五曜星編
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23【太白】
第4の門の番人は五曜星の長である太白だった
太白は私とゆやさんを見た…
その眼や優しい言葉、大きな存在感
思い出すのに時間はかからなかった
強くて優しくて子どもたちや壬生を愛していて
いつでも温かく包み込んでくれる太白が大好きだった
お互いに譲れない信念をもった太白とトラさんの戦い…
キズだらけになりながら
辛くもトラさんが勝利した
それから太白に
ゆやさんと
ゆやさんのお兄さんの椎名望さん
そしてその実の妹の朔夜さん
のお話をきいた
ゆやさんの本当の兄妹ではなく、
椎名望さんは特に高い能力を持ったシャーマンだった
絶対に知ってはならない者の過去を、壬生一族最大の秘密を知ってしまった
≪仇討ちなどせず倖せに生きてほしい
血のつながりなとなくても
愛していたよ≫
と伝言を残したと…
まだまだ謎は深まるばかりみたい
子を慈しみ友を愛し笑顔にあふれていた刻をすごした先代“紅の王”
その優しい王は変わってしまったみたい…
「翼…記憶は戻ったのか?」
『太白…少しずつ…肝心なコトは…
自分が何者だとかは全然…』
「そうか…
翼」
そう言って太白は両手を広げた
「おいで」
胸が締め付けられるようだった
多分頭で考えたんじゃなくて
私は反射的に太白の胸に飛び込んだ
『太白…』
ぎゅっ
「よく帰ってきた」
今も昔も変わらない
大きな存在…
『太白…』
「泣き虫は治っていないようだな」
『だって太白が優しいんだもん』
抱き締める力を強めにしたって
やっぱり太白はびくともしなくてくやしい…
なんてこの人には分からないだろうな…
「翼はんと太白はんはどういう関係なん?」
トラさんが話しかけてきたことで
我にかえり少し離れることにした
『それは…』
「翼はここによく泣きに来ていたな」
『た…太白!!』
「理由は言わなかったが何かあると
ここにきて泣いたり八つ当たりしたり
子ども達と遊んだりしていた」
『誰かさんが甘やかしてくれるんだもん』
「その度にケイコクが不機嫌な顔で迎えに来ていたな」
「ケイコクってほたるさんもここに?」
「あぁ…
しかし、本当に翼が辛い時にオレは役に立てなかったようだが…」
「太白さんは翼が壬生を離れた理由を知っているんですか?」
「いや、気付いたときには翼の心は荒み
時が経たんうちに壬生を出たときいただけだ」
『そうなんだ…』
「何はともあれ笑顔でここにいる
それが何よりだ
…よい仲間に恵まれたのだな」
『うん!』
頭にのせられた温かい手
やっぱり泣いてしまいそう
▽
太白が辰伶にゆやさんの水龍をはずすようかけあってくれるということで
太白も一緒に先へ向かうことになった
どこまでも優しいなぁ…
「翼、これは覚えているか?」
『なあに?』
「まだ物心がつく前の小さな翼を育てたのはオレだ」
『え…?』
「た、太白さんは翼の出生を知っているんですか?」
「それは知らない…
壬生の中で倒れていた翼をオレが拾ったんだ」
『?!』
「当時はただでさえ子どもが産まれなくなった壬生で
行方不明の子どももいなかった
身内のいないまだ幼い翼を育てる決心をした」
『そう、だったんだ…』
「思えばあの時が幸せだったな…」
「太白はんが育ての親ってことやな」
「いや、育て上げる前に翼は太四老の方々に連れていかれた」
「「え?!」」
『……!!』
「それは、どうして?」
「口止めされていたことだが…
それは翼が鬼眼の狂と同じ“紅き眼”をしていたからだ」
『え…?』
「…?!!」
「翼の眼が…?!」
「うそやろ…!?」
「でも翼の眼…別に紅くないぜ」
サスケくんが言ったことで私の眼に視線が集まった
私の眼は黒色
ずっとそうだと思っていた
「詳しくは分からないが…
連れていかれてからしばらく会うことはできなかった
次に会ったときには眼が黒くなっていて
翼もその事実を忘れていた」
私の眼が紅だったの…?
頭が混乱する中、
ピリッと冷たい気配を感じた
と同時に太白は第4の門がある建物の中に駆けていった
なんだか嫌な予感がして急いで後を追い中に入ると
背中に剣が刺さった太白がいた……
『太白!!!』
「た、太白さん!!」
「どういうこっちゃ…しっかりしーやあ!!」
私はただ太白の服を握りしめた
太白を見たいのに視界は涙でぼやけた
「なあ太白はん!!聞こえるか!?…なあ!!
わいら一緒に進もうって一緒に頑張ろうって約束したやないか!!…なあ!!」
太白は最後の力を振り絞り
トラさんの肩に手を置いて話した
「…べ…紅虎…ど…どうか…みんなに倖せを…壬生を…先代を…子供達を頼むーーー
翼…」
名前を呼ばれ手を握った
「今度こそ倖せに…」
『…うん……』
「そ…そして鬼眼の狂…ふ…吹雪様には気を付けーーー」
最後まで人の心配ばかり…
優しい太白はこの世を去った
「太白はーん!!」
「ひ、ひどい…どうして?!なんで!?」
「行こうや…」
「ゆやはんの命の時間があらへん
はよう行こうや」
「だ…だって太白さんをこのままにしておくわけには…」
トラさんは歯をくいしばり必死に耐えていた
『わ、私に…太白を…
まかせてください…
ちゃんと、おやすみしてほしいから…』
「翼…」
「たのんだで、翼はん」
『はい……』
みんなの姿を見送って
私は太白の背中から刀を抜いて仰向けにした
震える指で太白の手を組ませた
太白の顔をみるとまた涙が込み上げてきた
『私が泥だらけになって帰ってきても
いつも優しく迎えてくれたよね
隙をみて逃げ出してきた私が
落ち着くようにいつだってこの大きな手が涙を拭って抱き締めたくれたよね』
静かにこぼした涙は太白の服を水玉模様にしていった
涙を拭ってくれる大きな手はやっぱり動かない
『ふっ…ぅ……』
立ち上がれずにいる私に
後ろから優しい声がした
「翼…?
それから、太白?
何やってんのこんなトコで…」
近付き私の隣に座ったほたるに
私は抱きついた
ポンと頭に手を乗せて
ほたるは太白に声を掛けた
「…ねぇ太白…
何…死んでんの?」
ほたるは強く私を抱きしめなおし
太白の服の裾を掴んだ
それにならって私も同じように裾を掴んだ
「太白…オレ、壬生にいる連中は大っ嫌いだけど
あんたはそんなに嫌いじゃなかったよ
本当に…そう思ってた…」
『…太白ありがとう、いつまでも大好きだよ』
ほたるの炎に私の風を足して
太白とともに門は炎に包まれた
この炎が天国の太白のところまで届けばいい
「バイバイ太白…
静かにおやすみ…」
私を抱き上げほたるは第5の門へと歩みを進めた
_
第4の門の番人は五曜星の長である太白だった
太白は私とゆやさんを見た…
その眼や優しい言葉、大きな存在感
思い出すのに時間はかからなかった
強くて優しくて子どもたちや壬生を愛していて
いつでも温かく包み込んでくれる太白が大好きだった
お互いに譲れない信念をもった太白とトラさんの戦い…
キズだらけになりながら
辛くもトラさんが勝利した
それから太白に
ゆやさんと
ゆやさんのお兄さんの椎名望さん
そしてその実の妹の朔夜さん
のお話をきいた
ゆやさんの本当の兄妹ではなく、
椎名望さんは特に高い能力を持ったシャーマンだった
絶対に知ってはならない者の過去を、壬生一族最大の秘密を知ってしまった
≪仇討ちなどせず倖せに生きてほしい
血のつながりなとなくても
愛していたよ≫
と伝言を残したと…
まだまだ謎は深まるばかりみたい
子を慈しみ友を愛し笑顔にあふれていた刻をすごした先代“紅の王”
その優しい王は変わってしまったみたい…
「翼…記憶は戻ったのか?」
『太白…少しずつ…肝心なコトは…
自分が何者だとかは全然…』
「そうか…
翼」
そう言って太白は両手を広げた
「おいで」
胸が締め付けられるようだった
多分頭で考えたんじゃなくて
私は反射的に太白の胸に飛び込んだ
『太白…』
ぎゅっ
「よく帰ってきた」
今も昔も変わらない
大きな存在…
『太白…』
「泣き虫は治っていないようだな」
『だって太白が優しいんだもん』
抱き締める力を強めにしたって
やっぱり太白はびくともしなくてくやしい…
なんてこの人には分からないだろうな…
「翼はんと太白はんはどういう関係なん?」
トラさんが話しかけてきたことで
我にかえり少し離れることにした
『それは…』
「翼はここによく泣きに来ていたな」
『た…太白!!』
「理由は言わなかったが何かあると
ここにきて泣いたり八つ当たりしたり
子ども達と遊んだりしていた」
『誰かさんが甘やかしてくれるんだもん』
「その度にケイコクが不機嫌な顔で迎えに来ていたな」
「ケイコクってほたるさんもここに?」
「あぁ…
しかし、本当に翼が辛い時にオレは役に立てなかったようだが…」
「太白さんは翼が壬生を離れた理由を知っているんですか?」
「いや、気付いたときには翼の心は荒み
時が経たんうちに壬生を出たときいただけだ」
『そうなんだ…』
「何はともあれ笑顔でここにいる
それが何よりだ
…よい仲間に恵まれたのだな」
『うん!』
頭にのせられた温かい手
やっぱり泣いてしまいそう
▽
太白が辰伶にゆやさんの水龍をはずすようかけあってくれるということで
太白も一緒に先へ向かうことになった
どこまでも優しいなぁ…
「翼、これは覚えているか?」
『なあに?』
「まだ物心がつく前の小さな翼を育てたのはオレだ」
『え…?』
「た、太白さんは翼の出生を知っているんですか?」
「それは知らない…
壬生の中で倒れていた翼をオレが拾ったんだ」
『?!』
「当時はただでさえ子どもが産まれなくなった壬生で
行方不明の子どももいなかった
身内のいないまだ幼い翼を育てる決心をした」
『そう、だったんだ…』
「思えばあの時が幸せだったな…」
「太白はんが育ての親ってことやな」
「いや、育て上げる前に翼は太四老の方々に連れていかれた」
「「え?!」」
『……!!』
「それは、どうして?」
「口止めされていたことだが…
それは翼が鬼眼の狂と同じ“紅き眼”をしていたからだ」
『え…?』
「…?!!」
「翼の眼が…?!」
「うそやろ…!?」
「でも翼の眼…別に紅くないぜ」
サスケくんが言ったことで私の眼に視線が集まった
私の眼は黒色
ずっとそうだと思っていた
「詳しくは分からないが…
連れていかれてからしばらく会うことはできなかった
次に会ったときには眼が黒くなっていて
翼もその事実を忘れていた」
私の眼が紅だったの…?
頭が混乱する中、
ピリッと冷たい気配を感じた
と同時に太白は第4の門がある建物の中に駆けていった
なんだか嫌な予感がして急いで後を追い中に入ると
背中に剣が刺さった太白がいた……
『太白!!!』
「た、太白さん!!」
「どういうこっちゃ…しっかりしーやあ!!」
私はただ太白の服を握りしめた
太白を見たいのに視界は涙でぼやけた
「なあ太白はん!!聞こえるか!?…なあ!!
わいら一緒に進もうって一緒に頑張ろうって約束したやないか!!…なあ!!」
太白は最後の力を振り絞り
トラさんの肩に手を置いて話した
「…べ…紅虎…ど…どうか…みんなに倖せを…壬生を…先代を…子供達を頼むーーー
翼…」
名前を呼ばれ手を握った
「今度こそ倖せに…」
『…うん……』
「そ…そして鬼眼の狂…ふ…吹雪様には気を付けーーー」
最後まで人の心配ばかり…
優しい太白はこの世を去った
「太白はーん!!」
「ひ、ひどい…どうして?!なんで!?」
「行こうや…」
「ゆやはんの命の時間があらへん
はよう行こうや」
「だ…だって太白さんをこのままにしておくわけには…」
トラさんは歯をくいしばり必死に耐えていた
『わ、私に…太白を…
まかせてください…
ちゃんと、おやすみしてほしいから…』
「翼…」
「たのんだで、翼はん」
『はい……』
みんなの姿を見送って
私は太白の背中から刀を抜いて仰向けにした
震える指で太白の手を組ませた
太白の顔をみるとまた涙が込み上げてきた
『私が泥だらけになって帰ってきても
いつも優しく迎えてくれたよね
隙をみて逃げ出してきた私が
落ち着くようにいつだってこの大きな手が涙を拭って抱き締めたくれたよね』
静かにこぼした涙は太白の服を水玉模様にしていった
涙を拭ってくれる大きな手はやっぱり動かない
『ふっ…ぅ……』
立ち上がれずにいる私に
後ろから優しい声がした
「翼…?
それから、太白?
何やってんのこんなトコで…」
近付き私の隣に座ったほたるに
私は抱きついた
ポンと頭に手を乗せて
ほたるは太白に声を掛けた
「…ねぇ太白…
何…死んでんの?」
ほたるは強く私を抱きしめなおし
太白の服の裾を掴んだ
それにならって私も同じように裾を掴んだ
「太白…オレ、壬生にいる連中は大っ嫌いだけど
あんたはそんなに嫌いじゃなかったよ
本当に…そう思ってた…」
『…太白ありがとう、いつまでも大好きだよ』
ほたるの炎に私の風を足して
太白とともに門は炎に包まれた
この炎が天国の太白のところまで届けばいい
「バイバイ太白…
静かにおやすみ…」
私を抱き上げほたるは第5の門へと歩みを進めた
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