け、濃硫酸の雨を降らせた
しかしその跡から出てきたのは
鬼
「…いい技だった…
だがよ辰伶…
勝つのはオレだ…」
▽
ぼんやりとした意識の中
聞こえてきたのは怒気を含んだ狂の声
「てめえの“勝つ”って言葉は軽ィんだよ
生死を懸けた戦いを経験した者が持つ
“勝利”への“執念”がたりねえんだよ
“勝つ”ってのがウソくせえんだよ…!!
…覚悟きめろ…
辰伶…」
「無明神風流奥義“白虎”!!」
攻撃をかわしたはずの辰伶は白虎に引き寄せられた
「…辰伶…お前も触れただろう…
白き獣の爪牙に」
辰伶は血まみれで倒れた
それでも立ち上がろうと必死にあがいていた
「やめとけ…
その身体じゃぁ起きあがれねえよ
お前の負けだぜ…辰伶…」
でも辰伶は傷だらけの身体を無理やり起こした
「はかなく散っていった最世(ひと)のために
太白(一人の漢)から託された遺言を守るために…
オレは…
オレは勝たねばならんのだーーー!!」
「…起き上がるとは見上げた根性だな…
負けを認めねえってことは
チンクシャの水龍を外す気もねえってことだな?」
「壬生は…守る…
勝つのは…オレだ…!!」
はっ…!
ぼんやりしていた意識が戻ってきた
ふらつく身体にムチをうち
必死で狂の元へ駆け寄った
ぎゅっ
『待って、狂…』
「翼…」
「翼、お前起きたのか!?」
『辰伶…考え、直して…』
涙で辰伶の姿が歪んだ
辰伶は目を見開いたけれど
その決意は変わらなかった
「……
それもまた…お前の中では
貫かなきゃならねえ“信念”って奴なのかもしれねえな…」
「…」
「いいだろう…
だったらその“信念”をもって
大人しく死ぬんだな」
「あばよ辰伶!
地獄で待ってな!!」
ガギィ
「…狂…たんま…」
辰伶に当たる直前に刀を受け止めたのは…
『ほた…る……?』
「…ほたる、お前…」
「き…狂…辰伶…殺さないでほしい…」
「てめえはオレに負けた漢だ
そいつがオレ様の死合に口出しするたあ
どういうことになるかわかってんだろうな」
「わかってる…わかってるけど
殺さないでほしい
たのむ」
ほたるにとどめをさしたように見えたのは辰伶の演技で
実際はほたるを殴って気絶させ
自分の脚を切って武器に血をつけていた
「…どこまでバカなんだよ…
いいように丸めこまれて
操られてコマ扱いされて…
それでも信じてる…純粋(バカ)すぎるんだよ
見てるとムカつくんだよ…!!
…別にお前に壬生を守るななんて言ってない
本当に今の壬生が守るに値するものかどうか…
守るべきものとそうでないものを
自分の足で立ち
自分の目で見て
自分の耳で聞いてみろよ
…確かめてこいよ
何が本当で何がウソなのか自分自身で…
決めるのはそれからでもおそくない
それでもお前が今の壬生を信じるというのならオレはもう何も言わない
それはお前がお前自身で選んだ道だから」
「…螢惑…お前なぜそんなことを…」
「兄弟だから
お前がオレを殺せなかったのと同じだよ」
そっと辰伶に、近づき手を重ねた
『辰伶…お願い…
水龍を外して…
あなたまで失いたくない…ッ』
すると辰伶は指を鳴らして水龍を外した
「オレの…負けだ」
_
ほたると辰伶の戦いは激しさを増していっている
「どうして…
異母兄弟なのに戦わなければならないの?
血の繋がってる兄弟ならわかりあえないことなんてないはずなのにーー…」
『!ゆやさん…』
「兄弟…だからじゃねえのかな」
「…え!?」
「もともと漢の兄弟ってヤツは
生まれた時からライバルなんだ
認めあいながら競い合いながら
成長していく…
たとえ辰伶がほたると異母兄弟だってことを知らなくても
ほたる自身が辰伶を“兄”として
強く意識してるようだしな」
「…そうか、逆に言えば辰伶に負けないことこそが
壬生におけるほたるの存在理由だったのかもしれませんね」
「存在理由か…
そうかもしれねえ…
この世にたった一人しかいねぇ兄弟だからこそ
ぜってーに負けられねぇのかも…な」
『もしかしたら、その逆も…あるかもしれない…』
「えっ!?それってどういう…」
「狂はオレの“戦友”だから
だから守る、それだけ…」
その言葉に私は息を飲んだ
こんなにもほたるの心を動かしてくれてたんだ
ほたるの居場所を作ってくれたんだ
『み、みんな…ありがとう、、』
「翼…」
『ほたるの居場所になってくれて…』
「お前は誰のために戦いたいの?」
ほたるは辰伶を救おうとしてる
真っ正面から向き合って
捕らわれている辰伶の鎖をほどこうと…
辰伶に伝われば…
でもそう甘くはないみたい
「キサマに何がわかる!!
いつも自分の思うがまま気のむくまま
雲のようにフワフワと自由にただよっている
お前にオレの何がわかるというのだ!!
オレには…オレには生まれた時からまっとうせねばならぬ
誇るべき使命がある!!
壬生を…“紅の王”をお守りすると言う使命がな!!
その重さがキサマにわかるかー!!」
「辰伶…
いったいなんの“鎖”にそんなに
がんじがらめになっているの…?」
「何をわけのわからんことを…
やはりキサマとは相容れんのだ…
あの時からずっとそう思っていた
そう…
お前がオレの異母兄弟であると知ってから
お前とオレは相容れぬ道を生きていると…
分かりあえることはないとー!!」
「し…知ってやがったのか!?」
「…辰伶お前…
知ってたのか…」
『やっぱり、知ってたんだ』
「どういうことなの?」
『ある日突然、ほたるのお父様からの刺客がこなくなったの
それに壬生にも血筋があって名門の者しか九曜にはなれない…
それに…』
「それに…?」
≪たとえ生きる道が違っていようとも
お前を見ている者はあんがい近くにいるはずだよ?≫
『辰伶は厳しいけど
いつもほたるを目で追ってた
二人は気付いてなかったみたいだけど』
どうか、ほたるの想いが辰伶に届いてほしい
二人が手を取り合わなくてもいいから
認めあうことができれば…
「弟であろうとなかろうと
オレはお前には負けぬ…!!」
負けられないたった一人の兄弟だからこそ
「辰伶…
ありがと」
「な…!?」
「最初で最後
もう二度と言わない…
そのかわり…
辰伶…オレがお前を解放してあげる」
「…何!?」
「そう…
たった一人の兄弟として…
お前を縛るその“鎖”…オレが断ち切る
本当に大切なモノがなんなのか…
思い出せるように…」
そしてほたるは血化粧を施した
▽
辰伶を上回るパワーで押していくほたる
焦っているような…
いつものほたるじゃないみたい
何かおかしい…
その正体は“焰血化粧”だった
ほたるの禁忌技で血化粧よりも
さらにパワーとスピードを生み出す
でも寿命すら縮めてしまう命懸けの技
そこまでして辰伶を救おうとしていたんだ
「…なぜだ螢惑…
キサマは自分の命を削ってまで…
このオレに何を教えようというのだ?」
「オレは…
オレは狂から縛られない自分の意志と
“孤独” じゃ得られない“強さ”“楽しさ”を
教えてもらった…
今のお前の…その壬生の“鎖”を外し
そのことを教えてやれるのはオレだけだから…
目を…さませ
辰伶…」
「…たしかに
雲にあこがれた時もあった…
形にとらわれず
色にとらわれず
空を自由にただよう雲のように
何者にも縛られず生きることに…」
「辰…」
「だが…それは
オレが未熟だったからだと
今ならわかる!!」
辰伶…やめて…
「狂や螢惑…お前達が斃れ
オレ一人が立っているという事実が…
オレが進んできた道が
すべて正しかったのだと証明している!!
せめてもの情けだ…
最期は兄としてキサマを送ってやろう!!」
いやだ
『辰伶…お願い…やめて…』
「さらばだ弟よーーー!!」
ドゴォ
「…例外はない
壬生一族に逆らいし者には“死”を…!!」
「ほ…ほたるーーーー!!」
『ほた…る…』
うそだ
いやだ
ドクンッ
≪ じているん よ、君を…≫
ザンッ
≪先 に逆らいし には“死”をー…≫
≪…さ ならだ 四郎…
強く…生き…ろ…
ど か…しあわせに……いき ……≫
≪いや…いか いで…≫
≪ は紅の王の になる者…
紅の王の であるボ が≫
≪いや、さわ ないで…助 …≫
≪ボクのモ だ≫
≪いや ぁぁ ぁぁ!!≫
ドクンッ
『いやあぁぁぁぁぁぁ!!!』
▽
叫び声をあげて翼は気を失った
アキラもトラもサスケも限界だ
翼の抑えがなくなったゆやちゃんの中の水龍はますます膨れ上がった
ゆやちゃんはもう虫の息だ
「うおおあああ」
狂がボロボロの体で立ち上がった
「辰伶…てめえ…
殺してやる…!!」
辰伶の「水魔爆龍旋」が放たれた瞬間
狂の纏う雰囲気が変わり
技を一瞬で相殺した
壬生京四郎が出てきたのかとも思われた…
ゆやちゃんのピンチを感じとった壬生京四郎が
狂が本来の力を出すのに最大のネックであった
自分の身体を狂と同調することで
今まで以上に狂が自由に使えるようにし
本当の軀だった頃の狂に近い力が
出せるように手を貸してんじゃねーのか…!?
…ってことはかつての狂の強さをまた見れるってことかよ
あの鬼(バケモン)をよ…!!
▽
「な…なぜだ…なぜこんなに…
たしかに昔はキサマとオレは互角といわれていた…
だがオレは今や五曜星にまで登りつめた壬生の戦士…!!
キサマのような反逆者などとは格がちがうはず…
それなのに…なぜ…!?」
「…知りてえか?」
「!?」
「なら教えてやる
キサマがこのチンケな壬生の檻の中で
ウダウダやってる間にオレ様はーーー
百度命を捨て千度死線を越え…
その度に本当の強さを手に入れてきた
キサマの強さなんざ足元にもおよばねえほどの…な」
「…なに!?」
「壬生が最強だと思っているキサマには
わからねえだろうな
だからキサマはオレには一生勝てねーよ」
「何をバカな…!!」
「だが今となっては
そんなこたあどうでもいい
…なあ辰伶…
てめえはやりすぎた…
許さねえ…
ぜってえ…殺すーーー!!」
壬生の使命のために、と
辰伶は自らの血を触媒として濃硫酸を作り出した
「壬生に逆らいし者には“死”をーーー!!
」
赤い龍達が天に昇り弾け、濃硫酸の雨を降らせた
しかしその跡から出てきたのは
鬼
「…いい技だった…
だがよ辰伶…
勝つのはオレだ…」
▽
ぼんやりとした意識の中
聞こえてきたのは怒気を含んだ狂の声
「てめえの“勝つ”って言葉は軽ィんだよ
生死を懸けた戦いを経験した者が持つ
“勝利”への“執念”がたりねえんだよ
“勝つ”ってのがウソくせえんだよ…!!
…覚悟きめろ…
辰伶…」
「無明神風流奥義“白虎”!!」
攻撃をかわしたはずの辰伶は白虎に引き寄せられた
「…辰伶…お前も触れただろう…
白き獣の爪牙に」
辰伶は血まみれで倒れた
それでも立ち上がろうと必死にあがいていた
「やめとけ…
その身体じゃぁ起きあがれねえよ
お前の負けだぜ…辰伶…」
でも辰伶は傷だらけの身体を無理やり起こした
「はかなく散っていった最世(ひと)のために
太白(一人の漢)から託された遺言を守るために…
オレは…
オレは勝たねばならんのだーーー!!」
「…起き上がるとは見上げた根性だな…
負けを認めねえってことは
チンクシャの水龍を外す気もねえってことだな?」
「壬生は…守る…
勝つのは…オレだ…!!」
はっ…!
ぼんやりしていた意識が戻ってきた
ふらつく身体にムチをうち
必死で狂の元へ駆け寄った
ぎゅっ
『待って、狂…』
「翼…」
「翼、お前起きたのか!?」
『辰伶…考え、直して…』
涙で辰伶の姿が歪んだ
辰伶は目を見開いたけれど
その決意は変わらなかった
「……
それもまた…お前の中では
貫かなきゃならねえ“信念”って奴なのかもしれねえな…」
「…」
「いいだろう…
だったらその“信念”をもって
大人しく死ぬんだな」
「あばよ辰伶!
地獄で待ってな!!」
ガギィ
「…狂…たんま…」
辰伶に当たる直前に刀を受け止めたのは…
『ほた…る……?』
「…ほたる、お前…」
「き…狂…辰伶…殺さないでほしい…」
「てめえはオレに負けた漢だ
そいつがオレ様の死合に口出しするたあ
どういうことになるかわかってんだろうな」
「わかってる…わかってるけど
殺さないでほしい
たのむ」
ほたるにとどめをさしたように見えたのは辰伶の演技で
実際はほたるを殴って気絶させ
自分の脚を切って武器に血をつけていた
「…どこまでバカなんだよ…
いいように丸めこまれて
操られてコマ扱いされて…
それでも信じてる…純粋(バカ)すぎるんだよ
見てるとムカつくんだよ…!!
…別にお前に壬生を守るななんて言ってない
本当に今の壬生が守るに値するものかどうか…
守るべきものとそうでないものを
自分の足で立ち
自分の目で見て
自分の耳で聞いてみろよ
…確かめてこいよ
何が本当で何がウソなのか自分自身で…
決めるのはそれからでもおそくない
それでもお前が今の壬生を信じるというのならオレはもう何も言わない
それはお前がお前自身で選んだ道だから」
「…螢惑…お前なぜそんなことを…」
「兄弟だから
お前がオレを殺せなかったのと同じだよ」
そっと辰伶に、近づき手を重ねた
『辰伶…お願い…
水龍を外して…
あなたまで失いたくない…ッ』
すると辰伶は指を鳴らして水龍を外した
「オレの…負けだ」
_